orikoriko1125
2024-11-27 00:54:23
1094文字
Public カキゼイ
 

雲は龍に従い、風は虎に従う

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22378237
の続き 
11月22日に寄せて

 今日も付いて来てるのはすぐに分かった。
あたしの後頭部が、こんなに熱い視線を注がれることなんてなかなかないし、すれ違う人たちにも二度見されてる。
こっそり来てるつもりだったら、目立ってるわよ。
「カイリュー、一緒に来ていいから」
声を掛けると嬉しそうにくっついてくるから、かわいくて困っちゃう。
 あたしの持っているたまごを心配しているみたいで、ここ一週間毎日付いて来るようになった。 

「あんたが付いてけって言ったんじゃないの?」
「違えって。勝手に付いて行ったんだって」
……大丈夫なの?」
「ウチは自主性を重んじてるからねぃ。必要なときはちゃあんと戻って来るし、問題ねえって!」
 放任主義ってこと? 色々と先行きが不安しかないんだけど……
「ゼイユを守ってあげてえのよ。好きにさせてやって」
この子のトレーナーがそう言うので、仕方ない。好きにさせた結果、家の中でも充分ひっつかれてんだけど。

 でもこの子が一緒だと、前みたいに野生のドラゴンたちに絡まれないし結構助かる。
背中に乗せるのは断られた。まぁ、当たり前ね。
たまにカキツバタのとこへ行って、また戻って来るの。普通は逆でしょ。
今日もいつの間にかいなくなってたから、ナッペ山へエールを送る。カイリューにだけど。

「こいつはしっかりしてるから、オイラも昔から起こしてもらったり、運んでもらったり世話になってんのよ!」
「あんたがちゃんとしてないからしっかりしたのか、この子がしっかりしてるからあんたがダメ人間になったのか、どっちかじゃない」
 昨日の晩の会話を思い出す。
一番付き合いが長いとは言え、自分のポケモンに世話焼いて貰うなんて本当にどうしょうもない、そんな男と結婚したあたしもどうしょうもないけど……

「ゼイユ〜!」
 戻ってきたカイリューはカキツバタを背に乗せてきた。未だに世話焼きの、この子が心配になる。
「カイリュー、おかえりなさい。で、あんたはサボり?」
お利口さんにおやつのきのみをあげると、優しく抱きしめてくれた。もうあたしの子になっちゃいなさい。
「仕事の疲れをかみさんのご尊顔で、癒やして貰おうと思って?」
「あら、あんたもお利口さんなのね。どうぞ」
あたしの目下の生命維持のりんご味の飴、特別にあげる。
「ありがとさん。……あんまり無理しねえように」
「してないけど、ご心配ありがとう」
大きい手で、まだなんも変わんないお腹を撫でられる。カイリューもまねっこした。
「あなたをお世話したい子がいるから楽しみにしててね」
まだたまごからの返事は貰えないけど、届きますように。