男に食まれて上下に弄ばれる小さな煙草を、男ごと見下ろす。そうは遊んでいても、男は眉間を寄せており、美味そうに愛でているわけではないようだ。
「美味しいですか?」
「?」
「煙草。」
男は笑って答えた。
「不味い。」
やっぱり。
男は自分の言ったことの可笑しさを自覚して、自分で笑っている。可笑しな男だ。普段の食事はきちんと美味そうに食らっているのだから。そんなものを咥えていることが、益々可笑しい。
しかし、眉を寄せ、目を細めたような顔には、別で見覚えがあった。
「……わたしは?」
「ん?」
「わたしのことは、美味しいですか?」
男の眉間の皺が、その時は消えた。驚いているようだ。
「酷く美味い。」
やがてくゆらせた煙の向こう側で美味そうに笑った。
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