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ortensia
2024-06-20 02:57:15
1413文字
Public
傭リ
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荘園時空っぽいどこかでよーりがお互いにさんまいにおろしたりおろされたりする(???)せつだん表現がある
やれやれ系主人公リ(?)の無理矢理未満()
転がされた屈辱に思わず癇癪を起こす。
「あー。」
普段の紳士然とした態度を心掛けたものより低く濁った声だった。
最初の一手、不意打ちすら囮だったこと迄は読んでいた。しかしだからなんだと思ったのだ。払った左手が空いた途端、それをすっぱり切られるとは、やれやれ。
引き摺り込まれたのは自室だ。何せそこに戻ろうとしていたのだから。
乗り上げさせられた寝台の上で、まるで人形の組み立て前みたいに、切断面と切断面を直ぐそばに並べられる。
「痛いか?」
「いいえ?」
だとしてもおまえに教えてなど遣るものか。
自身から外れた自身だったものが、普段の自身の儘で在れば見ることの出来ない角度で目に入る。
そのせいで暴れる意欲がなくなったのだ。意図せず筆が折れた、みたいな?
寝台に乗せられたこちらの更に上に乗って見下ろして来る瞳を無気力に見返す。瞳が告げる。
「抱く。」
「犯すって言えよ
……
。」
はははっ。瞳が笑う。
「絶対に嫌だね。」
瞳は言う。おれだって。
「おれだっておまえに心臓を滅多刺しにされてる気分だよ。」
おまえがいると、いつだって。
「でもそれで良いと思ってる。」
瞳はずっと笑っている。
「スライスされて、血のソースをかけて、骨の皿でおまえに食われてしまえ。」
別に食べたくないんだが。
けどまあ、この瞳の方はそれを欲しているのだろう。
犯すのでは無く抱くと言ったその口で、切った左手を食うのでは無く貪りたいのだろう。
それで、はいどうぞ、と言ってやる口はこちらにはないのだが。
「良かったですね、」
切れた左手に思いを馳せる。
「外傷が痛みをもたらすことはない、」
馴染んだ霧の記憶を手繰る。
「痛みをもたらすのは恐怖だ。」
恐怖と存在感は比例する。怖れないなら痛みも苦しみも存在しないのと同じ。
相手がこちらの言葉を吟味している隙に、す、と寝台の横に立つ。
軽く左手を振るが、大きさ故どうしても大仰な仕草になる。一方切れた左手は、未だあいつが後生大事に繋いでいる。
「左手が二つ存在することになるが?」
「は。では、一つのゲームの中で何人もおまえがいるのは何故です?」
瞳は黙り込んだ。
切り離された自身の一つや二つ、おまえの慰みものにしてくれても構わないさ。
「さ。それ持ってって良いから、出てってね。」
切り取られたそれはわたしなのか?という問いは、参加している他の傭兵は皆同一なのか?という謎掛けと同義だから、それは奴も分かっているようで飛んで来ない。
「ああ。そうそ。朝には消えてしまいますから。ご利用はお早めに?」
納得行かなそうな瞳はそれでもわたしと手を繋いで大人しく出て行った。
無気力に閉じられた自室を見守って、無理矢理寝転がされていた寝台の上に力無く座る。
普段より自分の体が軽い。
「はあ。やれやれ。」
今自身の体には中身が詰まっていなかった。持って行かれたあれと同じものを身の内から作り出すのに使ってしまった。心臓すらない。きこきこと左手を動かす。強いて言えばこれが心臓だ。間違っても持って行かれたあちらではない。しかしどちらにせよ、持って行かれたものがわたし自身であることは間違いない。
もう寝てしまおう。
朝になったら。朝になっても、左手を食ったのがこちらかあちらか、どちらかは分からないだろう。
それで良い。意欲の儘に。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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