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果汁100%
2024-11-23 23:00:00
6886文字
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天ふみがちゅーして交際バレする話
天ふみ/R-18/時間切れ!未完のようなこのまま終わって良いような微妙な状態です
それは、昨夜のことである。
日付が変わる直前、ふみやはふと目を覚ました。特になにということもなかったが、せっかく起きたのだからトイレと水分補給くらいは済ませておこうかと気怠い身を起こす。何十歩と変わるわけでもないのに、一旦キッチンと逆の方向に足を向けるのが面倒で、二〇四の隣にある手洗いで用を足した。それからのたのたと眠気を引き摺る足運びで階下へ降りてみると、目的地のあたりから声が聞こえる。三種類のそれは、たとえ寝ぼけていても誰のものか当てられる。依央利とテラ、そして天彦のものだ。
いつもより間延びしたご機嫌な声色、深夜と呼んで差し支えのない時間。おおかた晩酌でもしているのだろうというふみやの読みは的中し、三人はワインを片手に談笑していた。各々結構な量を嗜んだらしく、どうにもふわふわと浮かれて見える。テーブルの真ん中に鎮座するりんごのコンポートと、したたかに酔う珍しい恋人の姿につられたふみやは、ペットボトルの水を手に空いているソファへ腰を下ろした。
「なーに、僕のチーズ取りに来たの? はいダメ〜」
座るなり絡んできたテラは、ワインボトルを抱えてふみやから距離を取るように仰け反った。チーズを守っているつもりかもしれないが、ひとつも守れてはいない。ワインってそんなあっためていいもんだっけ、と尋ねようとして、へべれけの大人からまともな答えが返ってくるとは思えずにやめた。目当てのコンポートをつまみながら、同じく酔いどれの依央利と天彦の歓迎を適当にあしらう。三人とも、これだけ酔っているのに間違っても酒を勧めることはしないあたり理性的だなと思いつつ、無造作にワイングラスに手を伸ばした。
「こら! 伊藤ふみや!」
「ダメですふみやさん!」
「ふみやさん、めっ!」
同じことを言いながら、こうもバラバラになるなんて。三者一様、または三者三様な反応を見て手を引っ込めるふみやの口角は僅かに上がって満足気である。やがて、再びつまみを食べ始めた未成年に安堵した三人は、本日何杯目かのアルコールに口をつけた。
会話になっているのかいないのか、己への愛を語り続けるテラとセクシーの奥深さを語り返す天彦。そしてそれに適当な相槌を打ちながら、ひと口飲まれるたび奉仕チャンスとばかりにワインを注ぐ依央利。酔っているというのに、その手腕はさながらわんこ蕎麦だ。一向に無くならない酒を飲み続ける大人たちは、みるみるうちに強い酩酊から泥酔へとシフトチェンジしていった。
のんびりと自分のペースでテーブルの上の甘味を食べ終えたふみやは、項垂れて黙り込む依央利に手近なブランケットをかけてやり、背もたれに身体を預けて天を仰ぐテラの手から爪楊枝を抜き取る。それを少しばかり乾燥したチーズに刺したところで、熱視線の主へと顔を向けた。天彦である。
「あえ? ふみやさんじゃないれすか
……
きょーもセクシーれすねえ♡」
酔って赤く染まった頬、呂律の回っていない言葉、飛んでいる記憶。とろんと垂れる潤んだ空色に囚われて、ふみやは息を呑む。正直に言ってしまえば、かなり酒臭い。それでも初めて見る天彦の様子に、少しだけ心が踊る。依央利、こいつを酔わせてくれてありがとう。撃沈している同居人に心の中で感謝しながら、恋人が座るソファの前に立った。
「
……
立てる? 部屋、戻った方がいいよ」
テラたちが目の前に居る手前、なるべく普段通りに声をかける。そうして、あとでこっそり天彦の部屋に行こうかなんて思いながら、なんでもない風を装って軽く手を差し出した。他の二人とは異なり普通に座ってはいるが、この巨躯にも力が入っていないことは常よりややだらしのない座り方から察せられる。力添えくらいは必要だろうと、単なる気遣いのつもりだった。少なくとも、ふみやにとっては。
「ふふ
……
おさそい、ありがとうございます」
舌足らずなそれに何か言い返すより早く、出した手を掴まれてあっという間に引き寄せられる。油断していたふみやは体勢を崩し、天彦の腿の間に片膝をついて前のめりになってしまった。そのまま腰に腕を回されて、あっという間に逃げられなくなる。片足が地についていない状態では踏ん張ることもままならず、にわかに焦りはじめたふみやは、え、あ、おい、と慌てた小声を漏らす。そんな緩く開かれた口元に狙いを定めた酔いどれは、むっちりと肉厚な唇を押し当てた。
熱い。アルコールの力によって、天彦はどこもかしこもすっかりと熱を帯びている。その体温はベッドの中で興奮を露わにする恋人のそれと酷似しており、ふみやがほんの一瞬いつものそれを思い出してしまった隙に天彦の舌は口内への侵入を果たした。酔い潰れているとは言え、交際を隠している同居人たちの前で。否、たとえ打ち明けていたとしても目の前でキスなんてしないだろう。それもこんな、舌を捩じ込む濃厚なものなんて。善悪が揺らぎやすい青年もそこの辺りは一般的な価値観とたがわず、今すぐやめさせようと藻掻く。と言っても、変な体勢で留められた身体に、力を入れられる箇所などほとんどない。両脚はろくに動かせず、掴まれた方の手は抵抗する間もなく恋人繋ぎされ、解けなくなってしまっていた。できることと言えば、自由な片手で天彦の肩や背を叩く程度のものである。僅かな痛みでも、これで正気を取り戻してくれたら、やめてくれるはず。
そんなふみやの希望は脆くも打ち砕かれた。侵入を許してしまった舌が、ゆっくりと口内を這い回りはじめる。天彦の手で少しずつ快楽を覚えさせられている身体は、自らの舌の輪郭を丁寧になぞられると否応無しに反応してしまった。背筋を抜けるぞわぞわとした感覚に、つい背を叩く力が弱まる。無論、そんな程度では止められるわけもない。歯列を丹念に撫でられる頃には、緩慢にぽん、ぽんと肩へ手を置くばかりになっていた。
激しくはない、探るような舌の動きにふみやは陥落寸前であった。既に人前に出してよい表情ではなくなっており、下半身は元気に主張を始めている。けれど、目の前にテラと依央利が居て、早くやめさせないと見られてしまうかもしれない。その思考はまだ、ギリギリ機能していた。抱きしめられて動けないのは諦めるとして、せめてキスだけでもここで終わらせないと、と入らない力を振り絞って顔を離そうと試みる。
ずるり。ぬめった熱が上顎を擦り上げ、離れんとするふみやを引き留めた。天彦はもちろんのこと、本人も自覚させられているウィークポイント。触れずに焦らされていたそこをここぞというタイミングで擦られ、ふみやの一念発起は揉みくちゃに弄ばれる。今しがた大きく舐めずった硬口蓋を、逃げようとしたお仕置きとばかりに舌先でこしょこしょと擽る天彦。同時に回した手でねっとりと腰骨を撫で回してやると、脱力した腰がゆらめいた。そうして、我に返ったふみやがその動きを止めるたびに広げた舌で弱点を這いずり、尖らせた舌先ですり、すり、と甘やかすのを何度となく繰り返す。ふみやの理性の糸がふつりと途切れるのに、そう時間はかからなかった。
へこへこと情けなく揺れ動くふみやの腰。パジャマ代わりにしている緩いズボンの下で張り詰めたそれをどうにかしてしまいたくて、すぐ近くにある天彦の腿に擦り付けた。その間も口内への濃厚な愛撫は止まらず、ふみやは葡萄色の瞳をどろどろと情欲に蕩かして耽り溺れる。抗いも虚しく、もはや歳若い青年に我慢できる状況ではなくなっていた。
「ん
……
ふ、
……
ッん、ぅ゙ん
…………
んぁ、
……
っ♡」
荒くなる息を天彦の唇に攫われながら、本能のまま腰を振って己の快楽を追いかける。酔いどれの恋人はあまりに容赦がなく、ふみやはキスひとつで完全に欲情してしまっていた。ついに場所も忘れて、天彦の股座にまで手を伸ばす。
天彦の天彦は、おすまし顔でお行儀良く座っていた。
「
………………
は?」
途端、ふみやの腰が止まる。もう少しで吐き出せた精が暴れるようで苦しかったが、それでも続けることはできなかった。ともに興奮して相手を求めあうのが大切、と教え込んだのは天彦だったから。経験のある成人男性や勘のよい成人女性であればわかることも、未成年の子どもにはわからない。勃っていない、それなら天彦は興奮していない。酔ってキスしてきただけで、自分を求めてはいない。そう結論づけると、身体が少しばかり冷えて入らなかった力が戻ってきた。顔を背けて無理矢理くちづけを中断させ、天彦の傍を離れようと立ち上がる。腰がずくずくと重怠く、萎えきっていないそこが憎い。
天彦に捕まる前に、と水のボトルを持って退散しかけたとき、ふと視線を感じて振り返る。四つの眼がこちらを見ていた。二人の赤い頬は、酔いのためか、それとも。答えは、依央利がさっと視線を逸らしたことで察せられた。全部かどうかはさておき、少なくとも睦み合うところを見られている。冷静な頭ではない今、ふみやには何の言い訳も浮かばない。なにより、股間を膨らませたままどう話すというのか。逃げ出すには不自由な状態の我が身に歯噛みしながら、ひょこひょこと間抜けな動きで二〇六へと転がり込んだ。天彦は、追ってこなかった。
いい気分とは決して言えない状況だと言うのに、ふみやのそこはなかなか落ち着いてくれない。日付はとうに変わっており、心情的にもさっさと眠ってしまいたかった。もはや萎えるのを待つよりも血液が集まりすぎたそこを処理してしまう方が早い。ふみやは久々に、ただ擦って射精するだけの虚しい慰めをした。それは、天彦と付き合う前の自慰と同じだった。
酔ってキス魔になるんだったら言っとけよ。あんなことしといて全然勃たないとかどうなってんだ。なにが世界セクシー大使だ、引退しろばか。拗ねから来るあれやこれやを頭の中に広げつつ、気怠い眠気に身を任せる。気付けば意識は途切れていた。
翌朝、理解の早朝襲撃はなかった。喜んでいいことなのか、昨夜の依央利とテラの様子からするとわからなかったが。それでも、一先ずゆっくり眠ることができたふみやの頭は冴えていた。
天彦のアレがアレだったのはさておき、キスする前にきちんと名前を呼んでいたことを思い出して、心を落ち着かせる。誰かもわからずされたわけではない、と少しのわだかまりを飲み込むことにした。
そうなると、目下の悩みはやはり交際がバレたことだろう。否、交際だと認識されているかはわからない。ただ、濃密なくちづけが行われていたこと自体は確実に見られていたと言って間違いない。どう説明したものか。特に理解などは男女の恋愛ですら糾弾することがあるのに、同居している男同士が恋愛関係にあるなんて事実を受け止められるのだろうか。そもそも今朝起こしに来なかったのはなぜなのか。もしかして、もうみんなに知れ渡ってしまったのか。
ふみやは、不安だった。上手く説明して、なんとしても綺麗に収めないといけない。とにかくこれからも七人暮らしを続けたいし、天彦と仲良く付き合っていたい。両立できるかどうかではなく、そうさせる選択肢しか持っていないのだ。
とは言え、しばらく部屋に居ても何も思いつきはしなかった。とりあえず洗面を済ませてから考えよう、と階下に降りてみる。居間の方から声がして、数えてみると全員揃っているようだった。細かな会話は聞こえずとも、どうやら雰囲気は悪くないらしい。ふみやは胸を撫で下ろしつつも、次の問題に行き当たる。全員揃っているとなると、こっそり顔を洗いに行けない。キッチンに依央利が居る程度ならば、気付かれずに通り抜けられただろうに。こうなったら、走り抜けてさっさと歯ブラシを咥えてしまうしかない。追いかけてきた住人が居ようとも、今しゃべれませんけど、の体を貫いてやるのだ。
案の定、端っこにいた大瀬から順に全員の視線を浴びながら駆け抜けることになった。しかし、追ってくる様子はなく静かである。放っておかれているならそれはそれで、とゆっくり顔を洗って歯ブラシを口にした。歯を磨きつつ、このあとの六人との会話を考える。嘘を吐きたいわけではない、というより手遅れだろう。正直に話すのをベースに、どうするか。ぐるぐると頭を悩ませたところで魔法の言葉は出ない。これからも一緒に暮らしたいと伝える他ないか、と口内の泡を吐き出しながら覚悟を決める。軽くゆすいでさっぱりしたところで、顔を上げると鏡の中には天彦が居た。眉尻を下げて、申し訳なさそうな目を向けている。
驚いたふみやは目を見開いて固まった。昨日の今日でなんとなく居心地が悪く感ぜられ、振り向くことに抵抗を覚える。結局、鏡越しの視線を投げるに留めて言葉を待った。
「ええと、昨日はすみません
……
酔うと勃ちも悪いですし、半端になるので手を出さないようにしていたんですけど
……
。それに、テラさんと依央利さんの前であんなセクシーなことを。みなさんご存知とは言えさすがに」
「
…………
待って。待って、ちょっと待て。酔うとなんて? 知ってるってなに? いっこずつ言って全部わかんない」
ふみやは思わず振り返った。心を占めていた二つの話題について、同時に答えをぶつけられても困る。そのまま言葉が続くとパンクする気しかしない。これは天彦の言葉を遮ってでも、きちんと聴かなくてはならない。
「ああ、失礼しました。アルコールは中枢神経系を
……
つまりですね、脳の興奮を身体に伝わりづらくする効果があるんです。なので致したいのに勃たない、なんてことが起こるんですよ。純潔ボーイが緊張を誤魔化すために飲んだら失敗、などと悲しい事件も起こりがちです」
「
……
じゃあ昨日のは」
「不安にさせてしまいましたよね
……
ワールドセクシーアンバサダーとして、あなたの恋人として、お恥ずかしいところをお見せしました。追いかけようにも上手く身体が動かなくて、本当にごめんなさい」
聴いてみればなんでもないことで。ただ、自分がまだ子どもである事実を突きつけられたようで、なんとも言えない気分になる。知らなかったのだ、そんなことは。アルコールを口にしたことはないし、そんな状態で勃つか勃たないかなんて、見聞きする機会もなかった。昨日の悩みはなんだったんだと行き場のない感情を持て余すが、今はそれに構う間もない。どちらかと言えば天彦の下半身事情よりも比重の高い、もう一件が気になって仕方なかった。
「わかった。それはもういい、大丈夫。それより知ってるってなに、どういうこと。隠してただろ、俺たち」
「それ
……
は。みなさんから聴いた方が、いいかもしれません」
どこか所在なさげに視線を泳がせながら答える天彦に首を傾げるも、どうやら天彦が周りにバラしたわけではないようだった。埒が明かないため、連れ立って洗面所を出る。居間に戻るなり口を開いたのは、テラだった。
「あっ! も〜昨日みたいなのやめてよね、身内の性事情とかなんか気まずいでしょうが」
「え、あ。うん。ごめん
……
?」
「聴いてる天彦!? 君に言ってんだからね! ふみやくんはまあ
……
お疲れ」
あまりにも普段通りの様子にたじろぐ。言っていることはもっともだった。それはそうだ。たとえ他の奴らがこっそり付き合っていたとして、見たくはない。いや割と興味はあるな。でも独り占めしたいだろうし、と思考が広がっていくふみやを差し止めたのは、口々にこぼす住人たちの声である。
「テラさんのお話だと、いおくんが飲ませすぎたって
……
」
「うっ。それは
……
うう。ごめんなさーい
……
」
「はー、寝ててよかったわ。ここでおっぱじめんなよ! 部屋でヤりやがれ!」
「コラ猿!!
……
その、他の方々も居ますから、秩序を守って過ごしましょうね」
違いと言えば理解が顔を真っ赤にしているくらいで、それ以外はやはりいつもと変わらぬ面々だった。なんと言おうか、今知ったわけではない空気感。天彦の言う通り、以前から二人の交際を知っていたような雰囲気が漂っている。
言ってしまえば、喜ばしいことではあった。全員が承知の上で、共に住むことを選んでくれているのだから。それはそれとして、なぜ、どこから知ったのか気になるふみやは、おずおずと口を開く。
「え、っと。
……
なんで知ってたの、俺たちのこと」
しん、と静まり返るリビング。居心地の悪そうな天彦と、五人の視線が錯綜する。まるで、誰が言うかを押し付け合っているような。やはり天彦がなにか言っていたのか、それとも態度や顔色から察するものがあったのか。天彦はわかりやすいからな、といろいろな理由を浮かべつつその時を待つ。
やがて、観念したのか、奴隷として背負うことにしたのか、訥々と言葉を吐き出したのは依央利だった。
「
…………
ふみやさんが、あの
……
わかりやすくて
……
」
「は?」
交際バレ済がふみやにバレた話 時間切れ!
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