雪景色の中何をするでも何を話すでもなく並んで腰掛けていると、隣ののっぽがおもむろにこちらの顔の前でぱたぱたと爪を揺らしている。「何をしている?」「息が白いのが面白くて。」また。話す度に吐き出される白を、熱を持たない爪が引っ掻くような動きを見せる。「もっとやってください。」「そう言われてもなあ。」「もっと話してください。」そう言われてもなあ。話題などない。考えた末、仕方なく歌う口ずさむ。遠い記憶の歌だ。冷たいのっぽはそれに喜んで爪を翻す。そのうちのっぽをゆらゆら揺らし、どうやら歌に聞き入ることの方に身を任せたようだ。いつの間にかこちらの体も抱き込まれて、共にゆらゆらさせられる。歌い終わって白い息が収まると、雪のような指が唇に触れた。軽く食んで遣ると、ふふと笑われる。更に軽く噛んで遣ると、きゃらきゃらと高い声で笑われる。雪のような唇が触れた。それでわざと白い息を吹き掛けてやれば、雪のような舌が触れた。おまえ程雪のように冷たい霧はいない。
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