スサ
2024-12-03 18:12:58
2611文字
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【鬼水】繁栄のため青K…してくれと頼まれる話

幽霊族の結婚は聖なる結婚なので野山の祝福となるため野合すべしみたいな話、いけるのでは?と思っていたので最初だけ書きました
はじらい薄いタイプの水です(合理的)

は?」
 鬼太郎の声は地を這うように低かったが、相手も必死なので、恐れ入りながらも繰り返した。
「ですから、滅びに瀕している我が森を救うため、どうしても幽霊族の方に野合して頂かなければならな………
「ふざけるな。そんな馬鹿な話があってたまるか」
 今にも毛針を飛ばすか鉄拳withちゃんちゃんこが繰り出されそうな気配をにじませる息子に軽くため息をつきながら、野合が何かはわかっているのだなとおやじは思った。怒っているというならそういうことなのだろう。
「鬼太郎、落ち着きなさい」
「父さん、でも
 目玉のおやじは腕組みしたまま、目の前の大きな体を小さく縮こまらせながらも引き返す気配はない、どこぞの森に棲む山人を見る。
「山人殿の言うことは嘘ではない」
「え
 息子の目が丸くなる。父は苦笑した。
「もっとも、伝説といった方がいい類ではある。かつて我ら幽霊族がもっと多くの仲間を持っていた頃の話じゃからわしも聞いたことがあるくらいじゃな」
 山人は毛むくじゃらの体をほんの少し上に上げた。鬼太郎はちらりと一瞥しただけで咎めはしなかった。
 ──ゲゲゲの森は鬼太郎の棲家を訪ねた山人は、平身低頭、鬼太郎に訴えた。我が棲む山の森が滅びかけている、どうか幽霊族のあなたが森にきて、そこでどなたかとまぐわってはいただけまいか、と。
 あまりのことに鬼太郎は啞然としたが、聞けばあなたには伴侶たるひとがいるというではないか、まで訴えが進んだ所で鬼太郎の堪忍袋の尾が切れた。
 そこからは冒頭の通り。
「幽霊族は昔々、森にいきていた。次第に地下や洞窟に追いやられていったが」
………
 しぶしぶという顔で話を聞く息子に、父は腕組みの体勢のままうーん、といくらか前のめりになるように肩を丸めた。
「そのう、そういう頃はの、おおらかに、草の褥での、情を交わしておったのだ。ご先祖様たちは」
 微妙に気まずそうな父に、とりあえず息子は頷いた。
「ところがな。そうすると、その〜、ご先祖様の体液色々あるが、汗なんかもそえじゃな。とにかく、体液じゃ。それが草に落ちる」
 山人も黙って聞いているが、これは鬼太郎の怒りを買わないためで、おやじの話している内容は既に知っている。知っているから来たわけだし。
「するとじゃな。なんと、草木が元気になったり、新しい種が生まれたり
「いくらなんでもそれは嘘じゃないですか?」
 さすがに黙っていられなくなったのか、鬼太郎のツッコミが入る。いやいや、としかしおやじは首を振った。そう、首を横に振ったのだ。そこに山人がたたみかける。
「幽霊族の野合は聖なる結婚です。我ら山のものにとっては恵みなのです」
 いややっぱり嘘じゃないか、と鬼太郎は苦虫を噛み潰したような顔で頬をつねったが、残念なことにすこぶる痛かった。

 で、とあぐらをかき、美味そうに紫煙を吐いてから水木は言った。
 鬼太郎は気持ち小さくなる。目玉の方はぴょこぴょこ元気である。
「良くわからんが、俺と鬼太郎で青姦しろと」
 鬼太郎がむせた。
 おやじは「いかにも」と頷いた。
 水木は表情の読めない顔で黙り込んだ。思案しているようにも、面倒がっているようにも見える。
「確かめておきたいことがある」
 まだ半分は残っているであろう煙草を、水木は灰皿にこすりつけた。声は怒っているようではなかった。
「なんじゃ?」
「ヤッてる時なんざどうしても注意力散漫になるだろう。最中を狙われたりはしないのか」
 まるで戦いにでも赴くかのように真面目な顔で水木が問うので、さしものおやじもングッと詰まった。
わしゃ、おまえさんがまずそんなのは嫌だと言うのを説得するところからかと思っとったんじゃが」
 鬼太郎も内心頷いた。何なら嫌だと言ってほしいとさえ思っていた。勢いのまま外で交わったことがないとは言わない。しかしこれはそれとはわけが違う、はずだ。
 水木は浴衣のあわせをシュッと直しながら、居住まいを正す。
「何を言ってるんだ。そんな怪しい話、疑うに決まってるだろ。まあ最悪チンポだけ出してやればちゃんちゃんこが守ってくれるかもしれんが
 またしても鬼太郎がむせた。哀れむような顔で水木がその背をなでる。目玉のおやじも息子が可哀想になってきた。
「で、それは本当なのか?その森とやらが芳しくないのと、幽霊族のなんだ?ザーメンか?ぶちまけてやれば森にいいとかいうのは
 鬼太郎はもう泣きそうである。男らしいといえばいいのか、デリカシーがないといえばいいのか、もう何もわからない。
「それはの、本当じゃ」
 ふーん、と水木は軽く頷いた後、神妙な顔で「おやじどの、鬼太郎」と呼んだ。
「はい
 やっと顔を上げた鬼太郎の目には、相変わらず整った顔立ちの養父にして伴侶たる人がいた。条件反射で顔が火照ってしまう。
「ねずみ君には知られないようにしろよ。搾り取って肥料にしようなんて言い出すかもわからんからな」
……………、そんなことはどうでもいいです!」
 だん、ととうとう耐えきれず鬼太郎が畳を叩いた。
 水木は目を丸くする。きょとんとした顔が憎たらしいくらい可愛い。
「あなた、嫌じゃないですか、そんな、誰かの意図が働いてる上で、そんな僕たちがそのするのは、そういう何か、誰かに利用されるような、そんなのじゃ!」
 膝立ちになって訴える鬼太郎をまじまじ見つめていた水木だったが、皆まで言わせず、そこでちょこんとした可愛い鼻の頭をつまんだ。
「ふがっ」
「可愛いこと言ってくれるじゃないか」
 水木は上機嫌に言い、それからゆっくり、茶色い頭を抱き寄せた。
「そうだ。俺はおまえが好きだからおまえに許してる」
………
 目玉は小さな手で目玉の下の方を抑えた。わぁ熱烈じゃという囁きは結局聞こえてしまっていたが。
「見せつける趣味は。まあ、俺もないが」
 しかしな、と水木はニヤリと笑う。
「おまえが俺に夢中なんだって見せつけるのは、そこまで嫌でもないんだぜ」
 ちゅ、とまろい額に口づけまでつければ、義息はとうとう真っ赤になってへなへなと腰を抜かした。
で、どうする?旦那様」
 明らかに面白がっている水木に、息子だけでなく目玉の父の方も「ワァ」と小さく声をこぼした。