ortensia
2024-10-09 01:57:29
906文字
Public 傭リ
 

現パロ寄り謎時空よーり。傭が人形(???)。庭がリの友人。


 人形好きでしたよね?と友人に誘われてその自宅を訪ねた。父が器用で、今でも沢山持っている友達は、みんな彼の手作りだ。
 友人は特に人形好きというわけではなかった筈だが、何か惹かれる雑貨を見付けたらしい。
 友人にも器用なところがあるが、趣味に聞くのは絵を描くところばかりで、寧ろぬいぐるみは、裂いて綿を繰り抜くことを好むような人物だ。まったくもって良い趣味である。
 だから友人のアトリエに置かれた平面の絵画達の中で、それが立体的に座すさまに、直ぐに気付いた。
 薄い体は服を纏い、頭が重そうだが、フードを被ってちゃんと倒れずにお座りしている。細い手足は重そうなブーツと、なんだろう、腕に何か嵌めている。広めの口は口角が下がり、その端だけ糸で二重に縫われている。緑の釦が縫い付けられたそれがなんであるかと認識する前のことだった。
 目が、合った。
 そんな気がした。勿論そんな筈はないだろう。だって人形だ。そんなふうに感じただけだ。
 とにかく、人形の目は釦で表現されていた。緑の釦だ。
「面白い顔してるでしょう?」
「面白い……?かなあ?」
 人形を見詰めるこちらに、持ち主の友人は機嫌良さげにそう貶す。
 友人の趣味は良く分からないが、なんとなく人形に対して不思議な印象を抱きつつ、じっと見詰め続けているこちらに反して、当の持ち主は自由にうろちょろしている。勿論ここは友人の家なので、好きにしていれば良いのだが。
「えっ」
「エマ?どうしました?」
「リッパーさん!今、そのヒトと瞬きしたの……!」
「ええ?」
 友人が明らさまに怪訝な声を上げるのも仕方ない。何せソレは人形なのだから。何せソレはヒトなどではないのだから。何せ。
「釦の目ですよ?瞬くわけないじゃないですか。」
 きっと光の反射でそう見えたのですよ、なんて。
 人形はフードを目深に被っているため、そもそも映り込む光がない。
 けれどその釦、いや、もうただの釦だとは思えない。それが、どうしても、友人のことを追う目にしか見えない。
 人形に惹かれたのは本当に友人のほうだったのか、それとも友人に人形が惹かれたのか。エマは何も知らないの。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。