千聖
2024-12-04 08:32:45
9110文字
Public 腐ロセカ
 

マフィアパロ

なんか書いてたけど辻褄合わないし、もうめんどくさいなって放置してたやつ。
カイトの激重愛は理由があるんです。
決して恋愛感情ではないので安心してください。
類の変わりようになんかもうこれ…ってなってるし、ミクは本当に魔法使えるの?え?とか自分の中で設定がわちゃってなってめんどくせぇってなったんですよね。最終的には類司になるけどこの話だけではそんな素振りもないし、なんなら司くんはどうやったら類のこと好きになるんだろうね。
というなんでもいい人向けです。

あぁ、どうしてあの時オレも一緒に殺してくれなかったんだ
オレは誰かの命を奪ってまで生きたくはない。
そして誰かの命を盾にしてまで生きたくもないんだ。
ずっとずっとそう思って生きていた。オレに仲間が出来るまでは。



「いいかい?司くん。君は今日からこのワンダーランズ×ショウタイムのボス。そして君には3人の部下をつけるからちゃんと君の盾になるように手懐けるんだよ」

「カイトどうしてもオレはボスにならなきゃいけないのか

「じゃないと勝手に死のうとするだろう?ダメだよ。勝手に死ぬのも、殺されるのも全部ダメだ。そんなことをしたら君の部下も同じ目に合わせるからね。良いのかい?君のせいで3人は死んでしまうんだよ」
っ。やめてくれこんなお飾りの何も出来ないオレなんかを守って守れなくても死ぬなんてそんなことさせられない」

司と呼ばれた彼は少年と言うには大きく、青年と言うには些か童顔であった。そして俯きながら、懇願するようにカイトと呼ぶ青年に頼み込む。
その条件だけは無くしてくれと

「むしろその条件だけが必要なんだけどね。確かに君を喪わないようにすることは簡単だよ。だって大事に大事に部屋に閉じ込めておけばいい。ミクもリンもレンもルカも喜んで君と部屋に籠るだろう。けれど、それじゃあつまらない。僕はお人形が欲しいわけじゃないからね。君を大事にしたいのと同じくらい君が苦しみながらも藻掻く様が好きなんだよ?」

だからーー必死に足掻いてね。



カイトはこのフェニックスエリアを牛耳るマフィアのボスである。
そして今日からは領地の一部をワンダーランズ×ショウタイムという傘下のマフィアに譲ろうとしていた。そしてその新しいマフィアのボスは人を殺すことも戦うことも出来ない司であった。

「さぁ、ここが新しい拠点だよ。3人は既に屋敷の中にいるからね。もちろん既にトラップは発動してるから気をつけて屋敷の中を歩くんだよ」

全くもって厳しくしたいのか大事にしたいのか拾われた時からこのカイトという男は謎であった。歪んだ愛情だけは分かるが、何故ここまで執着されているのかは理解することは未だに出来ていない。
そこに恋愛感情がないことだけは理解出来るが、それよりもっとおぞましい愛を持っている気がしてならず、恐怖で司はそれ以上踏み込めなかった。
もちろんカイトの部下であるあいつらからも異質な愛は感じ取っていたのでここの人たち全てが歪んでいるのか自分1人がおかしいのかわからなくなっていたのもまた事実だ。

「また会議の時にね。司くんは忘れっぽいから心配だな約束忘れないようにね?僕達は常に君を見ている。そして、3人の命は司くんが握っていることを忘れないでね」
「わかっている

司は車から降ろされ、屋敷へと足を踏み入れた。
至る所にトラップであろうものが見えるので発動しないように歩き3人が待つであろう大広間へと向かった。

この屋敷にはトラップが取り付けられる前に何度か足を運んでいた。というよりも拾われて数年過ごしていたし、なんならここは司の生家でもあったからだ。

ここでは拾われたあとは殺しの勉強というなの訓練をしていたのである意味恐怖のトラウマのような場所でもある。そんなところを今後の住処兼拠点にするなんて

(なんて悪趣味だいくらここで過ごした記憶が無いとしても拾われたあとの記憶が凄惨過ぎる)

トラップを悠々と交わし3人がおそらくいるであろう大広間を淡々と進む司。その扉の前で深呼吸をして堂々と扉をあけた。ノックはしない。この屋敷も何もかも全ては司のものであり、司が許可をとる必要がないからだ。

「待たせたな。お前達がオレの部下になる奴らか?」

大広間にはソファーに座った3人がいた。
女性2人に、男性は1人だ。

「初めましてだな。オレの名前は司。今日からワンダーランズ×ショウタイムのボスになる男だ!名前は好きに呼んでくれて構わない」

「初めまして!あたしえむ!!こっちの子は寧々ちゃんで、こっちの人は類くんだよ!よろしくね、司くん!!」

「いやいや、ボスでしよなんで名前で呼んでるの」

「ボスでも名前でも呼び捨てでもいいぞ!」

女性2人とは話が弾むものの、類と言われた男はじっと見るだけで何も発言しようとはしなかった。

「あー、えっと、類だったか?お前はなんて呼ぶんだ?」

ボスとだけ。君が本当にここのボスに相応しいか分からないけれどね」

一瞬ドキリとした。オレがお飾りのボスであることはカイトは言っていないと言っていたのに。まるで品定めをされているような目に若干冷や汗をかく。

「た、確かに、オレにはまだボスとしての心得は足りないかもしれないが

「そういうことでは無いけれどね。まぁ、この屋敷のここまでたどり着いたから全くもって無能と言うことでは無いんだろうけど。ところで僕達は君を守るために一応使用武器について話していたんだけれど、ボスは何を持って戦うんだい?」

近接か遠距離かによって守り方も変わるということだろう。
しかし司はたった一つの銃、しかも銃弾は1発分しか入っていないものしか持っていなかった。

「普通の銃だが?」
「中距離といったところかな。まぁ、君は君自身を守っていればいいのだからね。ボスなんだから」
かなり含みのある言い方をされて流石にボスに仕えるとしてもなんなんだ?と司も不信感が募る。

「類なんだかここに配属されたことに不満があるようにみえるんだが、カイトからなんて言われてお前達は集まったんだ?」
 
私は雇い主が固定になっただけで今までと変わらないってカイトさんにいわれただけ。元々カイトさんの仕事をしてたわけだし」
 
「あたしは色んな武器を使ってどんな手段でもいいからキングを守るのどう?って言われたよ!!あたしにとっては殺しはゲームだからね」
えむはなんてことないように笑っていたが目だけは笑っていなかった。
 
……前の報酬の100倍出す。けれど傷一つつけるな、命を守れ、かすり傷一つでもついたら自分の命がなくなる。まぁハイリスクハイリターンだね」
 
三人とも誘われ方は違うようで、類だけは金で雇われたことがわかる。
「けれどまぁ、この界隈の人間だしある程度自分を守るくらいはできると思っていたけれど宛が外れたね。こんなのリスクしかないよ」
「どういう
「君、人を殺せないだろう?」
今の流れからなんでわかったのかわからない。ボロは出してないはずなのに。
「君からは死臭がしない。この世界に身を置いていなかった僕だってある程度の人間は殺してきた。けれど君は綺麗すぎる。カイトさんの秘蔵っ子だなんて囁かれているけれど君が手柄を挙げたなんて話は聞いたことがない」
つらつらと事実ばかり突きつけられる。
「よっぽど周りの人達を上手く盾に使っていたのか、そもそも人を殺してまで自分を守る気がないか自分の命を護ろうともしないおバカさんに僕は自分の命をかける気はないからね。前者であってほしいけれど」
全て知っていると言わんばかりの仮説に対してもはや仮説でもなんでもないな。事実だ、変にこじれても意味が無いと判断した司はありのままを伝えることにした。そもそも自分が戦えない、人を殺せないことを話してはいけないなんてカイトからは言われていない。
約束を守ればいいという話だ。3人を俺の部下にきちんと手懐ければいいだけの話。ただ若干1人は難しく感じてきた
そうだな。隠しても仕方ない。オレは人殺しが好きでは無い。もちろん人を殺してまで自分が生きたいとも思っていない。が、部下を持つんだ。お前たちの命を軽々しく見ているつもりもない。あと、今までは普通にカイトの屋敷に居たから命を狙われることもなかっただけで誰かの命を犠牲に生き残っていた訳ではないのでそこだけは訂正させてもらう。カイトには優秀な部下をあてがってもらうように言って、カイトと契約を結んだのはお前たちだ。成立された契約の上で今更オレに破棄すると言われてもオレではなくカイトに言ってくれ。オレには権限はないからな」

一気にそう伝えたが、寧々もえむも特に気にしてはおらず本当に誰がボスでもいいらしい。ただ目の前の仕事をこなすだけという感じなのだろう。
「それでも僕は降りさせてもらう。こんなリスクだらけで契約内容も後出しすぎる。カイトさんも本当に人が悪いよ。君に言っても仕方ないならカイトさんに直談判に行くよ」
「今は外に出ない方がいいと思うが?」
司は人を殺したくない。だからこそ自分が、人が狙われていることに敏感だ。敏感すぎて外にいる敵に狙われていることはすぐにわかった。カイトの車を降りたあの時から。
殺意の感じからして決してカイトの部下たちが見張っているのではない。あいつらは俺にそんな殺意を向けないから。
だからこれは別の奴らで、明らかにオレをオレたちを狙っている。
しかしうまく殺意を隠しているのでこいつらには気づけないだろう。
「る、類くん!?待ってよ!どこいくの!?」
類はソファーから立ち上がり部屋を出ていく。
「言っただろう?僕はカイトさんの所に行くよ。君たちは命をかけてはいないけれど、僕は契約内容にそこのボスを傷1つつけてはいけないんだよ。リスクが大きすぎる」
「で、でもぉ
「契約内容に傷をつけるなって話なら私たちにも入っていた。けど、そんなのこの屋敷にこいつを縛っておけばいいだけじゃない。この屋敷の警備を万全にしておけば傷がつくことは無いでしょ」
(さりげなく寧々にこいつ呼ばわりされたがまぁいいか)
「そうだよ!!類くんすごい発明してるんでしょ!?この御屋敷のセキュリティだって類くんの発明でぱぱーっと!何とかできちゃうんじゃないの!?」
「そうだとしても生きたいと思っていない奴のために自分の命はかけたくないんだよ
類は顔を歪めて部屋から出て行った。
(流石に不味い!この屋敷から1歩でも出たら)
司は慌てて類を追う。
「ま、待て!!」
カイトがどこで見て聞いているかわからない。
このままここから出るのも危ない。
どうしたらいい。とりあえずこの屋敷から出ないようにしたいのに類は真っ直ぐに出口へと向かっていく。
このまま敵に殺されるか、カイトの手のひらの上で3人が殺されるか
「それならいっそオレが死ぬ道の方が
つい考えが口から出てしまったのか、スタスタ歩いている類がピタリと歩みを止めて振り返る。
「どれだけ自分の命を犠牲にしたいんだい?君は生かされてる。傲慢だ。自分なんかいらないというわりには大事に護られているだけの世間知らずなんだよ」
「そんなこと分かっている!けれどオレは!オレなんかの為にみんなが傷つくのは嫌なんだ!」
「それを傲慢というんだよ。生きる為には犠牲も必要なんだよ」
「その犠牲がお前たちかもしれないのにそれでお前たちはいいのか?オレがみっともなく生きたいと願えばお前たちはオレの傍にいるのか?」
……頼まれても僕はお断りだね」
何を言っても類の心は頑なで、話もそこそこにまた歩みを進める。
出口の扉に手をかける。

「類くん待って!」
「あんた達足早すぎ!!」
「お前たちまで!?」
「仲良しごっこは3人でしてなよじゃあね」

後ろから2人も追ってきているのに類は扉を開けてしまった。
「待て!!それ以上出るな!!!」
類は静止も聞かずにそのまま出てしまう。
類のいる場所はもう敵からの攻撃が簡単に当たる場所で影などない。辛うじて自分はまだ屋根がある。2人はギリギリ建物内ではあるが

「類!頼む!逃げろ!!」
そう叫んで類の背中追いかけていた。少しでも自分が盾になればいや、自分が盾になれば類だけでなく後ろの2人も殺されてしまうのかけれど司の体は思考よりも先に勝手に動いてしまった。

「っ!?君
ドンッと背中を押されて前のめりになった類は文句を言おうと振り返るが、その瞬間に敵の銃弾が飛び交って来るのが目に入り慌てて司を懐に入れるように身を翻した。
一応着ているコートは防弾チョッキの役割をするほどの高性能のものだが、翻した時に腹に1発銃弾を掠めてしまった。

「る、るい?」
なんで、どうして
類にぎゅっと抱きしめられながら司は酷く狼狽する。

「なんで
「っ……つけて殺される、も、今、死ぬのも変わらないだろう?」
手にはべったりと血がついている。
類の横腹から出ている血に司は止血しようと慌てふためくがそもそも銃撃は止まない。何とか類のコートによって弾かれつつあるもののここには影がないから銃弾を浴び続けている状態だ。

この光景に2人も慌ててこちらに来てくれるもののそもそも中距離型なのかもわからない2人にこの状態が打破できるのだろうか?
「っ!!!早く!いいから玄関まで戻って!」
「司くん!類くん!!お願い走って!」
えむはナイフで銃弾を弾いていくが量が量なので捌ききれず怪我を追っていく。寧々は応戦できない所をみると武器と相性が悪いのだろう。
「類動けるか?」
「ここから、動いたら君に、傷がついてしまう
「そんなことはいい!それくらいのこといくらでもオレが説得する!だからお前は生きるために動け!」
「じぶんのことは、棚上げの、くせに
げほっと吐き出されるのは血だ。これ以上はもう危ない。司は何としてもえむの護衛の元類を屋敷まで運ぼうと無理矢理にでも動かそうとしたが
えむの肩と足に銃弾が貫通してその場で倒れ込んでしまう。
「えむ!!!」

(2人が俺のせいで傷ついているどうしたら俺には力が無いのに)

2人とも倒れたからか寧々は防御用の盾を抱えたまま走ってくるが盾とは反対側。いわゆる内側は守られ無いものであり走ってる最中に逆側を狙われて足を打たれた彼女はすぐさま倒れ込んでしまう。

(こんなことになるだなんてこのまま3人が苦しんでいく所を見るだけなのか?カイトは助けに来ないのか?オレは3人のことを大事にしたかったならもういっそ4人で死ぬしか)

こんな状況でカイトの声が聞こえるはずがないのに頭に一瞬誰かの声がした。
『まだダメだよ』
その声とともに司の意識は消えていった。





類は信じられないものを見ていた。
人を殺せないと言っていた司が素手で敵に突っ込んでいきナイフと銃を奪い取って敵を殲滅していく。しかもその間銃撃は全く止んでいなかったのに。まるで雨を避けるかのように華麗に避けて敵のところまで一瞬で間合いを詰めていた。
返り血すら浴びず、綺麗な立ち回りに思わず目が離せなかった。

なんて綺麗に踊るんだ

えむも寧々も掠れゆく意識の中司のその動きにもだが、何も映していない瞳に全く感情ののらない表情に背筋が冷えていくのを感じた。

((怖い))

ただあの司の顔を出させてしまった自分の弱さに悔しさを抱きながらえむと寧々の意識は消えた。

…………これでいいだろう。カイト

銃撃はとっくの昔に止み、辺りには攻撃どころか敵が生きてる気配は感じられない。
司は殲滅した敵の血溜まりの中で立ち尽くし、きっとこの状況を最初から最後まで見ていたであろう男にポツリとこぼし、その場に崩れ落ちた。
類は掠れる意識の中でせっかく綺麗なままだった司が血溜まりに崩れ落ちる姿をみて悔しく思いながら、動かぬ身体にイラつきながらも少しでも駆け寄りたくてズルズルと体を引きずれる所まで引きずりそのまま意識を飛ばした。

(ごめんよ。司くんもしこの命が残っているなら今度こそ君に全てをあげるよ。そして必ず君を守るから酷いことを言ってしまってごめんね君の覚悟は相当なものだったんだね)

コツコツ、カツカツとどこかから足音がする。
カイトとブルーグリーンのツインテールをした少女が血溜まりの中で倒れている司の前で止まる。
少女は慌てて助け出そうとしたがそれをカイトは静止する。
「あーあ。司くん。せっかく綺麗だったのに。こんな汚れた所に倒れこまないで欲しいな。でも邪魔な敵を殲滅してくれてありがとう。せっついておいて良かったな。タイミングもバッチリだしね。3人の忠義もこれで手に入れられたんじゃないかな?」

カイトは血溜まりの中の司を愛おしそうに抱えあげて少女に倒れた3人の手当を指示した。

「さぁ、帰ろうか司くん。ショーは始まったばかりだよ」





致命傷もなく、いや、あったけれどどういう原理なのか傷跡1つ残らずに治療され、たった1日の休養を経て回復した3人は大元のボスであるカイトの元へ呼ばれていた。
「どうして呼ばれたかはわかってると思うけど
特に類を見てカイトは告げる。

「今回は司くんも怪我ひとつおってないし契約に関してはオマケね。さて、もう一度問おうかな。司くんの部下になる気はある?辞めるなら今回だけ見逃してあげるよ」
にひるに笑ったカイトは今度こそ答えなどわかりきっているのに意地悪な質問を投げかける。
当然3人は
「「「やらせてください!!」」」
と前のめりに返事をした。

あの時の司の顔を、行動を忘れてはいない。そしてこの身に変えても絶対に司を守りきると。3人の意思はあの時一致したのだ。

「今度は本当にそのようだね。じゃあそのままの弱い君たちに司くんは任せられないから特訓だよ。司くんは自分が戦えないお飾りのボスだと思い込んでいるし、君たちもそうだと思っていた。でも違うよ。彼は1人でも強い。けれどとても脆いんだ。だからこそ彼を繋ぎ止めるために君らがいる。司くんのことを護ってね。身も心も
ニヤリと笑うカイトにはい!と3人は返事をした。

そこからは血のにじむような特訓をたったの1週間で習得したのだった。


司の元へ戻った時に側にはブルーグリーンの2つ結びの少女がいた。
とても愛おしそうな目で司の頭を撫でている。
「「「司/司くん」」」
「さ、3人とも!!もう怪我は大丈夫なのか!?類は致命傷にも見えたが
戻ってそうそう司は心配そうな顔で3人を見る。起き上がってはダメだと側にいる少女が手で制す。
それに対してわかっているとほんの少しだけ柔らかい声で答えて顔だけ動かしていた。
「大丈夫だよ。カイトさんの所の医療班は優秀だからね」
「司こそ大丈夫?」
「あぁ。俺は別に怪我はしていないからな。それにルカが治療してくれたんだろ?なら大丈夫だろう。あいつの腕は一流だし
「ミクは〜?」
側にいた少女は見た目よりもずっと幼い甘えた声であった。
「ミクのは治療とは言えないだろ魔法か何かなんじゃないのか」
「魔法が使えたら司くんをすぐに元気にできるのにね
「俺はもう元気だぞ?」
「でもここは元気じゃないから」
司の胸に手を当てながらミクと呼ばれた少女は憂いた顔をした。

「ミク大丈夫だ。3人と話したい。カイトの所へ戻っていいぞ。どうせ外でメイコが待っているんだろう?」
ちらっと3人を見ればなぜわかるのかという顔で見ていた。
「わかったよ。もう無理しちゃダメだからね。カイトにも怒っておいてあげる」
「あぁ。部屋から出られるようになったらまた出かけよう」
「絶対だからね!ミクもみんなも待ってるからね。でもあと2〜3日は動いちゃダメだよ」
「わかっているって」
苦笑したのを最後にミクは扉ではなく窓から颯爽と消えていった。

「ミクがすまなかったな。あいつもあれでオレの治療にあたってくれてたんだ」
「まだどこか悪いの?」
「いや、特段悪くはないんだが体が動かないんだ」
「え?」
「起き上がるなと止められただろう?そもそも自分の力で体を起こすことが今は出来ないんだ。寝たきりのままですまない。お前達の方が重症のはずなのに」

3人は何が起きているのかわからなかった。確かに司には外傷は無かったはず。だからこそカイトからも許されたのだ。なのになぜ起き上がれない。

「それから皆にはお礼を言わねばならない。俺を助けてくれてありがとう。あんな致命傷を負いながらも戦えるなんてお前たちはすごいな。えむが1番動けそうには見えたが助けてくれたのか?」

「え?あたしは
「司?/司くん?」
困惑を他所に本人は感謝を述べ始める。しかし感謝を言いたいのは3人の方だ。
何かがおかしい。

「恥ずかしいことにあの状況で気を失ったようでな気がついたら屋敷のベットで目が覚めたんだ。目が覚めたのもついさっきであの襲撃から1週間経ってたと知って流石にビックリもしたがとにかく助けてくれてありがとう。こんな足手纏いのボスなんてやはり嫌だよな。最後に挨拶に来てくれたんだろう。もちろんカイトにはオレから頼んでみるから短い間だったがありがとう」

『護ってね。身も心も』

ふと類の頭に先ほどのカイトの言葉が引っかかった。
「悪いけれど僕たちはお別れを言いに来たんじゃないよ」
「は?」
「そ、そうよ!急に何言い出してくれてんの!今度こそあんたを守ってみせるからむしろこっちから頼みに来たのよ」
「あたしずっと司くんといたい!ね?あたし達に守らせて?」

司の記憶に自身が人を殺したことは残らない。
瞬時に気づいた3人はこの話を終えようとアイコンタクトをとる。

「司くんが無事で良かったよ。あの時はあんな事を言って出ていってしまって申し訳なかったね。これからは僕の全てをもって君を護り抜くと誓うよ。だから君の部下にして欲しい」
類は司の元に膝まづいて頭を垂れる。

「司。私もあんたの頼みならなんでも聞くわ。どんなやつも司の顔が曇らないように全て消してみせる。だから私をあんたの部下にして」
同じように膝まづいて頭を垂れる。

「あたしも司くんの部下になりたいな。もっともっーと強くなるから。お願い!」
えむだけは膝まづくことなく司に抱きついた。

「うおっ!!急になんだお前たち??ではもう勝手に出ていったりはしないか?」

「「「もちろん」」」

こうして新生・ワンダーランズ×ショウタイムは結成したのだった。

(第1章完)