水樹
2024-11-28 20:40:24
2045文字
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絶対不可侵領域

いいニーハイの日なスグアオ。
付き合ってます。

「チラリズムって、なんかエロいよな」
「あー……わからんでもない。なんかこう……普段見えないもんがふと見えるって、なあ?」
「そうそうそれそれ! ……ツバっさんはどう思いますー?」
「いやいやオイラに振らないでくれーい。ほら、元チャンピオンも困ってるだろぃ?」
……俺を巻き込まないでよ」

 それ以前にそういう話を部室でするもんじゃねえ、と思った。なら別の場所だといいのかと聞かれると、それはそれで返事に困るけど。タロやねーちゃんが今部室にいなくて良かった。いや、いないからこそこんな話ができてしまうのか。
 アオイを待つついでに、部室で課題でもしようと思ったのがそもそも間違いだったのかな。こんなのに巻き込まれるくらいなら、教室で待ってればよかった。でも部室の方が、アオイと会える確率が高いわけで。

「はあ……

 ため息をひとつついて、課題に集中する。部員達とカキツバタは、別の話をし始めたようだった。

…………よし。終わった」
「お疲れ様ー」
「うん、ありが…………って、アオイ!?」
「ふふ。すっごい集中してたねー」
「え、い、いつきて……?」
「んー? 五分くらい前、かな? 声かければよかったね。ごめんね?」
「や、あ、謝るようなことじゃねっから……

 びっくらこいた。心臓飛び出るかと思った。というか今も心臓がばっくばっくしてる。……理由は、驚いたからって、だけじゃね、けど。
 落ち着かずにうろうろと視線を彷徨わせると、アオイの格好が、いつもと少し違うことに気付いた。

……め、珍しいな。タイツはいてるの」
「え? ……ああこれ? タイツじゃないよ、靴下なの。ニーハイソックスってやつで、ほら」
「わぎゃあ!?」

 持ち上げられたズボンの裾からは、ちらりと肌が見えた。なるほど膝上丈の靴下なんだなって、頭の冷静な部分はそう告げるけど。大部分はそんなのどうでもよくて。アカデミーの夏服とかで見ているはずの部分なのに、なぜか、見てはいけない場所に思えて。さっきの話が急に理解できる。確かにこれは……心の中でさえ言葉にするのは嫌だけど、うん、あれ、だな。

「うわっ!?」

 のけぞったためにバランスを崩し、椅子ごと体が傾く。……あ。この角度でも肌、ちょっと、見え、る。
 後頭部に衝撃を感じたのを最後に、意識が途切れた。



……もー。びっくりしちゃったよ。あんなに驚くことないでしょ?」
「それは……うん、ごめん?」

 そして現在。アオイと俺の部屋で二人、ベッドに並んで座っている。付き合ってるとはいえ、やっぱどきどきするというか、邪な気分は、ないわけでは、ない。

……あの、さ。タイツとか、冬服じゃだめなの?」
「何が?」
「足、覆うの」
……似合ってなかった?」

 なんでそうなる。

「違くて! あの、その、えと」
……?」
「あ、アオイ、の、ことを、えっ…………よくない目で、見るやつも、いる、から」
「よくない目?」
……そう。アオイが、俺の、彼女、が。そういう目で見られんの、俺は、嫌、だから」
……スグリも?」
「え」
「スグリも、私のこと、そういう目? で、見てるの?」
「えっと……それ、は……
…………
…………うう」

 否定できない。だけど、肯定もしたくない。アオイに、引かれたく、ない。

…………いいよ」
……なに、が」
……スグリになら、いい、よ」

 …………………………
 …………………………は????

 ぷつん、と、何かが切れる音がした。何を言ってるのか、わかってるんだろうか。たぶん全部は、わかってないんだろうな。
 それなら。
 もう。
 実力行使で、わからせてやる。

……スグリ? っ!? 何を……っ!?」
「言ってもわかんねなら、足、晒せないようにしてあげる」
「ちょ……!」

 アオイの足の間にしゃがんで、裾を軽くあげる。晒された太ももは、柔らかくてすべすべで。
 ……うまそうって、思った。

「な、なに…………いっ!?」

 跡がつくように、少し強めに噛む。

「な、に、するのっ……ひゃうっ!?」

 ついた歯型を軽く舐めれば、めんこい声が上がって、太ももがぴくってはねた。めんこい。

……反対側も、つけとかねえと」
「なっ!? ちょっとすぐ……んっ!」
……ん、できた」

 内ももに、歯型がひとつずつ。ほんとはキスマークのがよかったんだけど、付け方わかんねえし。こっちのがなんか、生々しい? から、これでいいか。

「これで足、出せなくなったな?」
……………………
……アオイ?」
…………っす」

 す?

「スグリのばかぁぁぁぁーーーー!!!!」

 叫びとともにビンタ一発。そのまま出ていくアオイ。あ、顔真っ赤。めんこ。……じゃなくて。

…………やりすぎた……?」



 その後数日、アオイは口をきいてくれなかった。