あがれす@ばんちゃ
2023-12-03 09:17:49
5520文字
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ロスガル自機の父ちゃん母ちゃんの話

2023年12月19日に公式設定資料集が出てロスガル族に関する公式設定が補強されまくる前にうちのとこの設定として出しとかないと死ぬぜ!!!と思ったものをどうにか形にしたものです。自機からの呼び方的には「父さん」「あの人」

フョードル・アガレス
フューリーの父。享年44歳。生きていれば59歳になっていた。
 ガレマール帝国によるボズヤ地方属州化の流れの渦中で育った聡明な戦士。大きな変革の流れの中で自分達はどうすべきかと頭を突き合わせながら話し込む大人たちの姿を見て育ち、子どもながらに帝国人や他属州の者とも積極的に交流して知識や技術や考え方を取り入れ、一族へ仲介する役割を買って出た人物。苦労や失敗ももちろんあったが兄弟たちと協力して比較的良好な関係を築くことに成功し、当時のガレス(※一族の主導者)からは次代を担う者として期待され認められる。成長してから名誉を捧げる機会を得たが結果には恵まれず、どれほど名誉を捧げても実を結ぶことはないのだと悟り別のカタチで一族に貢献しようと奮起。幼少期の経験から教育者としての道を志す。
 ボズヤ地方全域が帝国属州に組み込まれたのはフョードルが10歳になるより前。ちょうど帝国式の教育が施行された都市部から地方へと伝達されはじめた世代であり、当時のガレスからは「知識や文化そのものに善悪はありません。その良し悪しは生きる人と未来が決めることあなたが見聞きし学んだことをどうか伝えてあげて。受け取り方はどうであれ、それは決して他人に奪われない財産になるから」と後押しされている。当時のガレスは先祖への献身ではなく、今とこれからを生きる者たちへの献身を選んだのだ。
 当時のガレスの一族は主導者をはじめ思慮深く柔軟な考え方を持つ者が多く、フョードルを含め教育者を志した数人は帝国が設置した福祉局の職員として勤めている。自分たちも帝国式教育を学び教え合う傍ら、自分たちの文化や国のことを改めて調べ見つめ直し、同じ属州という立場になった他国の歴史や文化や考え方なども語り合った。どれほど多くが違ってもそれを悪と言い切り選り分け排他するのではなく、多くが違うからこそ支え合い協力出来るはずだとフョードルたちは信じていた。そんな彼らに教えを受けた子らは戦士であったり術者であったり、あるいは研究者や技術者であったりと多彩な才能を開花させ、地方の少数部族であったガレスの名を守る盾となり時代の奔流を生き抜く活路となる。
 時は流れ、敬愛する献身者は静かに星海へと旅立った。新たな巫女がガレスに選ばれた折、フョードルは一族を支えた功績を讃えられ次代のガレスに名誉を捧げる機会を得る。ガレスとなった巫女の名こそ知れど、直接の面識はない。年齢も一回りほど離れているはずだ。先代に幾度か名誉を捧げた経験はあっても、肝心の子を成したことがない自分が、何故?フョードルにはわざわざ自分が選ばれた理由がわからなかった。
「あなたを、知っています」
 困惑する暖色の毛並みに、新雪を思わせる寒色の毛並みが重ねられる。若くしてガレスに選ばれた物静かな少女は、主導者としての役目を与えられるよりも巫女としての名前を与えられるよりも前に、幼かった自分に寄り添い、夢を語らい聞かせてくれた人のことを覚えていた。
俺にも、子どもがいればなぁ」
 夕焼けに溶けた呟きと、やりきれないように笑った赤毛の人を、少女は覚えていたのだ。……いつか、この人のガレスに。少女が献身を尽くしたいと最初に望んだ相手こそが、他でもないフョードルその人だった。
草木が色づき、風の匂いが変わる。産声を上げて生まれてきた子は、紅葉を思わせる赤毛の男児だった。28歳でようやく授かった実子に喜んだのもつかの間、フョードルは選択を迫られることになる。
「いつの日か帝国を打ち倒す旗印として、この子に対の巫女の名を」
 葛藤の末フョードルは一族の願いを受け入れ、我が子に相応しい名を付けた。止まない怒りを秘める者。いつか復讐と報復を成し遂げる者。フューリー・アレクト・アガレス。片手で抱き上げられるほどの我が子が果たしてどれほど過酷な運命を背負う事になるのか、フョードルに知る術はなかった。
 蒸発事変の折には情報をいち早く掴んでいたレジスタンス達と協力して一般市民の避難誘導に当たっていたことが確認されている。が、その後の消息は不明。都市部から離れた地下の遺構に逃げ込んでいた一家が、フョードルによく似た人物について証言している。
「福祉局の者だと仰っていてうちの子が落としてしまったぬいぐるみを探しに外へ行くとそう言って、そのまま


ガレス
 ロスガル族の中でも知名度の低い辺境の部族を率いていた女性主導者。ガレスの名は主導者として代々受け継がれるため、特定の個人を指す場合は誰の母か、あるいは巫女としての名か幼名を知っている必要がある。
 ガレスの一族は女王グンヒルドに献身を尽くしたとされる巫女ガレスを始祖とし、コミュニティの調和を重要視する由緒ある血統の一族である。古くからのしきたりで一妻多夫の血縁関係を築いており、家系で見ると兄妹(姉弟)間での交わりも少なくはない。ただし、主導者となるガレスが代替わりする際には血が濃くなりすぎるのを防ぐため、毛色がもっとも異なる巫女を次代のガレスに選出する風習がある。双子や三つ子を授かる場合が多いが元々ロスガル族という種族自体の男女の出生率に大きな差があるため、五人に一人女児が生まれれば良い方。そのためヒューラン族などに比べるとより安定して多くの子を産み育てる必要があり、身体機能として特有の周期性(いわゆる発情期)が存在する。この期間に子を授かるべく励むため、三つ子だが全員毛色が違う=父親が違うなどもザラ。ガレスや巫女となっていない者でも子を儲けることは誉れとされるが、毛色で父親がわかるため男性の責任能力が問われる。多く子を成すことと同等かそれ以上に、子を守り育てることへの献身と覚悟を示すことが出来なければ一族とコミュニティの存続に関わるのはもちろん、前述の通り血が濃くなりすぎる可能性が高まるためである。すでに一部の毛色を持つ者の家系では発育不全や病にかかりやすい、子が出来にくいなどの遺伝上の弊害が発生しやすくなっている。

 元々はガレスの伝承を語り継ぐ一族が生活するだけの小さな集落を根拠地としていたが、時代が下るにつれてボズヤ都市部やガレマール帝国の版図に組み込まれた周辺諸国などの外から流入した他部族のロスガル族や他種族も多く生活するようになっていき、次第に村と呼んでも差し支えない規模のコミュニティとなっている。文化交流が進むにつれ一夫一妻制が浸透しつつあり他種族と婚姻関係を結ぶ者も増えたが、始祖たるガレスとその名を継ぐ主導者への尊敬は少しも損なわれていない。古いしきたりと風習は今も続いており、種族を問わず巫女を志す者もいる。また男性においては他種族であっても妻帯者であっても主導者たるガレスより子を求められることが稀にあり(上記の“血”の問題があるため)、そこに関しては大変に名誉なことであるという共通認識が徹底されている。
 村は都市部から離れた辺境の地にあり、ガレマール帝国によるボズヤ地方属州化の際には特に大きな反対や抵抗運動もなくその軍門に下っている。村の人々の生活と子らの安全を優先しての判断だったが、当時のガレスは何よりシタデル・ボズヤ国内で長年に渡り続いていた貧富による身分の格差問題を同じ国の民として恥ずべきものと捉えていたため、シタデル・ボズヤから遣わされた使者を一喝して帰らせている。
「裏切り者どもめ!そなたらの始祖は女王へ嘘偽りのない献身を捧げたというが、その話こそ嘘偽りだったのではないか?今こそ国が、ボズヤの民が一丸となってあの黒鉄の侵略者どもに立ち向かい抗うべき時であろう!?」
「黙れ痴れ者。おぬしの言うボズヤの民とは硬貨を手にできる一握りの者のことを差しているではないか。かの巫女が献身を捧げたのは国でなく、民を愛し守り抜いた女王その人だ。富を基準に序列や優劣をつけ、民に圧政を強いる国に尽くして何になる?それとも辺境に住まう我らが何も知らぬとでも思っているのか。政にだけ熱心に口を出し私腹を肥やすことに精を出す者が、同じ口で我らの献身の名を愚弄してくれるな!」
 そもそも女王グンヒルドの献身に努めた始祖ガレスは、特別な力や家柄も血統も持たないただの巫女でしかなかった。グンヒルドは決して公にはならず記録にも歴史にも残らないだろうその惜しみない献身への恩賞として、戦や政にガレスが巻き込まれないようじきじきに辺境の小さな土地を授けたのだ。ガレスもそれを粛々と賜り、自身の血族と友と、僅かばかりの家畜を連れてほそぼそと移り住んだという経緯がある。
 女王の親衛隊であったグンヒルドの剣の末裔としてガンブレイカーの剣技を継承していたラドヴァンやロスティックの家系、二百年にも渡って武芸の腕を磨き門戸を開いて後継者を募り増やしていた翠の一門などとは違い、ガレスの一族はほんのささやかな由緒こそあれど権力はほとんど無いに等しかった。小さな集落に少しずつ人が集いいつの間にか辺境の村となったのは、あくまでも互いに支え合って生きてきた皆の“献身”の成果にすぎないと、当時のガレスは考えていた。にも関わらず、シタデル・ボズヤから巫女ガレスの伝承を知る者がわざわざ遣わされたことの意味を当時のガレスが察しないわけもなく。
「行って滅せよ、平らげよか。雪原に追いやられたガレアンの民がまさかここまで奮起するとは、王都の者どもは考えてもみなかったと見える。我らに斯様な声が掛かるとは」
 ガレアン族がその種族ゆえの特性から抑圧され虐げられてきたのは歴史が物語っている。その反動がこの破竹の大躍進なのだとすれば、ボズヤ王都で今もなお贅の限りを尽くしている者達は気が気ではないだろう。文字通り明日は我が身かもしれないのだから。大陸各所で戦の火蓋が切って落とされ、すでに多くの小国がガレマール帝国の版図に組み込まれたと聞く。ガレスの村に流れ着いた者たちも口々に話していた事だ。ガレスの一族は恐らく、ボズヤという小国の団結を促す“楔”として献身を求められたのだろう。……本来なら秘匿されるはずの人柱を必要とする闘神の伝承は、ガレスの一族にもひそかに語り継がれていた。
「この大陸をどこまで照らし、どこまで灼こうというのだ。太陽の名を持つ者よ」
 細められた目が地平線を見やり、聞こえてきた泣き声がガレスを主導者の顔から母の顔に戻した。今一度、ガレスはその金の眼を細める。守るべき者たちの為に、選択を誤らない為に。

 上記のガレスはフューリーにとって大叔母にあたる人物。フューリーが生まれる以前に死去しているため面識はない。本編時間軸よりおよそ50年前、ガレマール帝国による北州大陸統一の過程で発生した周辺諸国からの難民や流民も積極的に受け入れ、村に侵攻してきた千人隊長を相手に
「我が村を属州としてください。我らを属州の民と認めてください。我らの生活をいたずらに脅かさないと約束して下さるのなら補給地として村の門戸を開き、必ずや貴国の一助となりましょう」
「いいや足りない。腕に覚えのある男連中を兵として差し出せ。こんな辺鄙な村でもボズヤのロスガル族が戦えないわけがない。何なら女でもよそ者でも構わぬぞ」
いいでしょう。ただし我が村に住まう者はみな我が子。もしもたった一人でも傷つけ赤子一人でも泣かせたその時は、我はガレスの名を捨てます。巫女セクメトの名にかけ、必ずや報復を行いましょう」
 と直談判し啖呵を切った女傑。相手が属州出身の義を重んじる武人だったことが幸いして交渉は成立、ガレスの村はシタデル・ボズヤ侵攻の足掛かりの一助となり、村人たちは帝国の市民権を得た。

 それから20年後。星海へと還った先代を悼みながら新たなガレスとなり、フューリーの母となったのは寒色の毛並みを持つロスガル族の巫女エイラ。炎を思わせる苛烈さを持っていた先代とは違い、穏和で物静かな印象のある女性だったがその芯は先代に負けず劣らず強かった。ガレスの村が属州という立場に甘んじるのではなく帝国領内でも自治区として認められるようにと奔走し、村周辺に点在していた他種族の集落や不干渉を貫いていたヴィエラ族の元へ自ら赴いて交渉し協力関係を結んだ先代ガレスの意志をしっかりと引き継ぎ、エイラはガレマール帝国とシタデル・ボズヤの両国の交易の橋渡しとなるべく尽力する。
 フューリーはもう声も顔も覚えてはいないが、自身の毛並みの差し色として青紫の虎柄を染め入れているのは自身の血統を表す意味もある。

 献身の巫女ガレスを始祖と仰ぎその名を伝承と共に受け継いでいるが、同時に受け継がれているもう一人の巫女の伝承がある。献身と対をなす復讐の巫女、その名はフリアエ。女王グンヒルドに仇なす者達を地の果てまで追いかけ罰したとされる女傑である。
 一族の始祖であるガレスが惜しみない献身を捧げたグンヒルドとは、戦で傷つき倒れた女王に代わり闘神の人柱とされた平民出身の巫女であった。フリアエが地の果てまで追いかけ罰したのは、そんな巫女の存在を闇に葬り去った女王の剣たちであった。三人は共に修行の日々を過ごした友であったのだ。歴史の表舞台にかろうじて残された名は一つきりだが、慈愛の献身と親愛の復讐はただ、彼女のために捧げられたものだった。今や誰も知る者のない、失われた伝承の一片である。


キーラ・マグノリア・ガレス
フューリーの妹。15歳。フューリーは14歳で徴兵されたため、彼女の存在を認知していない。