けろか
2024-12-01 22:27:08
1312文字
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竹くく♀ でんど〜マッサージ機ネタ

Wip つづく…はず

 豆乳パックを空にした兵助は「あと三問で区切りつけるから」と言い残して、再び問題集に目を落とした。

 冬の陽が差し込む窓際に結露が滲んでいる。暖房の効いた部屋の中で、机に向かう兵助の横顔を眺める。真面目に問題集と向き合う姿は、いつもと変わらない。
 ゆるく跳ねた黒髪が肩にかけて流れ落ちる様も、時折眉根を寄せては消しゴムを走らせる仕草も、全部いつも通りなのに。
 ブラウスの襟元から覗く首筋が、やけに色めいて見えるのは、このカバンの中の――電動マッサージ機を、彼女に使ってあんあん言わせる期待をしているからだ。

 そもそもこの電動マッサージ機、いわゆる電マは、昨日の級友とのプレゼント交換で、というより半ば押し付けられる形で手に入れたものだ。
 予算千円のはずなのに、妙に高級そうな白い箱。
 八左ヱ門大当たりじゃん!おめでとーうなんて、勘右衛門と三郎の妙に上ずった声。雷蔵の諦めたような溜め息。全てが出来レースだったと気付いたのは、箱を開けた後だった。
「け、ん、ぜ、んに使えよ?」
 周知の仲を茶化す級友たちの声に、顔が熱くなる。いつも応援してくれる友人たちだけど、今回ばかりはやり過ぎだと思った――でも、この押し付けられた「プレゼント」を処分する気にはならなかった。

 いやだって、仕方ないだろ。俺だって男なんだからさ! そんな言い訳を頭ん中でしながら、俺は兵助の後ろ姿を見つめた。
(これ見せたら、どんな顔するんだろう)
 真っ赤な顔して本気で怒るだろうか。たじろぐかそれとも呆れるか、いや案外、興味本位で試したがるかもしれない。
 考えれば考えるほど、心臓が早鐘を打つ。手汗で滑りそうな指先で、そっとそれを取り出してスイッチを押した。
……八左ヱ門、スマホ鳴ってるよ」
 振り向きもしない兵助の声は、数式と向き合ったままそっけない。
「違うよ、これ見てみ?」
 と努めて何でもない口調で答えるとようやく視線がこっちを向いた。黒目がちな瞳が丸くなっている。
「何それ?」
「いいから来てみろって」
 プリーツスカートが翻る。三歩ほどで傍へ来た兵助の腕を掴み、そっとベットに座らせた。無垢な瞳が俺が握る機械へ一身に注がれているのを確認して、生唾を呑んだ。心臓が早鐘を打ちすぎて痛い。
「これ、マッサージ機」
「これが?」
 きらっと瞳が輝く。尻尾を立てた子猫のように、興味津々な顔だ。
 予想外の反応に、かえって俺の方が戸惑った。恥じらいも警戒も見せない無邪気な様子に、下心しかなかった自分がちょっと居たたまれない。
「ほら」
 再び電源を入れて彼女に渡してやる。
……こんな振動弱くて大丈夫なの」
 兵助はきょとんとして、それを見つめている。肩凝り、こんなんで解れなくない?とその細い指先で、スイッチの強弱を調節している。
 体温がちかい。甘い彼女自身の匂いがする。無垢な目に警戒心は一ミリも感じられない。
――試してあげるよ、兵助に」
「え」
「最近凝ってるだろ」
……いいの?」
「え、いいのっていやこっちこそいいのっていうか」
「じゃあお願いしようかなあ?そう、最近凝るんだよねえ――肩が」