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でがらし
2023-01-08 21:42:10
1331文字
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【吸死】ドラヒナ~全年齢~
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【嘘ドラヒナ】磔刑
嘘世界線のドラヒナ。
吸血鬼殺しの力が暴走したヒナイチ&本当に真祖にして無敵になってしまったドラルクの最期のお話。
最初から最後まで暗い&独自解釈あるのでご注意ください。
ずっと書けてなかったお題メーカーのお題で書いてみたけどえっちにはなりませんでした(すみません)。
初投稿:2023年1月8日
まるで、太陽の表面に立っているかのようだった。
どこまでもどこまでも広がる炎の海。時折響く爆発音。昼を亡くしたこの世界が、永久の赤に包まれていく。
私の足元でも火は燃え続け、靴を燃やしている。もうじき溶けて灰になるだろうが、動く気にはなれなかった。痛みを感じず、そもそも熱さも感じない。
……
だって、火元は吸血鬼殺しの私なのだから。自分の力では、自分を滅ぼせない。
触れた吸血鬼を燃やし、灰に還す力。吸血鬼と戦うこの世界にとっては救世主となる「吸血鬼殺しの炎」。まるでジャンヌダルクの再来だ、そう祭り上げられ数多の戦いに身を投じてきた。別に私は吸血鬼を殺したかったわけではない。初めはただ、昼と平和を取り戻したかっただけのはずだった。しかし吸血鬼を滅ぼすことに目的がすり替わっていったこの世界で、この力を振るわずにいることはもはや罪に等しい。求められるがままに力を使い続け、微かな違和感を封じ込めた末路がこれだ。
ごうごうと燃え続ける炎の音を聞く。
目の前で火柱のように立っていた男が、ゆっくりと近づいてくる。
「さあ、昼の子。もう寝る時間だよ」
おどけたように、嘲るように彼は言う。それが酷く腹立たしい。
こんな煩い中で、どうやって寝ればいいのか。
「
……
大丈夫。君が目を閉じれば、この炎は灰になるだろう。そうすれば、きっと静かな夜がくる」
だめだ、できない。聴こえるんだ、この手で燃やしてしまった吸血鬼の、人々の慟哭が。誰も、何も残っていないのに、耳元でずっと聴こえるんだ。もう、眠ることも許されない。きっと私は天国にも、地獄にすらいけない。持て余したこの力とともに、ただここにいるしかない。
「
……
それは困ったね。
……
ではこうしよう」
私の目の前で男が止まる。その身に纏うマントの裾は、炎に舐められ段々と短くなっていく。しかし男は意に介さず、火を垂れ流し続ける私に手を伸ばす。
「君は、私の糧になる。天国にいる神様になんて、渡さないよ」
そうか。私はお前への捧げものになるというわけだ。新しい夜の王
……
つまりはこの世界の神様に。
「その通り! 今や私は『真祖にして無敵の吸血鬼』なんだから。現に君の炎だって、ちっとも効いてないでしょ?」
そう不敵に笑った男につられて、私もぎこちなく笑みを返した。手と手が触れ合い、そこから炎が燃え移っていく。手を握りしめようとするが、灰と化してはもとに戻ることを繰り返しているせいで、上手く掴めない。零れ落ちた数滴の涙は瞬く間に蒸発し、消えていく。私の声にならない声は、氷のように冷たい唇で塞がれる。
「大丈夫。痛くしないようにするから。だんだんと、眠くなるように
……
」
業火に全身が呑まれ、そこから先は聴こえなかった。一瞬の痛みの後、首筋から力が抜けていき、考えが上手くまとまらなくなっていく。私を責め立てる声も、段々遠く、小さくなっていく。残るのはただ、心地よさにも似た快楽だけだ。
「
……
さあ、私の中でゆっくりお休み」
胸につけていた銀の十字が、縁から溶けていく。やがて熱に耐えきれなくなり、ぼとりと落ちた頃。
私は、夜の王の中で永い眠りについた。
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