ortensia
2024-09-14 02:13:55
1212文字
Public 傭リ
 

現パロよりよーり。絵がぐちゃぐちゃとして上手いこと描けなくて困ったリが傭に別のおんなときすしろって言う話(さいあく。

自(?)撮りって手もあるだろうけど、ぐちゃぐちゃになってると難しいものなので、それはまた今度…()

 描き進めたカンバスを前にして、わたしは、筆を置いた。
 軽く片付けを整えてアトリエを出て別室で寛ぐ男の肩を掴み、顔を上げたところに離した手で仮面をずらしきすを仕掛ける。
「な、なに。」
 驚いた男が合間に何か言うのも置いて、あらゆる口付けをその儘続ける。どれもこれも、正直していなくても、感覚を思い出せる確かな記憶として、わたしの中に残っている。一頻りぐちゃぐちゃと済ませて離した顔を見下ろす。
「おまえ、わたしがどなたかお嬢さんを呼んであげるので、それときすしなさい。」
「嫌だが。」
 男は話の内容を良く分かっていないだろうに即答した。男から苛立ちを感じる、というか下手をすれば怒っている。
……まあ話を聞きなさい。」
 男は片眉を上げて否定も肯定もせずに黙っている。
「ご協力を仰ぎたいだけなのですが……描きたいものを描きたいだけなのです」
 この男が口付けている顔が描きたい。
 しかしその求めている男の顔は、当然自分とぐちゃぐちゃの口付けを交わしている時のものなのだが、はっきりと描ける程視覚的な資料と言う名の記憶が足りない。幾ら感触が正確だろうと、描こうとするための資料としてはどうしてもぐちゃぐちゃとしていて不足がある。きすをしている時に目を瞑っているとかではなく、距離が近いせいで逆に良く分からないのかも知れない。
「そうか。」
 仮面をしっかりと戻したわたしの的確な熱弁を聞いてその冷めた態度、本当に分かっているのですか?しかしまた一から説明するのも、それはそれで面倒臭い。
「その儘ぼんやりとしたの描けよ。抽象画?とか言うの、おまえ好きでいつも描いてるだろうが。」
「抽象的なイメージでも描くのは具体的な現実なのですよ?」
「まあおまえそう言うよな。」
 知ったような口を利く男が、ぐっと顔を近付けて来る。笑っていることは分かる、見えるからではない、感覚でだ。しかしこの笑みは許容しているから笑っているのではない、絶対に許さないという意味で笑みを見せているのだ。
「でもだめだ。諦めろ、この抽象的な儘絵を描くか、描くのをやめるか、選べ。」
 笑顔の原初は歯を見せて威嚇するものだ、と何処かで聞いたのを思い出した。
「良いじゃねえか、分かんなくてぐちゃぐちゃな絵。描けよ。」
 描くのをやめろと言った口で直ぐ描けと言う。この男はわたしに出来るだけ絵を描かせたいほうだ、だからここは、このファンに免じて特別にわたしが折れてやろう。ぐちゃぐちゃになるつもりで押し倒して来るのにも、甘んじて受ける。別に今そんなことをしなくても、ぐちゃぐちゃな記憶ははっきりといつなんどきでも思い出せるというのに。
 しかし今じゃなくて良い反面、別に今でも構わないのだ。わたしは自分で仮面を完全に外してほっぽりだしてしまって、目の前の男を自ら誘い込んだ。
 その後、途中でほっぽって来た絵は、ぐちゃぐちゃの完成を遂げる。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。