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和海
2024-11-30 12:49:15
1285文字
Public
賢者になる日
遊び人と戦士の話
※遊び人→戦士描写あり
エリィは不思議な女だった。
最初なんで遊んでばかりの女をパーティーに入れるのかが分からず、アレルに問いかけたことがある。
アレルは言葉を濁していたが、多分見た目に釣られたんだろうと思う。
エリィは美人だったし、何より幸せそうな笑顔が可愛かったから。
戦闘中に目隠しをされ、甘い声で「だぁれだ〜?」と囁かれる。
甘い匂いと優しい声色に背中に何かが走るようなゾクリとした感覚に驚きながらも、なんとか冷静を装い『エリィ
……
』と呆れ気味に答える。
エリィはどこか嬉しそうに笑って、『バレたかぁ』と俺から離れていく。
エリィは誰にだってこうだ。
甘い声と優しい笑顔で俺たちに関わってくる。
時には大惨事、時には大活躍。
彼女の行動はまさしく、なんでもありの気まぐれだった。
レベルが上がるほどに振れ幅が大きいせいか、肝心な時の大博打になる。
アレルも流石にまずいと思い出しているようで、地図でダーマの場所を確認しながら頭を抱えているようだった。
「お前は賢者になるのか?」
ある日の晩、二人で焚き火を見ながら問いかけたことがある。
エリィは可愛らしい首を傾げて悩む素振りを見せたあと、幸せそうな笑みを浮かべる。
「うーん、わかんなぁい。でもみんなが望むなら遊び人お休みしてもいいかなぁ」
おやすみ、と言う言葉に引っかかりを覚え俺は視線を彼女へ向けた。
「休む
……
?」
「うん、おやすみ。また遊び人に戻りたいって思ってるよぉ。アタシの天職だしねぇ」
「
……
そんなもんか?」
「アインツも魔物使い、好きでしょお?きっとまたやりたくなるよ。マールも今は盗賊だけど、たぶん僧侶をまたやると思うの」
楽しそうに話す彼女を見て、俺はイマイチ理解が出来ない。
戻りたいか、と言われると
……
そうなのかもしれないし、そうでもないかもしれないし。
少なくとも戦士としての俺は、この職が好きだから。
「賢者になったら、きっと遊び人に戻った時楽しいなっておもうよ〜。だから、おやすみしてもいいかなぁって!」
マールは小さな木の枝を火の中に放り込む。
火は少し跳ねてから、穏やかに揺れた。
「それにね、アレルはそれをわかってると思うな。あの人、やさしいから」
ね、と笑ったまま答えた彼女から寝袋でいびきをかく幼い勇者へと目を向ける。
……
こいつならやりかねん。変にスケベだし。
俺はため息をつくと、視線を再び彼女へと向ける。
紫色の髪を整えてから、彼女はお気に入りのムチを手に取った。
「アインツはアタシが賢者になったほうがすきになる?」
彼女の熱い視線に少し戸惑う。
それとこれとは話は違う気がするし、そもそも俺は
……
その
……
。
「馬鹿なこと言うな、お前はお前だろ。どんな姿でも大切な仲間だ」
「そっかぁ」
うふ、とうれしそうに笑うと彼女はそとまま立ち上がり寝袋へ移動する。
「ねむくなったから寝るね!あとよろしくぅ〜」
そのまま俺に背を向けて彼女は眠り始める。
……
明日にはダーマに向かうんだろうな。
彼女はそれをどう受け入れていくんだろう。
そう思いながら、揺れる火を穏やかに見つめていた。