三毛田
2024-12-06 22:23:22
1065文字
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33 033. 落とした消しゴム

33日目 何とか拾えた

「あっ」
 小さな声が出る。
 音も立てず、指先から逃げた消しゴムは、床を跳ねていき。
 そうっと椅子を引いて、先生にバレないようそれを拾う。
 書きかけの板書は、なんとかギリギリ書き終えた。
「はあ〜」
「お前、消しゴムでも落としたのか」
「えっ。何で知ってるの」
 休憩時間。丹恒を膝に抱えていると、そんなことを言われ。
「俺の耳には、椅子を引く音が届いていた。授業中、わざわざ席を立つのは、消しゴムを落としたか急な腹痛だ。しかし、保健室へ行きたいという声もトイレに行きたいという声もなかった。つまり、消しゴムを落としてしまい、だからといって声をかけるわけにもいかないから静かに動いた。合っているか?」
「合ってる! 丹恒の足元だったら、頼んだんだけど。逆方向だったからさ〜」
「そうか。そういう時もある」
 肩に顎を乗せると、甘やかすように頭を撫でてくれて。
「まーたイチャイチャしてるよ」
「放っておいた方がいいぞ~。あいつらのイチャイチャは胸焼けする」
 そんな会話が聞こえてくるが、無視無視。
 そんなのに構っていたら丹恒とイチャつく時間が減る。
「穹。さっきの授業でわからないところはあったか?」
「今のところ大丈夫。でも、試験前に丹恒と一緒に勉強したいなぁとは思ってる」
「いつでも歓迎だ。今日帰ったらさっそく復習するか」
「うん。そのまま泊っていく?」
「じゃあ、帰りにスーパーに寄らないといけないな。食材を買わないと、足りないだろう」
「そうだな。うん。久しぶりに丹恒のご飯食べられるの嬉しい」
 頬ずりすると、丹恒も頬ずりしてきてくれて。
 何を一緒に作ろうかな。今から楽しみだ。
「穹。ほら、あーん」
 昼休みになり、お弁当を広げた丹恒がから揚げを差し出してきて。
「あーん。ん~。美味し~!」
 ちょっとニンニクが強めだけど、俺の好みの味付けだ。
「流石丹恒! 毎日でも食べたい」
「そうか。が、ストックが尽きてしまった」
「じゃあ、今度の休みに一緒に作ろう。俺も手伝うからさ」
「そうしてくれると助かる。できたて熱々を好きなだけ食べていいからな」
「わーい! 丹恒、大好き」
「俺も穹が大好きだ」
 手を繋いで、見つめ合う。
 好きだと伝えあって、開いた口にから揚げが入れられる。
 やっぱり美味しい。
 揚げたてで、大盛りご飯をペロッと食べられる。
「炊き込みご飯おにぎりも、すごい美味しい」
「ふ。それは、下ごしらえから頑張ったかいがあった」
「これも? ちゃんと言って! 今度手伝うから!」