「丹恒、忘れ物〜」
ノックの後、資料室に入りながら今朝丹恒が忘れていったスマホを軽く振る。
「穹、すまない。すっかり忘れていた」
「いえいえ。丹恒が珍しいな」
慌てた様子はないものの、俺の手にあるスマホに目を丸くして。
「昨夜のこともあって、持っていったことも、存在自体も、な」
「ふうん。そんなに俺と一緒なのがよかったのか?」
通知を確認していた手が止まる。
「お前といると飽きないというのもあるが、好きだからいつまでも一緒にいたいというのもあるな」
「ふ、ふうん。そっか〜」
顔がにやけそうになり、慌てて手で隠す。
というか、丹恒がこうやって自分の気持ちを素直に口にしたのって初めてじゃない?
気のせいというか、俺の記憶が正しければ、だけど。
「嬉しそうだな」
「えっ」
「カマをかけてみたのだが」
「た、丹恒の意地悪~!」
そう叫ぶと、彼は人差し指を唇へと当てて、静かに。と示す。
そうでした。
ラウンジと同じように、ここは一応共有スペースなのだ。
「ごめん」
「用があるなら、廊下で聞く。もしくは、お前の部屋で、な」
「もう用はないけど、丹恒とは一緒にいたい」
「それなら、静かにしていればいていい」
「ありがとう」
俺の言葉に頷き、コンソールに手を伸ばす。
抱きしめたいって思ってしまった。
「丹恒」
「どうした」
「好き」
こちらを振り向かず、言葉だけ寄こした彼は俺の声に手を止めて。
「ああ。俺も、お前が好きだ」
柔らかく微笑んで〝好き〟と。
「うぐぅ
……」
胸を押さえ、その場にうずくまる。
「穹?」
「大丈夫
……丹恒が可愛すぎて大変なことになってるだけ
……」
「そうか。それは大変だ」
なんて、感情のこもらない声。
そう淡々としたところも、大好き。
忘れ物を届けただけなのに、俺の方がダメージを受けている。
本当丹恒のそういうところが好き。
戦闘にならなくても、俺にダメージを負わせてくる。最高だ。
「俺の恋人が今日もかっこいい
……」
「お前もかっこいいぞ」
「うわ~ん! 丹恒の方がかっこいいってば~」
男前すぎて困る。
唸っていると、丹恒は微笑ましそうに俺を見ていて。
ダメージは負わないけれど、色々とクるものがある。
「丹恒」
「どうした?」
昨日散々甘やかして、可愛がったお陰でご機嫌なようだ。
「
……丹恒先生、今晩はどうですか」
「そうだな
……お前が望むなら、俺は構わない」
「
……」
「穹の体温に包まれたい。これでいいか」
「はい。オッケーです」
そう答えればやはり微笑ましそうに笑う。
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