常に堂々と無駄に嵩張る長脚を練り歩かせて居るもんだから、その時にそろりそろりとまるで緊張でもしてるような摺り足で近寄られて、ハナから警戒して居た。そこに、だ。
「おまえわたしに、きすしてほしい、って言われたら、どうします?」
常と違う動きの次は、そんな素っ頓狂なことをぬかしよる。
問題無く耳に届く言葉だが、やはりいつもより密やかな気がした。
さっきから行動と言い、文言と言い、何やららしく無いと言うか、普段の傲岸不遜と言うか、自信満々な図々しさと言うか、そう言うもの達がすっかり鳴りを顰めている。寧ろこちらが怯えられているようで、逆に気分が悪い。と言うか、警戒を通り越して気味が悪い。
「どうします、って……」
兎も角普段と異なる様子に向き直る。
「実際言われて無いからどうもし無えが。」
「仮定の話なのだから、実際言わ無いのが前提では?」
ムッとして言い返して来る。なんだ、調子が戻って来たんじゃ無いか?
「なんだ、言わないのか?」
言い捨てるみたいに言葉を投げて、あっさり向きを変える。
会話を終わらせるように立ち去る気配を出すこちらに、少し慌てた気配が返って来る。
しかしそれだけで追い掛けて来ないな。
仕方が無いので、少し振り向いて遣る。
「この先少し歩くと、人気が無くて静かな、景色の良い場所が有る。」
「……都合が良過ぎる。」
そう言いながらも、やっと付いて来るようなので、良しとしてやる。
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