三毛田
2024-11-29 22:03:20
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26 026. 結露ガラスにらくがき

26日目 君との愛を

「ふふっ」
「穹、怒られるぞ」
「俺が自分で拭くから大丈夫!」
 この時期の朝の窓ガラスは、結露している。
 ハートに相合傘、それから二人の名前。よくある落書きを、指で描く。
 丹恒の呆れた声を背景に、写真に収めて。
 それから、雑巾を持ってきて綺麗に結露を拭いていく。
……俺のこと、本当に好きなんだな」
「そろそろ付き合って一年経ちますけど?!」
 なんかとんでもないことを口にしたので勢よく振り返ると、若干暗い表情をしていた彼は、驚いたように目を丸くして。
「最初から、演技だとは思っていない。だが、信じられなかったんだ。すまない」
「謝ることないって。そういう環境だったんだろ? というか、俺なんか高校に入るまで記憶喪失だったし」
 皆が知っている事実を口にする。悲観的になる必要はない。
 だって、今が楽しいから。
「それについては、何か思い出したのか」
「ぜーんぜん。でも、丹恒たちがいてくれるから、毎日が楽しくて仕方ない」
「そうか。お前が気負わないのであれば、俺は嬉しく思う」
 だから、丹恒も気負わないで欲しい。
「えへへ。ところで、腰は大丈夫か?」
「もう少し休まないと、動けそうにないな」
「じゃあ、ここで食べられるもの持ってくる」
「すまない」
「無理させたのは俺だから。気持ちよかった?」
……ばか」
 頬を撫でながら問いかけると、小さく罵倒された。これは、照れている。
 あまりの可愛さに、キュン死しそうだ。
 何度か体を重ねてはいるが、毎回毎回俺ががっつきすぎてしまう。
 それによって、丹恒に負担をかけてしまうんだけどね。
 冷蔵庫には簡単に食べられそうなものはなかった。ので、冷凍庫にあるものを温めてから、ホットココアと共に持って行く。
「丹恒。指先冷えてるだろうから先にこっち飲んで」
「ありがとう」
 ジンジャーシロップを少しだけ溶かしてある。
「ああ。美味いな」
 ほっとしたような表情。俺も自分の分を飲む。
「こっちがご飯。はい、あーん」
 炒飯とから揚げのセットなので、スプーンで掬って口元まで持って行く。
 視線が一瞬左右に動いて。それから、小さく口を開ける。
 ああ、可愛い。
 また食べたくなっちゃう。
「穹」
 呆れたような表情。でも、唇にご飯粒がついているから可愛いだけ。
 結局全部ぺろりと食べてしまったのだから、流石は丹恒だ。
「ご馳走様でした。お前の分は、いいのか」
「また温めるから大丈夫。じゃあ、着替えようか」
……
「わかったって。今俺の分温めてくるから。ね」