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宮城雪夜
2015-05-15 23:35:27
6570文字
Public
刀剣乱舞/@saniwaTL
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異世界さにわの本丸営業日誌。(5)~審神者っていったい、どういう存在なんだろう~【※創作審神者夢有注意。】
※ご注意※
・本作品は作者の作品を未だにプレイできない憤りと妄想を「審神者が日誌を書いている」
という体で書きなぐった自己満足以外の何者でもない代物となっております。
全体的に短いです。
・基本的に恋愛要素よりも家族感をこってり気味に盛っておりますがそのように見えて
しまった場合はあっさり目にスルーしていただければ幸いでございます。
・一枚目は審神者の日誌、二枚目は追記のような背景のようなあやふやなもので
構成されております。注意。あと今回はちょっとだけ痛い表現もあるよ!
・以上の注意書きを読んでいただいた上でそれでも読んでやるよという方はどうぞ
お進みください。
・この話以降、刀剣達をアダ名で呼ぶ事が頻発しますので、そういったことが苦手な方も
戻る事をおすすめします。すいません。
異世界さにわの本丸営業日誌。(5)
~審神者っていったい、どういう存在なんだろう~
○月×日 晴れ
…
審神者って、一体なんなのかな。
ここに来てからというものの、なんだかんだ毎日が楽しくて
…
成り行きではあったけど
審神者になったことに少しだけ誇りを持てるようになってきていたのに。
今日ほど、自分が審神者であることに嫌悪することになるなんて思いもしなかった。
コン助から聞いていた合同演練の会場で、初めて私は他の審神者と顔を会わせた。
最初に対戦相手になった女性審神者は自分の刀剣達を信頼し、
とても大事にしているようだった。
審神者になってから人との交流を持てていなかった私は演練が終わってすぐに
彼女に声をかけた。
凄く綺麗に笑う娘で何だかちょっとどぎまぎしちゃった。
彼女と他の演練を待つ間に話したお互いの話や刀剣達とのなりそめ話は本当に楽しくて、
自分の演練の番が来た時もなごりおしくてついキリにごねてしまった。
キリに引き摺られていく私を見て彼女と彼女の近侍だろう歌仙兼定は困ったように
笑って手をふっていた。また、会いたいなって思えた。
でも、その後の演練で相手になった審神者は。
…
自分の刀剣達を、これでもかと言うほどに雑に扱っていたんだ。
使えない、役立たずと罵っては既にボロボロな身体に暴力を振るう。
刀剣達は力なくよろよろと倒れ込んでは弱々しく立ち上がり、
主である審神者に頭を下げる。
その光景を見ている彼の短刀達は真っ青になって震えていた。
涙ながらに「ごめんなさい、ごめんなさい」と口にする子もいた。
…
常日頃からこういった扱いを受けているのだというのはすぐに理解できた。
そんな様子を見ていた周りの審神者達は、誰もが目線をそらして口々に可哀想だの、
憐れだのと言っては所詮他人事なのかさっさと離れていく。
まるで、審神者が刀剣達を蔑ろにする様を「仕方ない」と言われているような気がして。
キリと長谷部さんが制止した気がしたけど、構わず相手の審神者に向かって走った。
あの時は完全に頭に来ていたし、ここで引いたら絶対後悔するってわかってたから。
私の足音に振り向いた審神者に、私は今までしたことない全力の笑顔を浮かべて。
そのまま顔面目掛け渾身の力を込めて左手を振り抜いた。
…
そのあとのことは正直あんまり覚えてなかったりする。
頭の中に浮かぶ審神者に対する憤りと、刀剣達に対する罪悪感がないまぜになって、
あれこれ叫び倒したことが朧気に残るだけ。
会場の責任者が呼んだ警備の人達に拘束されてすぐ控え室に押し込められて、
しばらくして私の担当監査役から合同演練に対する出入禁止が決まったことを
聞かされた。
最初は納得いかなかったけど
…
でも、それ以上固執することもなかった。
私がいくら騒いでも変わらないだろうって、心のどこかで思ってたのかもしれない。
誰もが他人事だったあの空間にまた足を運ぶ必要がなくなっただけまだ良かったのかもって。
ああ
…
そういやあの女審神者はどうだったろう。彼女は、あの場に居ただろうか?
もう、何もかも分からなくなりそう。
審神者としてここにいることが嫌になりそうになる。
…
あー!!もうむしゃくしゃするから寝よう。
おやすみなさい!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[薄桃の彼は淀みの中で何を想う]
『おまえが乱藤四郎
…
ふん、まあいい。存分に俺に尽くせよ。』
…
ボクが最初に見た主は、醜悪な面をしたブタみたいな男だった。
上から下まで品定めする、舐めるような視線に怖気が走った。
抵抗する度に腹を蹴られ、散々暴行を受けたあとに汚された。
…
すこしして、本丸に女の研修生が来るって話があった。
ボクを汚し終えたあいつがボクを見ながら
「まがいものは、もういらんな。やはり、女に限るなぁ
…
。」
と吐き捨てたのは、今でも夢に見る。
それからは、手入れされる事もなくただひたすらに出陣させられた。
別の捌け口が見つかった今、言うことを聞かないボクは邪魔だったんだと思う。
…
ボクが最後に覚えているのは、血で染まった視界と身体が崩れていく感覚と、
あいつの「役立たずめ」っていう視線と罵声。
人間なんて、皆自分勝手で
…
汚くて。
だから、新たに顕現した時は審神者を殺してボクも死のうと思った。それなのに。
彼女は今まで感じたことのない
…
心地よい、暖かな感情で包み込んでくれた。
後から、それが愛情なんだって、こんのすけに教えてもらった。
彼女が抱き締めてきたときに彼女の体温と一緒に「待っていたよ」って
気持ちが流れ込んできて、凄く涙が出そうだった。
ホントはあいつに要らないって言われたことが辛かった。
あんなやつでも、ボクの主だった。
そんな想いがよぎって、かき消すように抱きついたままの彼女にいたずらに囁いた。
硬直した彼女がペタペタとボクの胸元を触るのが可笑しくて、離れようとする彼女を
捕まえて、頬に軽く口づけた。
真っ赤に染まったまま口をぱくつかせる新しい主に、心の底からよろしくと笑いかけた。
彼女の初期刀である山姥切国広と顔を会わせた時、小さな声で
「あいつに、よこしまな真似をするようなら
…
俺が許さない。」
とか言われたからこっちも
「むっつり国広のくせに主にはイイ子ちゃんなんだね。」
って小声で返した。
二人で睨みあってたら主が冷や汗かいて慌て始めたからお開きになっちゃったけど。
こうしてボクは、彼女の「刀剣男士」になったんだ。
*
幾日かそんな日常を送った後、ボクは合同演練の会場に主と訪れていた。
主
…
お姉ちゃんはどういうわけか直接政府との連絡がとれない立場みたいで、
こういった公式の場に出ること自体初めてみたいだった。
辺りを見回してひたすら
「凄い、人!審神者がいっぱいいるよ皆!!」
と騒ぐお姉ちゃんが可愛くてボクもうれしくなった。
山姥切と長谷部さんもそんなお姉ちゃんを見ていたけど、二人の目に写る気配に
何となくむっとしたのもあって山姥切の膝に蹴りを入れたらよろけた先の長谷部さんに
抱きつく形になった。
ざまみろー、ってね。
言い合う二人を尻目にお姉ちゃんと一緒に登録を終わらせる。
ボクたちの本丸はまだ人数が少ないからあれから新たに増えた次郎太刀を加えた5人編成。
他の審神者の編成表を見ていたお姉ちゃんが難しい顔をしていたのでどうしたの?と
問いかけた。
「うーん。こんな機会があるならもう一人御迎えしておけばよかったかなー?」
「
…
お姉ちゃんは、ボクたちだけじゃ不安なの?」
首をかしげるお姉ちゃんに寄り添いながら呟く。
「そんなことないよ。」と続けて手近にあった椅子に腰かけた。
「出陣なら休み休み出てもらってたから皆だけで事足りたけど、こういう場だと
純粋に力勝負になるでしょう?最大が6人隊制ならもう一人いてもよかったかなってさ。」
ボクの髪を撫でながらお姉ちゃんは皆が強いのも、頑張ってくれてることも分かってるよと
優しい笑顔で笑いかけた。
演練が始まってからはボクたちの隊は日頃の鍛練が実を結んだのか順調に勝ち進んだ。
人数が少ないことに慢心して舐めてかかる審神者を片っ端から沈めてやった。
その中でも、一人だけお姉ちゃんが声をかけた審神者がいた。
ボクから見ても遜色のない綺麗な女の子で、少しだけ雰囲気がお姉ちゃんと重なった。
楽しそうに話をするお姉ちゃんは僕らに見せたことのない女の子の顔をしていて、
ちょっぴり相手の子が羨ましかった。
次の演練アナウンスでお姉ちゃんの審神者コードが呼ばれ、嫌がるお姉ちゃんの首もとを
掴んで山姥切が引っ張っていくのを女審神者さんと見ていたら、彼女に話しかけられた。
「貴方の主さん、いい人だね。温かいっていうか、心地よいっていうか
…
。
君たちの事が大好きって気持ちが凄い伝わってきたもの。」
ふふ、と微笑む彼女に彼女の近侍である歌仙兼定が「君も負けず劣らずだと思うけどね。」
と突っ込みを入れていた。そんなの、今さらだけど。
「お姉ちゃんは、ボクたちの家族だもん。
大事にしてくれるし、ボク等だってお姉ちゃんの事が何よりも大事だよ。とーぜんじゃん。」
ボクの言葉に女審神者さんがそうだね、ってまた笑った。
やっぱりこの人似てるんだなって思った。
遠くでボクを呼ぶお姉ちゃんの声に気づいて女審神者さんにまたねって言って別れた。
あの人なら、お姉ちゃんの友達になってもイイかなって思えた。
でも、次の演練で。
ボクの中に眠っていたあの悪夢が再び甦ってしまった。
相手の隊にもボクと同じ乱藤四郎がいて
…
彼の目は前のボクと同じ、
濁りきった死人の目をしてた。
もうあんな思いはしてないのに、身体中が嫌だと悲鳴をあげた。
この時からお姉ちゃんの様子は少しおかしかったけど、相手の態度に腹が立っていたのは
その場にいた全員同じ気持ちだったから気にならなかった。
戦闘終了後。
ボクたちが勝利すると相手の方から悲鳴が上がった。
…
刀剣達が、暴行されてた。
相手の審神者が自分の刀剣達に再び手をあげようとした瞬間、横にいたお姉ちゃんから
信じられないくらい強い殺意を感じた。
慌てて顔をあげると、いつも優しく朗らかな笑顔を浮かべているその表情は凍りついたように
無表情で、暖かな目元は刺すように冷ややかだった。
"
…
認めない。"
いつものように彼女の感情が流れ込み、その場にいた全員がお姉ちゃんの異変に反応する。
一番速く反応した山姥切と長谷部さんが止めようとしたけど、それよりも早くお姉ちゃんは
相手の審神者の元に駆けていってしまった。
目の前で起こったのは夢であってほしいと思いたくなる光景だった。
全力で振り抜かれた左の掌は相手の審神者の顔を歪ませ、その身体は少し離れた所に
ドサリと倒れ込んだ。
辛うじて意識が残っていた審神者はお姉ちゃんに向かって罵声を浴びせようとしていたけど、
お姉ちゃんの顔を見た瞬間血の気が引いたのか真っ青になりながら後ずさった。
「
…
お前のようなやつが、審神者を語るな。」
静かに呟いたその声は、しんと静まり返った会場にひときわ響いた。
「お前が責めているその子達は、お前が努めをちゃんと果たしていないから負けた。
彼らを信頼し、大切にしなかったから。十全に力を発揮できなかっただけだ。
なのに、お前は自分の無能さを彼らに擦り付けた。そんなこと
…
許さない。絶対に!!」
ひぃ、と力なく呻いた審神者は完全に戦意を喪失していた。
胸ぐらを掴むその手はかなりの力が込められているのか、
握られた指がうっすらと青ずんでいた。
ようやく警備の人間がおねえちゃんを取り押さえて審神者から引き剥がした。
押さえつけられながら
「
…
お前のようなやつが、審神者であるなら、私は、審神者なんて認めない!!
刀剣達は、審神者の神気から生まれる存在なんでしょう?!」
まっすぐ、背筋が薄ら寒くなるような視線が相手の審神者に向けられる。
「なら、この子達は、自分の子供と同じでしょうが!
その子供達を蔑ろにするお前を
…
わたしは、絶対に許さないっ!!!」
引き摺られながら、なおも叫び続けるお姉ちゃんに、周りで囲んでいた審神者達は
一様に動揺しているようだった。
刀剣男士達を、そこまで大切に思う審神者は、果たしてこの場に何人いるんだろう。
ボクは人だかりの中にあの女審神者がいたのを確認してからお姉ちゃんが連れていかれた
控え室に向かった。
*
着いた先の部屋の隅で、お姉ちゃんは大粒の涙をボタボタ落として押し黙って泣いていた。
部屋の中はお姉ちゃんの悔しさや哀しみで満たされていて、部屋にいる皆が苦しそうな
表情をしていた。
ボクたちにはお姉ちゃんの感情が流れ込むけど、それを救ってあげる術がなかった。
皆お姉ちゃんの情で癒され、救われてきた。
でも、こんなに負の感情が高まっているのは初めてで、皆どうしてよいのか分からないと
言った感じだった。
燭台切さんも、次郎ちゃんも、何時も傍にいる山姥切と長谷部さんの
二人でさえ近づけない。
誰もが考えあぐねていたとき
…
ぽつり、とお姉ちゃんが呟いた。
「あんな、やつ
…
。あんなの、絶対におかしいよ。だって、皆は、大事な家族じゃんか。
それなのに、あんなのおかしい。おかしいよ
…
。」
震える声で。呟く度に、ぽとぽとと袴に染みが拡がって。
ボクは、弾かれたようにお姉ちゃんに抱きついた。
勢いがつきすぎてお姉ちゃんを押し倒す形になって、周りから一斉に視線を感じたけど
そんなことどうでも良かった。
「お姉ちゃんといるだけで、ボクは幸せだよ。」
驚いて目を真ん丸にするお姉ちゃんと視線を重ねて、さらに伝える。お願い。届いて。
「あいつみたいな奴らは、皆ボク等がやっつけるから。
お姉ちゃんが、許せないものは、ボクたちの敵だから。皆倒してあげるから。だから」
お願い。泣かないで。哀しまないでよ。
ボクらみーんな
…
笑ってるお姉ちゃんが、大好きなんだから。
ボクの言葉に、お姉ちゃんは一際目を見開いて。
そのまま、堰をきったように泣き出した。
「ぜった、いっ
…
みん、なは
…
そんな思い、させない、からっ。
ずっと
…
っ
…
大事にするから
…
、!」
ぎゅう、と抱き返されてボクの瞳からお姉ちゃんと同じようにポタポタと涙が零れた。
うん、大丈夫だよ。ボク等も、同じだよ。
泣きつかれて眠るお姉ちゃんに皆が寄り添う。
頭を撫でながら、手を重ねながら。ボク等は彼女の傍で彼女の代わりに涙を流し続けた。
***
しばらくして、お姉ちゃんの元に一通の手紙が届いた。
差出人は歌仙兼定を連れていた女審神者さんで、内容はあの後の合同演練についてだった。
お姉ちゃんが退場させられた後、お姉ちゃんの対戦相手だった審神者は周りの審神者と、
彼の刀剣達の証言により解体されたようだった。
本丸の調査で審神者による刀剣達への行為は暴行、淫行、私刑
…
ありとあらゆる暴虐を
極めており、刀剣達の部屋は死臭と生暖かい血で溢れ反っていたらしかった。
一瞬前のボクを思いだしてしまって、吐き気が込み上げた。
苦い味が口に広がるのをひたすらに耐える。
最後の行に視線がいったとき、ある一文にふと目が止まった。
それは
…
お姉ちゃんに一番に知って欲しかった言葉だった。
ボクは手紙を握りしめて大好きなあの人の所に駆け出していた。
【それから、これだけは絶対に伝えなきゃって思ったので。
あの審神者さんの刀剣男士から伝言です。
「俺達の事を想ってくれて、ありがとう。」って。
貴方の気持ち、きっと届いていると思う。
だから、負けないで、貴女のままでいてね。
では、また会える日を楽しみに待っています。】
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