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でがらし
2022-12-30 11:54:56
1484文字
Public
【吸死】ドラヒナ~季節のお話~
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【1月】少女が大人に変わるとき
成人式を迎えたヒナイチとドラルクのお話。
甘さレベル★★
(初投稿2022年1月10日)
点けっぱなしにしていたテレビからニュースが流れはじめ、午後9時を告げている。
「さあジョン、召し上がれ。ゆっくり食べるんだよ」
騒がしいロナルド君はギルドへと出かけていき、私とジョンだけのゆったりとした時間が流れている。おやつに夢中なアルマジロの頭を撫でながらぼんやりとニュースを眺めていると、番組は成人式の話題へと移り、画面には色とりどりの振袖や袴に身を包んだ人間の若者が次々に画面を色彩豊かに染めていく。
「ほらジョン、横浜アリーナだ。お昼はあんな風に盛り上がっていたんだねぇ。ヒナイチ君がいるかもしれないから探してみようか」
再来月に二十歳を迎えるヒナイチ君も式典に参加するため今日は休暇を取ったそうだ。式自体はとっくに終わっているが、今頃は家族や友人と過ごしているのだろう。いつも仕事熱心だけど、たまにはこういう人生の一大イベントを存分に楽しんでほしい。
とはいえ、折角だからヒナイチ君の振袖姿を見てみたかったなぁ。もしかしたらと思ってテレビ画面に目をこらしてみたけれど、結局それらしい姿は見当たらなかった。
「
……
まあ、仕方ないか。今度写真でも見せてもらおう!」
ジョンへと語り掛けるわけでもない独り言を呟きつつテレビを消し、エプロンからいつもの服に着替える。暇つぶしにソシャゲでもやろうかと服の中のスマホを探っていると、外の廊下からカツカツと足音が聞こえてきた。
きっと依頼人だ、ロナルド君が戻ってくるまでとりあえずお茶でも出しておもてなししておこう。そう思い靴を履いて事務所へと続くドアを開く。
私の目に飛び込んできたのは、今日会えないと思っていたヒナイチ君その人だった。
「
……
こ、こんばんは、ドラルク」
「ヒナイチ君!?どうして
……
」
「
……
集まりが思ったより早く終わってな
……
つい、来てしまった」
赤い振袖に身を包み、髪の毛をアップにしているヒナイチ君。化粧を施された顔はいつもクッキーを頬張っているあどけない姿からは想像もできないほど
……
綺麗だ。
「
……
よく似合っているよ、ヒナイチ君。本当に」
「
……
ありがとう」
いつもなら照れ隠しで否定されてしまう褒め言葉も、今日は素直に受け取ってくれた。頬をうっすら紅潮させて微笑む表情は可愛い。いや、それ以上に艶っぽい。
……
髪の毛をアップにしたせいでチラついているうなじのせいだろうか?
「ところでドラルク、すまないが救急箱を借りてもいいか?鼻緒で足を痛めてしまって
……
」
「
……
それは大変だ。そこに座って見せてごらん」
平静を装いつつ、ヒナイチ君をソファに誘導する。振袖に気を使いながら丁寧に腰を下ろしたヒナイチ君が草履と足袋を脱ぐと、鼻緒が当たっていた部分から少し血が滲んでいる。
「
…………
ドラルク?」
「
……
あ!ゴメンゴメン、救急箱ね!すぐそこにあるからちょっと待ってて」
顔を見せないように慌ててヒナイチ君から背を向け、救急箱が仕舞ってある棚へと向かう。
確かにヒナイチ君は魅力的な乙女だ、それは最初に会ったときから全く変わらない。だからこそ畏怖らせたり餌付けさせることであくまで平和的に血がもらえたらいいなとは思っていた。ゆっくりと懐柔させていき、いつか私に夢中にさせてみせようとも。
なのに何故だ。どうして私は今こんなにも悶々としてしまうのだ。こんな顔、ヒナイチ君には見せらせない。吸血鬼にとって人間の二十歳はまだまだお嬢さんの範疇だと思っていたのに、どうやら認識が甘かったようだ。
……
早く帰ってきてくれロナルド君。私の理性が残っているうちに。
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