あがれす@ばんちゃ
2023-02-16 19:54:16
5789文字
Public アガレスとジェーン
 

なんちゃってポ○モンバトル

14うちうちなアガレスとジェーンを平和的にバトらせようとしたらポ○モンバトルすることになったクロスオーバー作品です。何???
※原作ゲーム準拠じゃないよ!

※このクロスオーバーは何もかもがフィクションです。



「レギュレーションはシングル勝ち抜き、手持ちは三体でいいな?」
「オッケー。時間もちょうど良さそうだし、今日のお昼はあたしが勝ったらカレー、アガレスが勝ったらサンドウィッチにしない?」
「負けた方が作るのか?」
「まさか!一緒に作るに決まってるでしょ。なに入れたいか考えといてよ」
サンドウィッチに挟むなら何だ?」
「ちょっとそれ煽りになるって分かっててわざと言ってるでしょ!?絶っ対カレーだから!」


 真新しいスーパーボールを大きく振りかぶって、海と空に映える赤と白のロングコートがはためく。フィールドに飛び出してきたのは人狼族を思わせるシルエット……青と黒の体が特徴的なポケモンだった。
「進化したのか」
「そっ!特訓の成果見せるよ、ルカリオ!」
 やる気に満ちた声に応えるように、ルカリオは自身の拳を打ちつけて見せる。アガレスが握っていたモンスターボールがカタリと揺れた。太い指が年季の入ったボールを宥めるように撫でる。最初に出すポケモンはもう決めていたが、勝負に期待しているのはどうやらアガレスだけではないらしい。
そうだな。相手にとって不足はない」
「!」
 放られたボールから現れたのは、ルカリオよりも幾分か小柄な茶色い影。地面の感触を確かめるように一撫でして立ち上がったのは、白い頭骨に骨の棍棒を持ったポケモン。
「ガラガラ!」
「ああ、師弟対決といこう」
「くぅ〜!負けらんないよルカリオ、絶対イイ試合にしよう!」
 トレーナーであるジェーンとそっくり同じ、ルカリオは大股で構えを取ってステップを踏んでみせる。対するガラガラは左手を前に、右手首でくるりと骨棍棒を回して静かに構えた。トレーナーであるアガレスが、いつもそうするように。
 高く高く飛ぶ海鳥の鳴き声が、二人と二匹の試合開始の合図となった。

「しんそく!」
 ジェーンの声と同時にフィールドを青が走り、距離を取っていたはずのガラガラの目前にルカリオが迫る。アガレスからの指示はなく、ガラガラも避けようとはしなかった。
 神速の勢いもそのままに打ち込まれようとした発勁を見切り、ガラガラがルカリオの右手を手刀ではたき落とす。だが先手を潰されてなおルカリオは止まらない。再び発勁を打ち込もうとしたルカリオの動きをガラガラは読んでいた。鋭く踏み込み発勁を打ち込もうとした左手を骨の棍棒による小手打ちで牽制し、痛みで怯んだルカリオの鼻先を息つく間もなく薙いだ骨棍棒が掠める。
 そこでようやく飛び退き距離をとったルカリオは、痺れる両腕を振るい体勢を立て直した。赤い目線の先、ガラガラは構えを解かないまま微動だにしていない。
「さすが!ルカリオ、ボーンラッシュ!」
 地面に両手をついたルカリオが土塊で骨を模したトンファーを生成する。神速を使う必要はもうない。一足飛びでガラガラに迫ったルカリオの姿は、トレーナーである二人の目にはほとんど残像しか見えなかった。
「迎え撃て、ガラガラ」
 ガラガラは攻撃を見切った上で受け止める。進化して姿は変わっても不屈の心は健在か。初手の打ち合いからルカリオの……リオルの成長を感じ取ったガラガラは、頭骨の下で薄らと目を細めた。
 がちりと鈍い音を立てて交差した棍棒とトンファーの鍔迫り合いはすぐさま弾け、猛然と打ち込まれる打撃の嵐をガラガラは右手に握った骨棍棒一本でいなし、捌き続ける。骨と岩のぶつかる音が大小いくつ響いただろうか。じりじりと押され始めたのはガラガラの方だった。ポケモンとしてのステータスの差、体格の差、何よりそのスピードと手数が戦況を決定的に変えるのは時間の問題かと思われた……だが。
「まずい!ルカリオ下がって!」
 先に気付いたのはトレーナーであるジェーンの方だった。突然の後退の指示に、ルカリオの思考が一瞬止まる。
どうして?もう少しで押し切れるのに?
 思考から一拍遅れて動きの鈍った体が感じたのは、海辺に似つかわしくないほどの熱。内から湧き上がってくる高揚感とは全く違う、もっと確かな熱量が目の前の相手に宿っている。
 そこまで思考が追いついても攻撃の手を止められないまま、ちぐはぐと拍子のずれたルカリオの体に叩き込まれたのは真っ赤な炎を纏った拳だった。空よりも海よりも青い体は、続けざまの骨棍棒の一撃でフィールドの端まで吹き飛ばされる。
「ルカリオ!」
 猛攻を凌ぎ反撃に転じたガラガラは骨棍棒をくるりと握り直し、左手で揺らめいていた炎を払う。炎のパンチは元々タイプ相性が不利な相手にも対抗できるよう覚えていた技だったが、ルカリオ……バトルの基礎を教えていたリオルと、そのトレーナーであるジェーンには見せたことがなかった。今までの二人には見せる必要がなかった、というべきかもしれない……ガラガラはそれだけ、この戦いに本気を出そうとしていた。
「優位に立てそうだと油断して指示を聞かなかったな。甘い」
 そう呟いたアガレスに同意するように、ガラガラが小さく鼻を鳴らす。
 吹き飛ばされたルカリオはうずくまったまま、まだ立ち上がれずにいた。効果抜群の技をもろに受けたダメージだけではない。進化して強くなったという自信ばかりが大きくなり、同時に弱点も増えたという認識をすっかり忘れてしまっていたのだ。
 ルカリオは戦いの師であるガラガラに対して軽率に「押し切れるはずだ」と甘く見た自分を、一瞬でもジェーンの判断を信じなかった己の未熟さを痛切に恥じていた。握りしめていたはずの骨を模したトンファーは元の土塊に戻り、視界がじわりとぼやけて滲む。鼻の奥がつんとするのは、焼けた体の匂いのせいだけではない。
「ルカリオ」
 そんなルカリオの縮こまる体に掛けられた声は、静かで力強く。
「大丈夫、さっきは惜しかったよ。まだやれるよね」
 そう肩を抱くように、背中を押すように、ジェーンは前を見据えたままたったそれだけ伝えた。ジェーンからの信頼は微塵も揺らいでいない。ルカリオにはそれだけで、その言葉だけで十分だった。
……まだやれる。まだ、戦える。
 ぼろぼろの青い体が立ち上がり、濡れた赤い瞳にふたたび闘志が宿る。勝負はまだ終わっていない。負けたくない。信じてくれるジェーンと、期待して戦ってくれているアガレスと……本気のガラガラと、絶対にイイ勝負をするのだ。
いい顔だ。さっきまでとは違うぞ、油断するなガラガラ」
 ルカリオとジェーンをじっと見据えたまま、ガラガラはアガレスに返事をするように鳴き声を一つ上げる。日に照らされた頭骨の下で、ガラガラは誰に知られることもなく笑っていた。
……ああ、楽しい。
 心なしか、アガレスの声にも熱が篭もっている気がする。期せずして訪れた師弟対決の機会を喜んでいるのも、こうして向かい合う相手に期待しているのも、決して自分だけではないのだと。そう思えた事が、ガラガラは何よりも嬉しかった。

「めいそう!」
「させるな、じならしだ」
 体力の削られた今の状態で接近戦は挑めない。そう判断したジェーンを信じ、ルカリオはその場から動かなかった。ガラガラが地面を踏みならす。地震と勘違いするほどの揺れの中でも、ジェーンの無我の構えを真似て瞑想を始めたルカリオの姿勢は崩れない。
なら崩すまで。ストーンエッジ」
 再び地面を踏み隆起させた岩盤に、ガラガラは渾身の力で骨棍棒を振るう。音を立てて砕かれた破片がいまだ瞑想を続けるルカリオの方へと飛び散るが、ルカリオはまだ動かない。
「はどうだんで撃ち落として!」
 瞑想で威力が上がりエーテルの塊と見間違うほどになった波導弾が、直撃するかと思われるほど肉薄した岩の破片を吹き飛ばす。粉々になった破片がルカリオと背後にいるジェーンの身も掠めたが、ルカリオもジェーンも怯みはしない。それよりも……周囲に浮かび漂う不気味な岩の破片に気付いたジェーンが非難の声を上げた。
「ちょっと今ステロも撒いたでしょ!?」
「さぁな。ガラガラ、もう一度だ」
「やらせないでルカリオ!もう一回はどうだん!」
 骨棍棒を振るおうとしたガラガラよりも、ルカリオの方が速かった。素早く放たれた波導弾が隆起した岩盤に当たり、砕けた石が土煙を上げながら岩なだれのようにガラガラに降り注ぐ。予期できなかった事態に一瞬怯んだとはいえ、ガラガラは咄嗟に振りかぶっていた骨棍棒で岩なだれを防御してみせた。
 だが、ルカリオもその一瞬の隙を見逃さない。ガラガラの無防備になった左側面に、間髪入れず飛んできたもう一発の波導弾が直撃した。もうもうと立ち込める土煙でガラガラの様子はよく見えなくなったが、エーテルを視るように波導を捉えることができるルカリオにはガラガラのうずくまる姿が見えている。
 攻撃を阻止できたという手応えは確かなものだったがやはりと言うべきか、砕けて漂う大小様々な岩の破片が、あれがただのストーンエッジではなかったことを雄弁に物語っていた。
「ほらぁ!ずるいんだってステロは!」
 思いきり顔をしかめて叫ぶジェーンに同意するようにルカリオが小さく頷く。内心よく似てきたなと思いこそしたが、アガレスは何も言わなかった。ブーイングを飛ばしてくるジェーン達に言い返すよりも先に、声をかけるべき相手がいる。
「無事か、ガラガラ」
 土煙の中から現れた相棒は、アガレスからの問いかけにヒビの入った骨棍棒を小さく掲げて答えてみせた。だらりと下がった左腕……タイプ相性は悪くないとはいえ、波導弾の直撃はさすがに堪えたらしい。
 ガラガラは特別ステータスが高いポケモンというわけではない。ルカリオが神速を使わなくても普通なら追いつけず、特殊攻撃のレパートリーはそこそこあれど大きな威力は見込めなかった。波導弾が必ず命中する技である以上、距離を取られたままではあまりにも分が悪い。
接近戦しかないな。頼むぞ」
 ガラガラが負傷した今、遠距離から消耗させられる展開だけは避けなければ。アガレスの指示を受け、任されたと言わんばかりに骨棍棒を肩に担ぎ、ララフェル族程度の体格しかないガラガラが土煙の舞うフィールドを駆け出す。
「来るよ、はどうだんで牽制して!」
 必中のはずのエーテルの塊が、ガラガラには当たらなかった。ステータスの差を補うために、ガラガラは空中に浮かび漂う岩を利用したのだ。見え隠れする姿を狙って波導弾を撃っても岩石に阻まれ、時折飛んでくる石片とホネブーメランがエーテルを視て操るための集中力を削ぐ。地ならしとストーンエッジ、そこに紛れさせたステルスロックは文字通り、この状況を作るための布石だったのである。
 ガラガラはフィールドを走りながら大小さまざまな石片を叩き、砕き、時折隠れ、ホネブーメランも交えながらルカリオとの距離を着実に縮めていく。じわじわと距離を詰められる感覚がルカリオを大いに焦らせ、エーテルを感知する暇を与えなかった。
 ガラガラの姿はもう目と鼻の先。ルカリオはありったけの闘気も篭めた波導弾を放った。咄嗟に隠れた大岩が砕け散り、巻き上がる土煙すら切り裂くようなホネブーメランがルカリオを強襲する。
 ジェーンに指示を出されずとも、ルカリオはホネブーメランが来ることを読んでいた。ボーンラッシュの時に生成してみせた大地の骨を両腕に構え、ルカリオはヒビの入った骨棍棒を勢いよく弾き返す。
「まだ油断しないで!」
 ジェーンから飛んだ警告はルカリオの耳にしっかり届いていた。ホネブーメランと同じ軌道で土煙の中から飛んできた何かを、ルカリオは渾身の力で殴りつける。地面に叩きつけられたのは硬い岩石でもしっかりとした茶色い体でもない。もっと柔らかで、頼りない質量をした何か。
「みがわり!?」
「すてみタックル」
 みがわりに驚き目を見開いたルカリオの直下から、炎のパンチの比でない衝撃が襲いかかる。鳩尾に硬い感触がめり込む感覚に、ルカリオの意識が危うく遠のきかけた。エーテルを視ずともわかる。地面から穴を掘って突っ込んできたのは間違いなくガラガラだ。揺れた視界に映る白で、ルカリオは自身の鳩尾にガラガラの被る頭骨がめり込んだのだと悟る。
「こらえてルカリオ!ラッシュで引き離して!」
 ジェーンの声でどうにか歯を食いしばり両手に握った土塊を強く握り直して、ルカリオは遠のきかけた意識を必死で繋ぎとめる。ダメージは大きいが、翻弄されていた先程までと違いこの距離で攻撃が外れることはまず無い。ルカリオは胴体にめり込んだ頭骨に向かって骨のトンファーによる殴打を繰り返した。二度、三度、四度。
 五度目を振りかぶった時にようやく離れたガラガラはよろけも倒れもせず、着地した低い姿勢のまま右の拳を構える。汚れた小さな体、力なくぶら下がったままの左腕……それでもかち合った視線の先の赤い瞳は爛々と光り、戦意に呼応するかのように拳から揺らめき立つ真っ赤な炎を見て、ルカリオは背筋が凍るような感覚を覚えた。
 そんな状態でも、まだ。
「押し通せガラガラ。ほのおのパンチ!」
 ガラガラは確かに、笑っていた。
「負けるなルカリオ!インファイト!」
 ジェーンに鼓舞されたルカリオが、己の怯えを払うようにガラガラの閃火に立ち向かう。
 一つ拳を振るうたび骨を模したトンファーが崩れ、土塊がさながら星屑のように瞬きながらガラガラの拳へと焚べられていく。ルカリオの猛攻は流星が尾を引くように鋭さを増していくが、ガラガラの炎はそれに勝るように煌めいて。
 かの星神の域にも届こうとした起死回生の鋼の拳は、紅焔を纏った一撃に打ち負けた。


○ガラガラvsルカリオ●
ガラガラ♀️ わんぱくで血の気が多い
特性:石頭
みきり
ホネこんぼう
ボーンラッシュ
ほのおのパンチ
じならし
ストーンエッジ→ステルスロック
みがわり
あなをほる→すてみタックル

ルカリオ♀️ がんばりやで辛抱強い
特性:不屈の心
しんそく
はっけい
ボーンラッシュ
めいそう
はどうだん
きあいだま
こらえる
インファイト→きしかいせい→コメットパンチ