三毛田
2024-11-25 20:57:42
1067文字
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22 022. 君がくれたもの

22日目 まだまだいっぱいある

 この世界の常識。生活の仕方。それから知識。
 それから、〝好意〟。
「丹恒、好きだ」
「そうか」
 端末を操作する手が、一瞬止まる。そして、感情の乗らない瞳が俺を射抜いて。
「なんでそんなに冷たいんだ」
「冷たいつもりはない。ただ」
「ただ?」
「お前相手だけじゃない。他の人に対しても俺はこうだ。そういう好意を向けられたとしても、どう対応していいのかわからない」
 まるで迷子の犬のようだ。
「それじゃあ、覚えよう。とりあえず、好きだって言われるのは嬉しいか嬉しくないのか。それだけ教えて」
「嫌ではない。とは思うんだ」
「うん」
「けど、これが本当に嫌ではないのかということもわからない」
 胸に手を当て、目をつぶる。
「俺もわかる。記憶がないからっていうのもあるけどさ、自分で丹恒に好きって言ったけど、世間一般で言う隙と一緒なのかわかってないんだ」
「お前……
 呆れたような視線を向けられた。が、仕方ないだろう。としか言えない。
「俺の中でまたはっきりわかったら、伝える。だから、待ってて」
「わかった。お前の意志が固まったら、また伝えてくれ」
 俺が小指を出すと、不思議そうに首を傾げ。
「約束をする時って、指を絡めるんだって。教わったんだ」
「なるほど。それなら」
 おずおずと、俺の小指に自分の小指を絡めて。
「ふへへ」
「何を笑っている」
「丹恒と、こういうことが出来るの嬉しいなって」
 胸が温かい。ただ、それだけ。
 小指を離した後、丹恒はちょっとだけ切なそうな表情を浮かべた。
 これはもしかしてもしかしなくても、脈アリというやつでは?
 だけど、ここでガツガツ距離を詰めれば、丹恒は逃げてしまう気がする。
 ならば、少しずつ獲物を追い詰めるかのようにじわりじわりといくしかないだろう。
「穹?」
「何でもなーい。じゃあ、また来るから。ちゃんと休憩とるんだぞ?」
……
「丹恒?」
「わかった。わかったから、距離を詰めるな」
 両手をあだして、俺を遠ざけようとする。が、俺は距離を詰める。
「じゃあ、頃合いを見てパムから息抜きのお菓子と飲み物貰ってくるから」
「わかった。甘くないもので頼む」
「パムが用意してくれるから。そこは安心して」
「そうだな」
 ほっとしたような表情に変わる。
 パムに依頼するため、ラウンジへ。
「パム。一時間に一回、丹恒用に息抜きセット用意してくれるかな」
「内容は」
「甘くないお菓子と、お茶を。俺が届けるから」
「わかった。用意しておこう」
「ありがとう、パム!」