シノハラ
2024-12-05 13:05:22
1030文字
Public 星レイ
 

ぎりぎり付き合っていないけど、シが好かれている自覚がある星レイのアバターの話

最後の報酬がレイシオモチーフのコレクションである事実に頭がおかしくなったので書き殴りました

 何を言っているんだ君は。反射的に文句を言おうとしてレイシオはすんでの所で口を閉ざした。お気に召していただけると思います、と続けるスクリューガムにレイシオは反論できなかったのだ。
 そうして百とセットになったIDに紐付けられた小鳥をいくらか前のレイシオはしばらく眺めていた。ヘルタを彷彿とさせる小鳥のアバターをコレクションにした物のバリエーションとして作られたらしいそれは、本とチョークを持っていて頭にはレイシオと揃いの月桂樹の飾りがついていた。
――――っ!」
 レイシオを知る者であればモチーフはお前だと迷わず指摘してくるだろうそれが突如チョークを投げて、レイシオの顔辺りで粉々になるエフェクトが展開された。突然のことに身を固めてしまうと、実際に汚れるわけではないですよとスクリューガムが指摘してくるのが恨めしい。
 階差宇宙のコレクションとしてはどう考えても不要な機能ではあるが、彼女は間違いなく喜ぶだろうとレイシオも思う。おそらく晴れてこれを入手した暁には、いそいそと飾り付けてしばらく眺めてくれるに違いなかった。
 そんなふうに考えて、勝手に作られていたそれを看過したのは人間喜劇の最終アップデートも大詰めという頃だった。リリースの知らせをしてからまだ半月も経っていないのに、彼女との専用のトークルームには台座に飾られたそれがゆっくりと回っている動画が送りつけられている。
 かわいい。とだけコメントがあって、少し口角が緩んでしまいそうになる。彼女はレイシオに似たそれを気に入ったという理由だけで階差宇宙に入り浸っていたのだろう。 レイシオの返事を待たずにスクリューガムに3Dのデータをもらったとか、3Dプリンタで出力もしたとかメッセージが五月雨に届いた。ではその写真でも届くのかと思ってしばらく待ってみたが、画像のデータは届く様子がない。
 それで私の部屋に置いてみたら、あんたの顔も見たくなっちゃった。
 少し首を傾けてしまった頃になってようやく送信されたと思ったのだが、届いたのは画像データではなく文字列だった。頑張ったんだから、追加のご褒美があっても良いと思うなんて追撃がある。また遊びに来てね、と締められたのを最後に星はメッセージ送信の区切りとしたらしい。
 沈黙を保っている画面の上の方で自分に似た小鳥がゆったりと回っている。それを視界の端に留めながら直近のスケジュールの隙間を見つけて、レイシオはその日程だけを返信したのだった。