珍しく神妙な顔をした、と言っても表情の分かるような容姿ではないのだが、普段は我儘し放題言いたい放題の自称紳士サマが、その身長の割に合わないに加えていつもと比べ物にならないくらい微々たる小さな声で、言った。
「今度のお出掛け、行けなくなりました。」
その声は低く沈んでおり、不本意が如実に現れていた。
「……おれのほうが申し訳なくもドタキャンする時はンな反応しないのに、自分のほうだとそうなるのか。」
「はい。」
純粋に驚いて、思わずそちらのほうのリアクションをしてしまったが、それに対するリアクションもイマイチだった。
「……そうか。残念だな。」
一先ず、仕方がないので、自分の側の都合で予定が崩れてしまった時と同じ言葉を送ってみる。
「く、悔しい……」
しかし根は深そうだった。
「こうなったら、出掛け先で見る筈だった景色を、自分で描きます。」
「え?」
根が深いせいか、なんだか良く分からないことを言い出した。
「……出掛けられなくなったんだろ?」
「ええ。でも、簡単に描くくらいなら出来ます。」
簡単に言う。
「わたしが描けば、そこに行けなくとも、わたしもおまえも同じ景色が見れるんです。」
「……それは……まあ……。」
絵画や写真の利点と言うか真骨頂と言える代表的な特徴である。
絵描きが良く分からないなあと思いながらも、無理はするなよ、と釘を刺すことだけはしておいた。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.