ortensia
2024-08-19 01:08:26
464文字
Public 傭リ
 

足癖の悪い傭とそれを許すリ


 読み終えた本を閉じ、本棚に挿し入れようと立ち上がれば、今迄腰掛けていた長椅子の隣から腰へと足が引っ掛けられる。その儘椅子に戻されても癪なのでそこはそうせずに、本をその場に置くことだけはして、腰に足を引っ掛けた儘、その足癖の持ち主を振り向いた。はあと目の前で息をはいて見せても、素知らぬ顔が他所を向いている。背まで絡ませ閉じていた足を、掴んで逆に開かせる。それでも驚いた顔はするものの、上体をちっとも揺らさないさまに、いっそ呆れてもう一度息を落とす。
「足癖が悪いと関節が柔らかいんですかねえ?」
……切っても切れない関係なのは確かじゃないか?」
 明らかに行儀が悪いのに、悪びれた様子はない。三度目の息は吸い込んで一度止め、持っていた足を跨いで自分の腰を落とし、目の前の口に吐き出した。
 酒精に陶酔するように細めた目は、もう足を動かさなかったが、そこで都合良く撫でさするこちらの右手に、忙しく瞬きの回数を捧げた。
 ただその後は、時折りぴくりと浮かせるように動かしたけれど、無意識の下だったようなので、許してやった。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。