けがわ。
2024-11-28 16:42:34
1063文字
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とある兄弟のちょっとしたお話

ユアモラ未満のお話。

ミナア視点です。
兄弟のちょっとした日常って感じなので、モランくんは出てきません。

「あれ、兄さん。今日は早いんですね?」
「ぁ、あぁ、まぁたまには、ね……
 リビングに足を運ぶと既に身支度を整えた兄さんの姿があった。
 いつも昼過ぎまで寝ている兄さんが珍しい……。そういえば、今日は昼からモランが遊びに来ると兄さんにも伝えていたような?
 そういうことですか……
 口元を抑えて、どこか気まずそうに目を逸らす兄さんに微笑みかけた。
「兄さん。モランは普段、お菓子で栄養補給をしているそうです」
「え、突然なに……、というか、お菓子じゃ栄養補給にはならないでしょ……
「えぇ、ですからうちでモランにご飯を作っておいてあげたいと思っているのですが、兄さん、お願いしてもいいですか?」
 普段は交代制で料理を作っているけれど、今日ばかりは兄さんに作ってもらった方がいい。モランもその方が喜んでくれそうですし……
「わかった。モランくんはどういう料理が好きなのかな……?」
 ブツブツ呟きながら冷蔵庫を開けて中身を確認していく兄さんはどこか楽しそうだ。
「モランは何でも食べますが、基本的に食に無頓着なので腹を満たせれば何でもいいと言っていましたよ」
「いや、さすがにそれは……
 兄さんはモランの健康面を危惧して、栄養バランスの良い献立を考え始めると、いよいよ調理に取り掛かった。
 兄さんは自覚しているのかいないのか、きっとモランのことが好きなのでしょう。だけど、モランだって様子を見る限り、少なからず兄さんを好意的に思っているはず……。この二人がくっ付くのも時間の問題でしょうね……。とはいえ、モランは兄さんをイケメンと囃し立てる割には、それを恋愛に引っ張っていかないから無自覚なのか……兄さんは……好きだけど、一歩が踏み出せないってそんな感じでしょうか……
 まったく、世話の焼ける人たちですね。でも、モランを兄さん以外に預けるのは私としても避けたいところ……
「兄さん」
「どうしたの?」
「頑張ってくださいね」
 唐突な私の言葉をどう受け取ったのか、兄さんは見たこともないほど驚いた表情をしていて、それから微かに頬を染めて「うん」と頷いてくれた。
 兄さんのこんなに可愛らしい表情は私も初めて見た気がします。
 暫くして、肉の焼けるいい匂いが漂ってくると、来客を知らせるチャイムが鳴り響いた。
 さて、ここからが正念場ですね。
 玄関に向かう足取りは軽い。
 邪魔をしてはいけないので少しの間、二人きりにして差し上げましょう。

 きっと、明日には良い報告が聞けるこを願っていますよ。