宮城雪夜
2015-05-27 10:33:27
2431文字
Public 刀剣乱舞/@saniwaTL
 

#星を愛でる会 星空の独唱。

企画物。山姥切×審神者

雪夜「うぁーきもちわるーあついー。」

山姥切「調子に乗ってがっつくからそうなるんだ、少しは反省してくれ。」

宴の雰囲気に呑まれたのか、ふらふらと歩く主にため息を付ながらも寄り添う。
自分の本丸に閉じこめられている反動なのはわかるが、あまりの節操のなさに呆れ果てた。
眉間に皺を寄せる近侍の顔に苦笑しながら雪夜は満天の星空を仰ぐ。

雪夜「うーん、こんなに人と話したのひっさしぶりだったからさなんか凄く満たされた感じー♪」

山姥切「そうか。来て、よかったな。」

雪夜「うん。ありがとね、キリ。ホントはこういうの苦手だったでしょ?」

山姥切「それは

山姥切国広は写しの刀。
比べられることを嫌う彼がこの場に同行してくれたことがずっと引っ掛かっていたことを感謝と共に打ち明ける。自分の我儘でまた無理をさせてしまったのではないかと。
しかし。

ぱかっ。

雪夜「あいて。」

山姥切「気にするな。あんたらしくない。」

山姥切が雪夜のおでこを軽く小突く。
酒気をおびながらの不意討ちだったのもあってよろけて数歩後ずさる。
おでこをさすりながら自分の近侍を見上げるとまっすぐこちらを見据える瞳と視線が重なった。

山姥切「来る前に言っただろ。あんたが望むのなら、俺は従うと。」

雪夜「や、でも

山姥切「俺は。あんたの喜ぶ姿が見れて、今日ここに来て良かったとそう思ってる。」

山姥切の言葉が雪夜の中に響く。
月明かりの中で染まる頬に、伏せ目がちの瞳に。
先ほどの言葉が繰り返し反響する度に自身も熱を帯びていくのを感じる。

いつも傍にいる彼が、今日は別の人のようで。
胸によぎる言い様のない感情を振り払うようにわざとらしく振る舞った。

雪夜「あー、星キレイ!星を愛でる会ってだけあるよなんか歌いたくなってきた!!」

山姥切「は?」

ポカンと口を開けたままの近侍に手を差し出しながら演じるように彼に向かって一礼する。

雪夜「紳士、山姥切国広殿!本日は至らぬ主の希望を叶えていただき誠に感謝の極みです!つきましてはー、貴方に私めから歌をお贈りしたいのですが何かリクエストはありますでしょーか?」

お辞儀をしたまま返事を待つ。
たった数秒の出来事のはずなのにとても長く感じる。やりすぎたか?と一抹の不安がよぎった時ポツリと山姥切が呟いた。

山姥切「あんたの歌を俺に?」

そう切なげに彼が問う。その理由は知れなかったが呆れられるとばかり思っていたのでホッと胸を撫で下ろす。

雪夜「う、うん。今日のお礼とかお詫びとか込みで。」

山姥切「わかった。なら、歌ってほしい曲がある。」

彼の言葉を漏らさぬよう、耳を傾ける。心なしか心音が高まっていくように感じた。

山姥切「あんたが、夜眠れないときに歌っているあの歌を。聞かせてくれないか。」

雪夜「え。」

その言葉を聞いて頭が凍りつく。
え。うそ、聞かれてた?いつ、どこで、いつから?!
頭が沸騰するかのように熱をもつ。まさか自分が夜こっそりやっていることが筒抜けだったとは。
恥ずかしさに今すぐ塵に溶けてなくなってしまいたかった。

山姥切「時折あんたがふらりと寝室から抜け出してることに気づいてな。後を追ってみたら、というわけだ。」

雪夜「ああぁぁぁ何ソレ恥ずかしすぎるぅぅぅ」

山姥切「あんたが恥ずかしいのは今に始まったことじゃないだろ。」

雪夜「さらにとどめ刺しにきよったこいつうぅぅぅぅぅ‼」

頭を抱えて悶絶する主を眺めながら山姥切は改めて問う。

山姥切「それで。歌ってくれるのか?」

雪夜「ぅえ?あー、こほん。それでは。仰せの、ままに。」

半分涙目になりながらもひとつ咳払いをし、呼吸を整える。ほんの一瞬寂しげな顔をした雪夜に違和感を感じながらも、その旋律に心を委ねた。

満天の星空を舞台に1人の審神者の独奏歌が響き渡る。その音色はどこか哀しく、山姥切の胸を締め付けるのだった。


・・・・・・・・・

【あとがき。】

はい。
皆様 、星を愛でる会楽しんでらっしゃいますでしょか。私はこれでもかというくらい楽しんでます。企画者様には何度お礼を差し上げても足りないくらい良い企画に参加させていただいたな、と思います(*・Д・)o♪

さて。補足をば。
うちの本丸では恋愛要素は薄めを心がけておりましたが最近他所のラブラブぶりに影響を受けて少しづつですがお互いに「あれ?もしかして好き?ってやつ?」程度には意識しはじめております。故に若干の恋模様が垣間見えますがそのへんはご了承くださいませ。

・作中、山姥切が切なくなったのは?
これは彼がいくらうちさにの影響で前向きになったとはいえど、根本はそう覆らないという認識からです。
写しとしての自分が根強いため、「自分の為だけに捧げられる歌」を主から贈られる、ということに戸惑いを感じてしまったわけです。
普段雪夜はこの歌を子守唄のつもりで歌っていたので、自分を含めた本丸の皆に捧げていたのを山姥切は知っています。
ゆえに己のためだけのこの瞬間が彼にとってとても尊いものになったのです。

・雪夜が寂しげな表情をしたのは?
この曲はあるハンティングアクションゲームの挿入歌でして、ぶっちゃけると別れの曲だったりします。なので雪夜がこれを歌うとき、それは無意識にもう無くなってしまった自分の世界との繋がりを思って偲ぶときだったり。
ゆえに山姥切にこの曲を求められた時、先程まで密接に繋がった絆がいつか必ず終わることを意識してしまい、あんな顔をしてしまっています。
ちなみに山姥切は歌詞に込められた意味は知りません。ただ「落ち着く歌」、という認識だけはあります。

終わりみたいな話の〆ですがまだまだ企画は始まったばかり。皆様、存分に楽しみましょう!