三毛田
2024-11-24 09:55:03
1070文字
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21 021. 伝言ゲーム

21日目 子供たちの伝言ゲーム

「穹! ちょうどいいところに」
 ラウンジへ行くと、パムが俺を呼び止めて。
「どうかした?」
 少し膝を折り、目線を下げる。
「丹恒がまだ起きてこないんじゃ。様子を見てきてくれんか」
「具合が悪そうだったら、報告すればいいのか?」
「そうでなくとも、知らせに来い。今日の予定を訊いておかんと」
「わかった」
 資料室へ向かい、ノックをする。返事はないので勝手に入る。
「丹恒、起きてるか?」
 寝癖がついた黒髪が、布団からはみ出している。これは、夜ふかししていたな。
 柵に肘をつきながら、数分眠る丹恒を見つめる。
 だが、起きる気配はない。
「パム、寝てた。声をかけても起きなかったんだけど、起こしたほうがいい?」
 一度ラウンジに戻り、見たままを伝え返事を待つ。
「いや。昨夜はオレが渡した資料をアーカイブに登録していたかもしれん。後でもよいと言っておいたんじゃがな」
「まあ、丹恒だから。興味があることに関しては直ぐ集中するから」
「オレが叱っても、やめないからな。今日は、自然と起きるまで放っておいてやれ」
「了解。俺、ボルダータウンに用があるから行ってくる。ナタの手伝い」
「気をつけていってくるんじゃぞ」
「はーい」
 ひらりと手を振って、アンカーで跳ぶ。
 ナタの診療所に行くまでの間、モグラ党の面々がこそこそ話し合っていた。
 こっそり聞き耳を立てていると、最終的に診療所へとやって来るらしい。
 フックからの伝言を、伝えあっている。のだが、聞いている限り元々の伝言からかなり変わっているように思える。
「ナター。手伝い来たよ」
「ありがとう。ところで、フックを見なかったかしら?」
「俺は見てないな。軟膏の在庫確認して足しておくよ」
「助かるわ」
 と話しているうちに子供たちが診療所に入ってきて。
「穹。この子たちの言っていることがわかる?」
 困ったようにナタが声をかけてきた。だが、俺にもわからない。
「まるで伝言ゲームね」
 と苦笑して。子供だから、仕方ないのだろう。
 軟膏を作り終え、包帯の在庫も追加しておく。
「じゃ、俺は帰るから」
「手伝いありがとう。フックを見かけたら、来るように伝えて」
「うん、わかった」
 お礼に貰ったお菓子を手に、アンカーで列車に戻る。
「丹恒、起きたー?」
……きゅぅ」
 寝起きの甘い声で、俺を呼ぶ。どうやら目覚めたばかりのようだ。
「おはよう」
「ん。おはよう」
「ご飯食べる? それと、パムが予定聞いてたよ」
「今日も、ここの予定だ」
「わかった。伝えておく」