ちよど
2024-12-10 00:00:00
2401文字
Public アシュヨダ
 

幸福なアシュヴァッターマンの話

幸せなアシュヴァッターマンと、愛されているアシュヴァッターマンの話。二部四章捏造。 pixivからの再掲

アシュヴァッターマン「ドゥリーヨダナを、知っているか?」
???「誰のことだ?」


「ドゥリーヨダナを、知っているか?」



 あら、ワタシ強引なお誘いも嫌いじゃないのよ?
 急いでいるわけでもないし。貴方のことはあの子から聞いているから他人事って感じがしないのよねー。
 はいはい。オハナシしましょ。時間は有限。私達がこうやってお話するために、貴方が支払ったコストを考えると寒気がしちゃう!
 ずいぶん無理を通したんじゃなぁい?ま、私が魅力的なのが悪いのよねー。
 うふふ、貴方も魅力的よ。あの子もそう思っているわ。
 あの子が直接そう言ったワケじゃないわよー。言動の端々から感じるの。そう、オ・ン・ナ・の・カ・ン!
 その顔!!
 からかってないわ。あの子は貴方の事を愛してる。
 お話をしましょう。そのために喚ばれたんですもの。
 知っているでしょうけど、私達インドの異聞帯を管理していたの。アルジュナに追い出される前ね。
 その頃、アシュヴァッターマンが罪もない一般人を勝手にぶっ殺しちゃった事があってね。
 幸いにしてひとりだけだったんだけど。その人。あのユガを生き延びてきた「正しい」人のはずでしょ。なんでアシュヴァッターマンが殺しちゃったのか分からなかったのよ。
 本人に聞いても「殺したかったから殺した」の一点張りで。
 こんなことに令呪を使うわけにもいかないから、村に降りて聞き込みをしてみたの。
 そうしたらね。誰にどう聞いても好青年。礼儀正しく真面目で優しい。
 あ、そうよ。男だったの。成人してしばらく経ったぐらいの青年。
 彼は命を大事にして神様への祈りも熱心だったそうよ。
 まちがってもサーヴァントに喧嘩売るタイプじゃない。アシュヴァッターマンが理由もなく一般人を殺したりしないと同じぐらいにね。
 でも、死体を確認して分かったわ。
 アシュヴァッターマンはよっぽど怒り狂っていたんでしょうね。ぐちゃぐちゃな消し炭だったけど。
 
 その額にーーー宝珠が残っていたわ。
 
 金色の卵型。
 あなたも見慣れているわよね?

 異聞帯はイフの世界。だから呪いを受けずに生き残っていたんでしょうね。彼。
 そしてアルジュナの廻すユガに取り込まれて……「悪しきもの」を忘れてしまった。
 幸せだったんじゃないかしら。呪いも受けずに、怒りの原因になった貴方の事を忘れて。楽園で穏やかに、穏やかに暮らしていたんでしょうね。
 私達の『アシュヴァッターマン』に見つかるまでは、
 あらごめんなさーい!貴方の、だったわよね。私は一時のマスターだもの。契約が切れたら主従面しちゃダメよねー!
 だからね。
 そんな顔するぐらいなら早く会いに行きなさいよ。
 同類からの貴重なアドバイスよ。私達みたいなのを分かって受け入れてくれる存在なんて貴重なのよ。レア中のレア!何をためらっているのか知らないけれど、共に在れる可能性があるなら何が何でもしがみつきなさい。見捨てられてからじゃ遅いわよ。
 アシュヴァッターマンはわし様を見捨てたりしない?男はみんなそうやって愛情にあぐらをかくのよ。
 あぐら知らない?サーヴァントになったら聖杯が教えてくれるわよ。
 ほら行った行った。
 死にかけ、というかもう死んでいる魂を、こんな小さな縁を頼りに手元に引き寄せるくらいなら、ばんばんばーんと召喚に応じて現世で探せばいいのよ。
 ハァ!?敵対したくない?だからずっと召喚に応じなかった??
 
 ……お馬鹿さんねぇ。そんな貴方におすすめの場所があるわ。人理保証機関ノウム・カルデアっていうの。

 ペーパー・ムーンっていう変な機械があるからそれを目印にすればいいわ。
 そこなら大丈夫よ。マスターもいい子だしね。
 もしかしたらアシュヴァッターマンも先に召喚されているか・も。
 うふ。積極的な男は魅力的だわ。時と場合によるけどね。
 ……アシュヴァッターマンに会ったら……ああ、やっぱりいいわ。カルデアに召喚されたあの子はワタシを覚えてないでしょうし。
 ……そりゃあ、貴方の事は覚えているでしょうよ!貴方の事を忘れた自分を問答無用でぶち殺したぐらいだもの。忘れられるはずがないわ。
 そうね。貴方も忘れないのね。羨ましいわ。
 あら、もう時間ね。地獄に行く途中で思わぬ寄り道が出来て楽しかったわ。
 うふふ。王族に頭を下げられるのって初めて。ワタシこそあの子に助けてもらったわ。だからお互い様。
 あの子は幸せね。
 だからーーー早く会いに……



『ーーー素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ』

 あら、ちょうどいいタイミング!
 こちら側から召喚の呪文を聞くなんて新鮮だわ。

『閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する』

 この魔力のパターンはペーパームーンね!!さあ!行きなさいよ!!

―――Anfang』

 ぐずぐすしてる場合じゃないでしょ!

――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 なんか悪い予感がする?そんなことを言ってたらキリがないわよ!

『誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――

 
 あら?バーサーカー指定?
 そんなこと些事よ、些事!!
 
『汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 行きなさいったら、行けーーー!!!


 はぁ、やっと行ったわ。
 ……なんか立香ちゃんの声じゃなかったような気がするけど。
 まぁ、勢いって大事よね。


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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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