ろころころ
2024-11-27 15:29:36
4221文字
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レオララ小説②

①街が爆発→救助隊登場→喧嘩して帰っていくまで
②ホテルでラララくん達と遭遇



「──────全く。執拗い男は嫌われますよ?ま、貴方の事を好きな物好きなんてそうそういないでしょうがね」

軍帽が宙に舞う。黒いマントをはためかせ、手に馴染んだライフルを背負ったレオンは、商店街の一棟から軽々と飛び降りた。
地面に倒れ込む男達の周囲に散らばる血液は、まるで意志を持ったかのように集まると1つの真っ赤な水玉となり、レオンの手元で不気味に揺らめいている。
それらを破裂させると、辺りには矢の雨のように鋭く尖った"赤"が降り注いだ。

「レオンその、無闇に殺すのは」
「五月蝿いんですよ能無し。そうやって無駄な慈悲を与えて、生むのは残党の復讐心だけです。いい加減現実を見ては?自己満のヒーロー気取りもいい加減にしなさい」

いかにも気弱そうな表情を浮かべる青年は、レオンの言葉に俯いて黙り込む。彼らの後ろから更なる足音が聞こえる。

……おまえ、またトトのこといじめてるな?」
「て、テオくん……あ、ええと……

白髪の少年は、勇敢にもレオンに食ってかかる。そんな少年を桃色の長い髪を持つ少女が慌てて止める。

「テオくん!お、落ち着いてください!」
「だってエステル、あいついつもトトのこといじめるんだ!それだけじゃない、このまわりのひとたちだって」

少年は辺りにゴミのように転がる死体を見渡す。

「みんなころしたんだ!」
………そ、そうですが……えっと、レオンさん

少女は悲しげな瞳で、レオンの瞳を覗き込んだ。

「その貴方の仰ることはわかります。ですが、救助隊には"無意味に殺してはならない"というルールが
………存じ上げておりますよ。ですが、悪の根源は根こそぎ取っておかなければ、真なる安全というのは一向に来ないのです」
「レオンさん………

心優しき少女は、困ったように立ち尽くしていた。そんな雰囲気をぶち壊すかのように、明るい声が響く。

「みんな無事ーっ!?お!無事そうじゃーん!こっちは終わった感じ?……ってあれ、どしたの?まーたトトくんは怒られたの?もー!元気出してよぉー!ほら!早く帰って今日のお楽しみのハンバーグ食べるんでしょ!?」

派手な装いの少女はアルバートの肩を組むとそのまま前後にグラグラと揺らす。これは彼女なりの励まし方なのだろう。
アルバートはそんな彼女の明るい様子に少し元気を取り戻したのか、安堵の笑みを口元に浮かべた。

……うん……そうだね」
「ほらテオくんも!食べるんでしょぉ?早く来ないとあたしっちがぜーんぶ食べちゃうよ?」
「そ、それはだめだって!」

テオドシアも彼女の発言に食いつく。

「じゃあほら!どっちが最初に食堂に辿り着くか競走ね?レッツラゴー!!!」
「あっひきょうだよラーラ!」

そう言って2人は帰路を駆けて行った。

「えっとレオンさん、お怪我は大丈夫でしたか?」
………大丈夫ですよ、お気遣いいただきありがとうございます」

そうしてまた、辺りしんと静まり返った。

……れ、レオン。そのさ

静かになったその場所で、再びアルバートがおずおずと口を開く。

……俺はお前のことを仲間だと思ってるし、その、お前の中の正義と救助隊の正義の形が合わないこともわかってる。それでもお前が
「黙れ。誰も貴方と理解し合おうとなんて思ってませんよ。私が言いたいのは」

レオンは凍てつくような視線をアルバートに向けた。

「貴方のそれは正義でもなんでもない。単なる正義のヒーローに憧れる子供が抱いた愚かな間違いなんですよ。
貴方は、孤児院にいた頃から何一つ変わっていないんですね」

アルバートは再び俯いて黙り込む。そして、

……行こう、エステル」
えっ?あ、はい!」

アルバートは、少しだけこちらを振り返る。
その表情に"心配"が浮かんでいたことに、レオンの中には怒りが湧いた。

(自分のことすらまともに管理できないくせに他人のことは一丁前に気にする、そういうところが心底気持ち悪いんですよ!)

そうだ。彼は何時だってそうだ。
他人を救いたいと言いながら、自身は過去に背負ったんだか知らない"責任"とやらから逃げるために死の道を選ぼうとすることすらある。
仲間が大事?それならば、仲間が傷つくようなことをするな。それがレオンの主張であった。
優しい仲間たちは彼のことを"精神的に弱っているから自分たちが支えてあげる必要がある"と思っているらしい。別に精神疾患があるなら構わないが、それならば他人を救おうとするなという話だ。

矛盾にも程があるだろう。
仲間を傷つけたくないといいながら仲間に心配と迷惑を掛けるような行動を自ら行い、他者を救うと言う割には最も理解出来ているはずの自分のことすら救えない。

こんな人間に、救世主になんてなれないと思っていた。
そしてそれと同時に、そんな彼のことをただ心配して肯定して何も変える気のない仲間にも腹立っていたのだ。

…………で、貴方も此方側なのでしょう?」
……………

瓦礫の影に身を隠していた、大きな棺桶を片肩に背負う青年が姿を現した。

「貴方は怒られないのに私は怒られるだなんて、不平等も極まりないと思いません?リーダーウェン?」
お前が無駄に派手に殺るからだろう」

ウェンは転がっている死体の一つの頭を爪先で突っつく。そして頭蓋骨が陥没してるな、お前の力でこんなことにはなるのか?と首を傾げた。

「知りませんよ。慌ててどっかから落ちたんじゃないです?それよりも。どう思われますか?」
「不平等の件か?どうも何も、罪もバレなきゃ罪じゃないんだぞ」
「貴方みたいな救助隊の癌は早々に死ぬのが世界の為かと」

白い目を向けるレオンに対し、ウェンは解せないんだぞと首を傾げた。呑気で羨ましいことだ。

「それでは私はユニオンの方に戻らなければならないので」
クローヴィス」

立ち去ろうとするレオンを、ウェンは呼び止める。

「守る為に奪うのは、正義だと思うか?」
………………

黙り込んで立ち止まるレオンの肩に、ウェンは手を置いた。

「俺は、お前が"レオン"のままでいる間はお前のことを守ると約束しよう。但し─────
お前がクソ野郎デストロイヤーに呑み込まれた暁には、俺はお前を殺すだろう」

そんな話は今更だ。自分が逆の立場であっても彼と同じ選択肢を選んでいただろう。あの脳内お花畑な炎使いはそうではないだろうが。

「まぁそこまで案ずることは無いんだぞ。お前にはこの後、良いことが起きると言っていたんだ」
……はぁ?誰が?」
「猫ちゃんだぞ」

レオンは顔を歪めた。アルバートとは別の面で、此奴と話していると頭が痛くなってくるのだ。

「"素敵な出会いが訪れるにゃん"」
「帰っていいですか?さようなら」

レオンは再び立ち去ろうとした。

「ふむ?ちょっと待て」
「あー五月蝿いんですよ!今度はなんですか!?」
「怒りながら律儀に止まるのか、器用だな。ところでその血塗れの服装で出社するのは少々問題があるかと思うんだぞ」
…………………………

レオンは盛大なため息をついた。イライラとは最大限までやってくると何も出なくなるのか。この時、レオンは学んだ。

「やっぱり派手に殺すのは良くないのでは?」
「うっっるさいですねこのボンクラ!」

前言撤回、レオンからは渾身のパンチが出た。


そうして騒ぎ立る声は帰路を辿っているようで、段々と小さくなっていった。





*******************



12/6追記 続き



「はい、はい──────承知いたしました。隊員の皆様は既にお部屋に上がられています。お部屋番号は────」

白い大理石の床にエンタシスの柱が並び、中央には立派な噴水が、シャンデリアの光を通して宝石のように輝く水滴を煌めかしていた。

先に向かっていた他の4人は既にチェックインを終えたようで、遅れて着いたレオンはカウンターの女性に要件を伝える。
ルームキーを受け取り噴水に釘付けになっていた同行者をズルズルと引っ張ると、エレベーターへ乗り込もうとしたその時──────



「──────あ!クローヴィス先輩!」


不意に、聞き覚えのある声が反対側のエレベーターの方面からレオンの耳へと入る。

……カイン?貴方、こんなところで何を?」

レオンは首を傾げる。ユニオンも出動していたのか?彼処で遭遇することは無かったが。

「はい!先程の騒動でこの方が困っておられるようでしたので、ゆっくり休めるホテルに案内していたところです!」
「この方………

レオンはふと、後輩の横に立つ女性に目を向けた。あまり見慣れない外見をしているが、何かのイベントの帰りだろうか?普段慣れない服装だから、どこか気まずそうな表情を浮かべているのだろうか?

「そうですか。それは結構。頑張っているようで、私も嬉しいですよ」
「そうでしょうそうでしょう!私だって良い警察ユニオンになるために日々頑張っているんです!例えば──────」

先輩のお褒めの言葉に、カインは顔を輝かせると最近行った警察っぽいこと20選を意気揚々と話し始めた。

「はぁまた始まった……ん、なんですか?というか女性と後輩の前なんですよ。しゃんとしてください」
「彼女、少し前のお前と同じ匂いがする」
……………はぁ!?」

レオンの素っ頓狂な声が、ホテルのロビーに響き渡った。先程まで賑やかだった空間が、時間が止まったかのようにしんと静まりかえる。

「うるさいぞ」
「なうっ、うるさいのは貴方なんですよこのボンクラ!適当なことほざかないでいただけます!?その方にも失礼でしょう!」
「えっ、先輩もしかして彼女とそ、その……お、おおおお付き合いを!?」
「違います!」

レオンは女性────本来は青年だがにヘルプを求める。

「あ、貴方からも何か言ってください!私とは初対面ですよね!?」



……To be continued