三毛田
2024-12-03 22:28:47
1098文字
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30 030. 手を繋ぐ勇気

30日目 ちょっとしかない

 そろそろと手を伸ばし、指先が触れた瞬間引っ込められて。
「なんだ」
「ううん。触れちゃっただけ」
「そうか。だが、急に触れられると驚く」
「ごめん。次から気をつける」
「そうしてくれ」
 無意識に、丹恒は他人との接触を嫌がっているようだ。
 俺は、手を繋ぎたい。
 理由?
 丹恒が好きだから。
「わわわ! た、たんこ~! 助けて~!」
 考え事をして歩いていると、人波に巻きこまれて丹恒と離れてしまう。
「穹!」
 人波をかき分けて、丹恒が手を伸ばしてくれて。
 半べそをかきながら、その手を掴む。
「大丈夫か」
「びっぐりじだぁ……だんごぉ、ありがどぉ……
「泣くな。酷い顔だ」
 俺と手を繋いだまま、ハンカチで俺の顔を拭ってくれて。
 その動作はちょっと慣れてないのか、若干乱暴。でも、嫌じゃない。
「好き……いたい」
「そうか」
 一回ギュッと強く握られ、それから離される。
 接触を嫌っているというか、苦手なんだろうな。
「ほら。買い物はまだ終わってない」
「はーい」
 ティッシュも渡されたので、鼻をかんでごみ箱に投げ入れる。
 手も洗いたいけど、近くには水道がない。
「穹?」
「水道ないかなって」
「あそこにある。ついて来い」
 さっきみたいに手を掴むのではなく、腕を引いてくれて。
 水道で手を洗って、ハンカチで水分を拭う。
「ほら」
「え」
「嫌なら、いい」
「丹恒こそ、嫌じゃないの」
「お前が迷子になるよりは、マシだ」
「そっか。じゃあ、お願いします」
 そっと差し出された手に、そっと自分の手を重ねる。
 好き。
 好きって気持ちだけが強くなっていく。
 今度は、理由をつけずに手を繋げるようになりたい。
 出来たら、彼の恋人になって。
「穹」
「ご、ごめん」
「考え事か?」
「ちょっとね。でも、大丈夫」
「そうか。考え事をする余裕があるなら、少し重い物を持たせても大丈夫そうだな」
「イケるイケる!」
 繋いでいない腕を挙げ、笑うとため息をつかれた。
 お店に行って、必要な物を買って。丹恒と二人で買い食い。
 好きな味だったのか、表情は柔らかい。
「もうちょっと買う? それとも、パムに作ってもらうために一個だけ買う?」
「作ってもらえるなら、一つだけでいいだろうな」
 声がちょっと弾んでいて。
 可愛すぎるだろう。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様。美味かった」
 ペロッと赤い舌が唇を舐めて。
 うわ。えっろ。
「なんだ」
「ううん。俺もさっきの美味しかったから、パムに頼もうっと」
 もう一個買って、他の荷物と一緒に持って、もう一回手を繋いで帰る。