例の腕輪イベントうっかりクリアしちまったんでうち♀主の場合こうだったんだろな前提でつらつら小話。ユァちゃんとの会話ネタ含めネタバレ多数。どこまでも両一方通行なボ主(WT主人公)の関係が好きすぎる…
成り行きというかカケダシ君との会話でバトルハブの話が出てワールドマップからも行ける!って言われ行ってみたら特に何もなかったんで「あれこれもしかしてストーリー全クリアしないと駄目なやつ?」と断腸の思いでクリアしたんですが別に何も変わらなかったことに内心心バキバキになってます(´;ω;`)oh
そんなプレイヤーの嘆きをWT主人公に代弁してもらおうネタです。
***
AM11:00、ナイシャール到着。
厳しく照りつける暑さの中煌々と輝く太陽の光に目を細めながら目的地であるナイシャール市内にゆっくりと歩を進める。
今回ナイシャールを訪れたのは他でもない、友人の…ボシュの最後の願いであるある品を届けに来たのだ。
ずっと鞄に仕舞い込んでいた腕輪。
これは彼がボシュであった頃の欠片であり証明の品だ。
傷がつかないよう包んでいた布を取りそっと触れてみれば彼と初めて戦った時の記憶が瞬間蘇り、…同時に神前大会で爆発にのまれ真っ黒に焼け焦げた姿が脳裏に焼き付く。
「…どうして、私だったのですか?」
成り行きで彼を追い辿る旅の中私は守られてばかりだった。
助けになることもできず、豹変してしまった彼を守りきれなかったこともそうだ。
私は、何もしていない。
友と呼ばれるようなことは何ひとつも。ただ、「今はそうすべきなのだろう」と体が動いただけだったのだから。
何度目かのボシュからの連絡に「渡してほしい」と言われていた彼女の下へと歩みを進める今も足取りは重く、一歩足を動かす度に心臓が潰れてしまいそうだった。
「あ…♀主さん?」
ふと心地よい暖かな声が耳に届く。
恐る恐る顔をそちらに向ければ不思議そうな顔でこちらを見やる少女達が立っている。
「…こんにちは、ユアちゃん。それにキナちゃん。」
ユアと、キナ。
彼女達は“依頼者”であるボシュの関係者であり、つまるところボシュの妹とその親友だ。
「あの…随分具合が悪そうですけど、大丈夫ですか?」
こちらの顔色が余程悪かったのか、心配そうにユアが駆け寄ってくる。
彼女はボシュの妹とあってとても優しくそして愛らしい。きっとボシュにとってもかけがえのない大切な存在だったはずだ。
…だからこそ、今から伝える「伝言」を彼女に聞かせなければならない事に無性に腹が立った。もちろんボシュにではな…少しだけ恨みはあるけども。
彼女に兄である彼を無事返してあげられなかった不甲斐ない自分に、だ。
「はい。…大丈夫、何ともないです。さっき頂いたチキンカレーがとても辛かったのでお水を沢山飲みまして。それでお腹冷やしてしまったかもです!」
どうだろうか。ちゃんと自分は笑えているだろうか?
大切な彼からの最後のお願いだ。
少しでも彼女が悲しむことの無いよう、精一杯強がっていなければ。
「そうだったんですね、よかった。…それで、今日は何の御用ですか?」
ふふっ、と少し笑ってユアが尋ねてくる。そう、貴女には笑っていてほしいから。だから、これからもそうしていてもらえるように。
次の返答を待つ彼女に改めて向かい直り、ひとつ深呼吸をして鞄の中に手を伸ばす。
「!…これ、兄ちゃんの!?」
布を開いてみせると彼女はすぐこれが誰のものなのか理解を示す。
鮮やかな紫色に金の紋様が描かれたそれはボシュの形見、彼が片時も外さなかった腕輪だ。
「渡すよう頼まれたんです。…ユアちゃん、貴女に。」
そっと彼女の小さな手にそれを握らせると目線を合わせるためにしゃがみ込む。…僅かに揺れる少女の瞳に臓腑がキリキリと軋みだした。
「ありがとうございます、♀主さん!…それで、ボシュ兄ちゃんは今どこに…」
そう言った彼女と目が合う。
不安と希望がない混ぜになった彼女の瞳に一瞬で頭が真っ白になる。
伝えなきゃ。かれは、もう。
「…っ…ごめんなさい。…わたしにも…わからない、のです。」
言うべき言葉は、出てこなかった。
兄を想う彼女に『彼はもうこの世にいない』なんてむごい真実なぞ、言えるはずがない。
「…そ、そうですか。」
少し残念そうな声色でそう言うと彼女はすっと後ろを向いた。
少女の小さな背中から感じ取れるものは少しの安堵と、抱えようもない漠然とした不安。
兄の無事を聞くまではいつまでも待ち続けるであろう彼女の後ろ姿に思わず手を伸ばしてしまった。
「…♀主さん?」
唐突に掴まれた手に驚きつつも彼女が再び自分を見つめる。
さあ、果たせ。自分が何をするためにここに居るのかを思い出せ。
それが、彼がわたしに託した、最後の願いだ。
「…ごめんなさい。私は、貴女に伝えなきゃいけないから。」
乱れる呼吸を落ち着かせながら、彼女の手を離さぬまま息を吐く。
「ボシュのこと、です。」
一瞬、彼女の目が再び揺れる。
それでも、もう引けないと自分を言い聞かせる。彼の願いを無事に届けなくてはならないのだから。
「……残念ですが、彼は。…亡くなりました。あの時の爆発は、彼を死なせるには十分だった。…彼は、死にました。…わたしの、めの、まえで。」
最後の方は自分でも情けないほど惨めな声だったように思う。言葉を吐き切る頃にはきっと見るも無残なくらいに歪んだ顔をしているのだろう。被害者面も良いところだ。
「………うそです。」
はっとしてゆっくりと顔を上げる。
…見上げた先にあったのは、兄を一途に信じる彼女の決意が見て取れる眼差しがそこにあった。
「だって、兄ちゃん強くなるって…強くなって、この国を良くするって。そう言ってたんです!」
「だから、それがどんなに大変でも最後にはナイシャールに帰ってくる…だからわたし…」
「兄ちゃんを信じて、ずっと待ってるんです!」
段々と語尾が荒くなっていく話し声に彼女の怒りを感じ押し黙る。こうなることは分かっていた筈なのに、どうしようもない感情にただただ耐えるだけの自分。
ねぇ、ボシュ。
本当に、伝えてよかったのですか。
どうか教えてください。私は。
わたしは、どうすればよかったのでしょうか。
言い切って少し落ち着いたのか彼女は震える声を整え改めてこちらを見姿勢を正した。
「…ごめんなさい。♀主さんは兄ちゃんに頼まれただけなのに。」
そういう彼女の顔は悲しみに暮れていてあまりの剣幕に後ろの方で聞いていたキナもすぐさま駆け寄ってくる。
「…ユア?!大丈夫?…♀主さんと何かあった?」
心配そうにユアの肩を支えるキナの目にも不安の色がよぎる。
親友を守るべく前に出た彼女をやんわり制してユアが再びこちらを見上げた。
「♀主さん。…わたし、兄ちゃんは必ず戻ってくるって信じてます。」
彼と同じ翠玉のような瞳が、まっすぐと自分に向けられる。
「…♀主さんは、本当に兄ちゃんはもういないって、そう思ってるんですか?」
それは。
「…♀主さん、兄ちゃんの事を伝えてくれた時どんな顔していたか気づいてましたか?」
わたしの、かお?
「…。♀主さん、凄く苦しそうな顔してたんです。自分に、嘘を付いてるみたいな。そんな顔をしてた。」
嘘を、ついている。
その言葉を聞いて初めて自分の顔に触れてみる。…頬にはうっすらと濡れた感触があった。泣いていた、のだろうか?自分でも気付かない程に。
「♀主さんも、本当は兄ちゃんが生きてるって思ってるんじゃないですか?だからさっき、分からないっていったんじゃないんですか?」
そう言って彼女は渡したボシュの腕輪を私の手のひらに返した。
困惑する自分に少しだけ口元に笑みを浮かべて彼女は続けて話す。
「…だから、これは♀主さんが持ってて下さい。それで兄ちゃんと会えたら『今度こそ自分で会いに来て』と伝えてください。…わたし、ずっと待ってますから。」
彼女は、笑っていた。
可憐な瞳に少しだけ涙を滲ませて、けれど決して俯くことなく自分に託してみせたのだ。
「ユアちゃん…。」
「その方が兄ちゃんも見つかるかもしれないですし、もちろん私もできる限り協力しますから。…お願い、します。」
腕輪を持つ手をぎゅっと握られる。
その両手は微かに震えていて彼女もまた気丈に己を奮い立たせていたのだと分かりまたもやこの兄妹は自分を守ってくれたのだと痛感する。
「…わかりました。その依頼…確かに承りました。」
こちらからも彼女の手に己の手を重ね直し、強く握り返す。
重なる手の温もりまで彼と同じ温かさで少しだけ吹き出してしまった。
「必ず…それこそ嫌がられようと引きずってでもここへ連れてきます。それまで、どうか待っていただけますか?」
今度こそ、精一杯笑顔を作ってみせる。嘘でも虚勢でもない、心の底から彼女に報いる為の、本物の笑顔だ。
「!!…はい。もちろんです!」
そういって手を離した彼女に今一度深くお辞儀をして踵を返す。
こんなところで、くよくよしてはいられない。
「…もしもし。」
登録されている番号をさっと打ち込み電話をかける。電話先は勿論、ボシュと私の師匠である彼にだ。
「はい…教官。わたし、決めました。」
例え如何様にも覆らない結果だとして、何度だって悪足掻いてみせる。それが彼に返せる私なりの友愛だと信じて。
それだけがわたしの、唯一の取り柄なのだから。
***
この後各地を飛び回りボシュの痕跡を辿り続けるために奮闘する♀主と実は救出されてた上にトレセンで保護されてたっぽいボシュの地獄の追いかけっこ&隠れんぼが暫く続くという。
至る所でボシュの痕跡(実験の書類やボシュのメッセージ等)を見つける度神経を擦り減らしていく♀主がダメージ回復の為にトレセンでカウンセリング(という名のルク教官補充)を受けに来る→「♀主が来たぞボシュ隠れろ!」の流れが延々ループする世界線。
公式からボシュ生存の報が出てるしラストのムービーにボシュおるやん!!とのことでスト6始めたばかりではありますが無事にユアちゃんのところにぶん投げたいので公式様どうか追加ストーリーをばばば…!!(´;ω;`)
というお話でした。まる。
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