三毛田
2024-12-03 18:59:00
1299文字
Public アドベント24
 

03. 側に寄り添うだけ

3
今は寄り添うことしか出来ないけど

 どんなに苦しんでいても、俺が代わることなどできなくて。
 ただ側に寄り添って、抱きしめたりすることしか出来ない。
 最近は、悪夢を見る回数は減ったと言っていた。
 それでも、見てしまう時は見てしまうようで。
 俺の隣で寝ている時も、冷や汗をかきながら飛び起きて。それにつられて俺が起きると、『大丈夫だ。お前は寝ろ』無理に笑って、俺を寝かせようとする。
 未だに信頼されていないようでちょっとだけムッとなるが、心配かけさせまいとしているが故の行動だとは、一応理解している。
 理解はしているものの、納得はしていない。
「丹恒、膝枕して」
 そう言って甘えに行くと、読書中だった丹恒は、一度本を閉じて太ももを叩く。
 太ももを叩く音が、耳に心地よい。
 そっとそこに側面を乗せ、自分の耳に響く鼓動を聞く。
 時折俺の髪を撫でる、丹恒の手のぬくもりが心地よくて。
 気づいたら寝てしまった。
「はれ?」
 体に毛布が掛けられ、丹恒の太ももがただの枕に。
「ああ、起きたか。お前を部屋に運ぼうかと思っていたところなんだ。どうする?」
……起きる」
 ゆっくり起き上がり、大きく伸びをする。
「ほら。パムに頼んだら、ココアを淹れてくれた。ゆっくり飲め」
「ありがと~……
 声がガサガサだ。ホットココアが、しみていく。
「はあ……美味しい」
 指先もちょっと冷えていた。それだけ長く寝ていたのだろうか。
「そうか。俺も、甘さ控えめのココアを淹れてもらった。お揃いだ」
「そっか。お揃いだ」
 嬉しそうに笑ってカップを持ち上げて飲む。
 ああもう。
 今日も丹恒が可愛すぎる。
「夕飯の時間、過ぎてる」
「俺は余り腹が減っていないから、お前に合わせようと思っていた」
 そう言った瞬間、ぐうと音を立てて。
 お腹を押さえ、顔を赤らめる。
「じゃ、これを飲んだらご飯にしよう」
「あ、ああ」
 お腹が鳴ったのが恥ずかしかったのか、小さく頷く。
 二人で連れ立って、ラウンジへ。
「ようやく起きたか。今日は、ハンバーガーと野菜たっぷりのコンソメスープじゃ! ポテトは、食べたい者には提供しておる」
「丹恒、どうする?」
「そこまでたくさんは食べられないな」
「じゃあ、半分ずつするか」
「ああ」
「二人で一人分じゃな。今持ってくる。待っておれ」
「ありがとう、パム。ココアも美味しかった」
「それはよかった」
 俺がお礼を伝えると、パムは嬉しそうに微笑んで。
「お、大きい……
「想定以上だな」
 丹恒も驚いたのか、目を丸くしていて。
「丹恒の顔くらいある……
「いや。穹の顔か?」
 二人で皿を持ち上げて、互いの顔の横に持って行って。
「何をしておるんじゃ……
 パムの呆れた表情。
「丹恒、撮って」
「いいぞ」
 と言うので撮ってもらう。
「穹、俺の方も頼んだ」
「いいよ~」
 丹恒の顔の横に添えられたハンバーガー。いやいや。
 というか丹恒、めちゃくちゃ顔が小さいでしょ。
「これはかぶりつくの無理だ」
「そうだな。フォークとナイフで食べるしかない」
 いただきます。
 両手を合わせる。