生まれた時から一緒にいるなんて誇大表現をしても許されるくらいの仲でその時を同じくしてどんなに寄り添い合っていたって、時の流れが及ぼす互いの成長は心身共に歩幅は違うしとろりとして一つになるなんて有り得ない。だから勿論互いに知らないことは有る。それを今迄の知っていることを補助にして擦り合わせて来た。互いにだ。
「おまえがすきだ。」
今迄見たこと無い顔だ、などということは無い。普段通り自分の顔より良く見知ったいつもの間抜けな顔だ。
だからこそ、日常的に違和感無くこの男がそう思っていたのだということが良く分かる。
「ごめん。」
憮然として高慢な態度だと良く言われるこちらが黙って聞いているところに、確実に動揺を見出してそう言って来る相手は、確かに間違いようもなく昔馴染みだ。
「わたし知りませんでした。」
うん。と小さく頷く小さな男は、だからこそ口にしたということだろう。
「でもおまえのそれが嘘でない顔なのは知ってます。」
男は黙って頷く。
「わたし、おまえのことなんでも知ってる気でいました。でも、知りませんでした。」
男はこちらの言葉に頷くばかりだ。
「でも、そう思っているわたしが知らないことが有ると、知らしめたことを悪く思っている顔だと、今のおまえの顔がそうだと分かります。」
男がわざわざ口にしたのだ。ならばこちらもそうしよう。今迄もそうして来たように。
「おまえが、口に出すしかなくなったと自分を幾ら責めようと、関係ありません、わたし達は、今迄と同じです。持て余してるなら、ちゃんとわたしも持ちます。」
伝えられて、渡された言葉を。
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