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Nosmi
2024-12-01 17:30:39
1444文字
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シュが魔王の魔王ifの話 (ライシュロ)
注意:人死にと流血描写あります(原作程度)
BADエンドです
キャラ崩壊気味なので何でも許せる人向け
迷宮の奥には奇妙な城がある。
屋根を重ねた塔のような、長命種たちでも見たことのない形をしている。中は暗く、廊下や階段にはびっしりと異国趣味の意匠が施されており、その異様な雰囲気に飲まれる兵士も多く指揮官たちの焦りを煽っていた。案の定罠や魔物の襲撃を受けた魔王討伐隊は分断され混乱し散り散りとなって、最上階に辿りつく頃には精鋭たちしか残っていない有様だった。
城主はその最上階の広間にいた。
東方の甲冑と刀を身に付け、その上にマントのように長く血のように赤い陣羽織を着た姿で玉座に座っていた。そのすぐ隣には騎士が一人静かに控えている。何かの獣を象ったフルフェイスの兜と全身を覆う鎧のせいで本当の人間かも判然としない。
指揮官が最後の通告として投降を促しても魔王からは何の反応もない。黒い瞳に何を映すでもなく、虚ろな顔で茫とするばかりである。隙だらけの様子を好機とみた指揮官は、先ほどの時間稼ぎの間に背後で詠唱させていた魔術を展開させようとした。
その時、王の隣にいた騎士がガチャリと一歩踏み出した瞬間、玉座から王が消えた。
咄嗟に振り返った視界は赤かった。魔王が着ていた羽織の赤 ━━━━ 否、仲間の首から噴き出す鮮血の赤だった。血を振るって刀を納めた魔王は再び居合の構えをとる。剣に長けた仲間が斬りかかるとその肘から先が唐突に消え、その直後には鎧の隙間を精確に貫かれていた。
尻尾のような黒髪が翻る度に赤い飛沫が上がる。
何より恐ろしいのは最初に見た時から変わらない表情である。殺気すら無いまま人を殺す姿はもはや人でなく、魔物と呼ぶにふさわしい姿だった。
気付けばもう己の他に生きた人間はおらず、能面がこちらを向く。全てを飲み込み何も返さない深淵のような瞳と目が合った瞬間、必死に抑えていた恐怖が弾けた。
そこから後のことはわからない。
無音となった玉座の間にガチャガチャと鎧の足音が響く。騎士は立ち尽くしている王の様子を窺うようにその顔を覗き込んだ。
「
…………
今日はもう休む」
ぽつりと呟かれた言葉に頷くと、騎士は奥の部屋へと促すように肩へ触れた。
血に染まった服を脱がせて顔や体についた返り血を拭いている間も二人は無言だった。白い寝巻きを着せベッドまで連れて行き、騎士が汚れた服などをまとめて片付けてから部屋に戻っても、彼はまだベッドに腰掛けてぼんやりしていた。
「
…………
ライオス」
その呼びかけに騎士は近づきながら首元のベルトを外してようやく兜を脱いだ。手近な机にそれを置いて彼に向き合う。
「何だい?シュロー」
シュローは目の前に立ったライオスの右腕を掴むと自身の左胸にその掌を押し付けた。
「頼む、俺を
………
俺を、罰してくれ
……
」
何も救えなかった男は青ざめた顔で唇をわななかせながら懇願する。
「まさか。罰するなんてそんな酷いこと、君にはしないよ」
反対に優しい微笑みを浮かべる男はそのまま彼の体をベッドへ丁寧に寝かせる。なおも言い募ろうとする彼を宥めるように、胸を押さえたままのガントレットの爪が薄い布地にギチリと食い込んだ。横たわる体がぎくりと揺れる。
「君を愛することならいくらだってできるから、そっちにしよう。幸福を確かめ合う方がずっといい。
そうだろ?」
先ほどまで空っぽだった瞳に初めて怯えの色が浮かぶ。
だが男はそれに気付かない。彼には見えていない。
王の主は歪んだ瞳孔を持つ目を嬉しそうに細めた。
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