ウチの居候曰く、ヒモとは、それなりにに家事が出来て、身の回りの知識があることが求められるらしい、出来過ぎても出来無さ過ぎても駄目らしい。あと、程々にヤキモチ焼きでなければならないらしい。
それに対し、成る程ヒモも大変なんだなあ〜、なんて、そんなことにはならない。ヒモのくせに何一端のプロみたいなこと言ってんだ。ヒモのプロなのか。
「おまえのほうがヒモに向いてると思うんですよねえ。」
「……喧嘩売ってんのか?」
いえいえまさか!じゃねえんだわ。
この居候は自称ヒモというか、確かにおれの家に住み着いて好き勝手やっているが、それで作った何かが最優秀賞を取ったとかで金一封を持ち込んで来たり、個展を開いて作品が売れたとか言って、下手したらこちらより稼いでいるのではあるまいかと疑うような金を預けて来る。というかおれに預けんなよ。
にも関わらず自分をヒモだと称して譲らない長身は、それにしては棲家を取っ替え引っ替えしていたらしい。
「ヒモとしてね。」
そんな、プロとしてね、みたいな言い方されても困るんだよ。
「けれど長年ヒモをやって来たわたしでも、ヒモとして不得手な部分はあります。」
そう、何かを説くまるで専門家のような語りで以って話し出したかと思うと、何故か、こちらに目を遣られる。
「その反面おまえは、ほどほどに不器用で庇護欲を抱かせるし、誰にでも愛想が良いわけではないので独占欲が満たせるし、聞き齧ったような知識は入れ知恵……いえ補足して遣りたくなるし。」
おまえ。
「ヒモ、向いてますよ。」
如何です?じゃねーんだわ勧誘するな。
だいたい、ヒモに向いてるって言われて、やっぱり喧嘩売られてるようにしか思えない。
「そういう常識ぶったところも、養いたくなるポイントですよねえ。」
それは多分、ヒモを養いたいという話ではなく、もっと、愛玩動物を室内飼いから出さないとかそんな類いの。
「……おまえがヒモに不得手な部分があることは、分かった。」
良く分かった。
ヒモの皮を被った、狩人だ。
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