三毛田
2024-12-02 19:19:22
1074文字
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29 029. 写真の中のふたり

29日目 寄り添う君と俺

「ハイ、チーズ!」
 なのの掛け声に、丹恒の肩を抱き、頬に自分の頬をくっつけて。
 それからピース。
「もう。もうちょっと普通にしてよ」
「穹、近いぞ」
「二人ともひどくない?」
 そう言っても、二人とも肩を竦めるだけ。
 丹恒に至っては恋人なのに、この塩対応。
 もう少しデレが欲しいところです。
 これくらいなら、わがままじゃない。はずだろう。
「次は、俺がなのと丹恒を撮るよ」
「ほら、丹恒も笑って」
……
 反応は薄い。いつものように腕を組んで、唇の端を指で上げているなのを静かに見ている。その瞬間を、写真に収めて。
「穹!」
 怒られたけど、自然体を選ぶのであればこうだ。
「じゃ、次は丹恒が俺達を撮って」
「任せろ」
 頷いてくれたので、二人で少しだけ話し合ってポーズを取る。
……
 一瞬、丹恒の表情が曇った気がした。
 後で色々問い詰めるとしよう。
「姫子からのクエスト、これでクリアだね!」
「列車を降りた先じゃなくてもよかった?」
「場所の指定はないからね! ウチ、見せてくる!」
「前を見て歩け。転ぶぞ」
 と忠告する姿は、まるで兄のよう。リンクスを心配するジェパードみたいだから、多分合ってる。はず。
「丹恒、少しだけ妬いた?」
……嫉妬などすることないと思っていたんだが」
「思っているより、好かれてて俺は嬉しい」
 額に手を当てて、首を横に振り。
 己の口にしたことを否定したいとも取れる動きを。
 でも、俺からしたら丹恒が嫉妬してくれてとても嬉しい。
「嫉妬するということは、相手を傷つけることもある。そんな感情、俺が抱くとは思わなかった」
「丹恒も生きていて、感情を持ってるんだ。だから、嫉妬していいんだ」
「だが」
「嫉妬して、その感情まま誰かを傷つけようとする意思がなければ、いくらでもしていい」
 右手を取って、手のひらをくっつけて。そっと指を絡め合う。
「穹……
「種族は関係ない。誰かを好きになれば、大切だと思えば、嫉妬する。俺だって、丹恒が俺には理解できない会話を他の人としていたら、嫉妬するし」
「お前もなのか」
 翠が大きくなる。
 心の奥底から愛しさがこみ上げてきて。
「丹恒が思っているより、俺は嫉妬深い男だからね。さっきも、なのに少しだけ嫉妬した」
……お揃い、というやつだな」
「そう。お揃い」
 指をそっと離して、それからキスをする。
 いつもなら、少しだけ嫌そうにするのに。今日は受け入れてくれた。
「丹恒、もう少し……いいかな」
「それなら、続きは部屋で」
「うん」