スサ
2024-11-23 09:41:58
1724文字
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【T&B】ハロー!バーナビー特別版

BBJが公共放送的なので夕方にうさぎのソフィーちゃんと視聴者のお悩みに答えるミニ番組をやっている、という設定で書いてた小話の特別版です。良かったら…。

 バーナビーのヒーロー引退は様々なことを引き起こしたが、予想外に大きな展開をしたことのひとつに、主に幼児向けの時間帯に彼が担当していたミニ番組を挙げてもいいだろう。
 ハロー!バーナビー、というおよそ5分程度の番組は、メインターゲットは未就学あるいはエレメンタリースクールに通うくらいの年齢の児童だが、視聴層は幅広く、シュテルンビルトの老若男女に高い認知度を誇る。バーナビーはヒーローなので出動以外でも怪我による入院などで番組が流れることもあったが、概ね録画であるし、完全に放送が途絶える時期というのもなかった。だが引退となるとまた話が変わってくる。ヒーローを退くと同時にバーナビー本人はこの番組の終了を打診したが、しかし

「Hi!」
 ヒーローデビュー時の懐かしい赤いライダース。
 ひとまずの最終回と決めていた生放送の場に彼が選んだのは、人々の記憶にも鮮やかなその衣装だった。
 ヒーロースーツではないものの、バーナビーといえば、のおなじみの服だ。なお、バーナビーと同じライダースが欲しいという需要は未だ高く、このモデルの真っ赤なライダースジャケットは今も売れ行きが良い。
 普段の収録ではないことなのだが、バーナビーの挨拶には拍手と、幼い歓声、バーナビーの名を呼ぶあどけない声が返ってきた。そう。その日はただの生放送ではなかった。シュテルンビルトの10歳以下の子どもを抽選で200名、それぞれ保護者が1名まで付き添えるので、全体でいえば400名程をいれた公開生放送だったのだ。なお当初は保護者含めて100名の予定だったのだが、当然ながら応募が殺到、毎日問い合わせやご意見が相次いだことにより、急遽会場をおさえて人数も増やしたのだった。それでもかなりの応募を落とさなければならなかったため、放送局はライブビューイングも設定した。
 小さな観客達からの声に、壇上のバーナビーは手を振った。
 彼が個人的に児童福祉に関わっていることは、本人が大々的に明かしているわけではないものの知られてはいる。彼自身の生い立ちによるところが大きいようだが、とにかくそれらがけしてポーズではないことは、その表情からも明らかだった。
「こんにちは、バーナビーです」
 挨拶した後、軽く腕に抱えたうさぎのぬいぐるみ、いわゆる「特別なソフィーちゃん」を観客の前に出し、軽く会釈しているような動きをさせる。案外自然な仕草で、バーナビーが普段からそういうことをしているのでは、と保護者達は思った。
「今日はこんなにたくさんの方に集まって頂いて光栄です。短い時間ですが、最後まで楽しんでくださいね」
 また、わーっという歓声と拍手。
 さっそくバーナビーはソフィーちゃんを覗き込むようにし、なんですか、ソフィーちゃん、と尋ねる。
 番組ではよくやっていることだが、実際に目の前で見るのはやはりわけが違う。
「はい。はい、そうですね」
 まじめな顔で頷いた後、バーナビーは客席を向き、「ソフィーちゃんとのおやくそく」として諸注意を告げた。完璧な進行であったので、TVで見ている視聴者たちは「#今日も進行にまじめなソフィーちゃん」「#俺たちのソフィーちゃん先輩」等のハッシュタグを早々に電子の海に放った。
 あらかじめくじで選ばれた質問に、本人と保護者にもステージに上がってもらった上でバーナビーが答え、惜しくも選に漏れた質問をいくつかピックアップして答えるコーナーがあり、バーナビーとソフィーちゃんの番組特製グッズが当たるジャンケン大会ありと充実した内容の公開生放送は、2時間のスケジュールを瞬く間に消化して終わった。最後にステージ側から撮った記念写真は後日参加者に郵送される。これはバーナビーの意見で、データですぐ見られるものでも、手元に形が残るのは嬉しいことだから、とのことだった。
 そんな大盛りあがりを見せた「ハロー!バーナビー」を終わらせるのを番組サイドは惜しんだ。だが、シュテルンビルト市民はもっともっと惜しんだ。

 そんなわけで、「ハロー!バーナビー」はバーナビーが引退した今も人気番組として放送を続け、悩める子どもや大人たちの声に応え続けている。