あがれす@ばんちゃ
2022-01-20 13:42:37
1217文字
Public アガレスとジェーン
 

なんてことない、誰かの結末

書きてぇときに書きたいように出力してるだけなので決定項ではないです。ただただこういう結末も好きなんだよなって話。薄目で見てくれよな。

冒険者として未開の地を探索するのではなく、あくまでもその護衛として世界を見渡す旅路を征く。
心身ともに頑健、冷静沈着で戦いの腕も立ち、仲間たちからも信頼されていたが、その風貌と様相から原住民の恐れを買い、矢礫と毒の洗礼を受けることになる。
徐々に衰弱していくが、魔物の襲撃と火災が同時に発生した原住民の集落を守るべく仲間たちと奔走。
最期は自ら業火に飛び込み、幼子と父母を救助して事切れる。

痩せた身体と焼けただれた毛皮に面影はなく、かろうじて無事だったエーテルの籠められたソイルの弾丸が一発、仲間たちの手で送り届けられた。




とある冒険者ギルドの顔役として、多くの人々に親しまれる。彼女は目尻の皺と同じ数だけ冒険者たちの背中を見送り、その足跡を心に刻んできた。
新たな旅路へと心躍らせる冒険者たちを笑顔で見送る彼女の手首には赤いプロミスリングが、その薬指にはエメラルドの指輪が小さく光る。
『自然に切れると願い事が叶う』と云われたプロミスリングが、ぷつりと切れたのは晩年のこと。想い人の遺した弾丸をいつものように丁寧に磨いていた日のことだった。
走り、見送り、追いかけ続けた彼女は、最期まであるヒトの帰りを待っていた。





……あぁ、これは蛇足も蛇足なんだけど、プロミスリングって紐を編み込むだろう?彼女が身に着けてたのは、想い人の鬣を編み込んだものだったんだ。
なんでも、ロスガル族に伝わっていた古い風習らしくてね。
「遠く離れても、貴方の力になれる事を願っています」って意味があったんだって。
彼女の方も真似て髪で作ってみていたけど、結局ブレスレットの長さには出来なくて……指輪程度にしかならなかったそれを小指に嵌めて、彼はそのまま、遠くへ旅立ってしまったんだ。

なんでヴィエラ族のオレが、そんな事をそこまで詳しく知ってるのか、だって?……そりゃあ聞くだけ野暮ってもんでしょ。
でも……ありがとう。おかげで久しぶりに、彼女たちを思い出せた。話せて嬉しかったよ。
また会おう、旅の人。
君の旅路も、きっとボクが覚えてる。いつかこんな風に、誰かに届けられるようにね。







「ずいぶん遅かったね」
「すまない。体と毛並みを戻すのに時間が掛かった」
「そんなこと気にしてたの?おかげでおばあちゃんになっちゃったじゃない」
酷い有り様だったんだ。お前を怯えさせたくはなかった」
「分かってるよ。でもね、あたし、たくさん泣いたよ」
「あぁ、知っている。本当にすまなかった」
「ううん。あの時は確かに泣いたけど辛かったけど、良い事も、嬉しい事だっていっぱいあったから。だからさ、あたしの今までを、全部聞いてくれないかな」
俺で良ければ、いくらでも」
「もう、あなただから聞いてほしいんだってば!おかえり。ずっとずっと、逢いたかった」
「あぁ俺も、お前の声が聞きたかったんだ。……ただいま」