長身の男はなんでもないことのように、寧ろ踊る妖精のように話す。確かにこの男は自分のケアや自身を着飾ることを好む、それが他者から狂人を見るような目で心配されていることもあるのだが、本人は至って自分を大事にしている結果らしい。
「自分の中にもうひとりの自分を作り出せば良いのですよ。」
「へえ?」
そのもうひとりの自分を大事にすれば、それは自身の中に在るものだから、必然的に自分を大事にすることになる、と言う。
男は親切そうに告げながら小首を傾げてこちらを見る。
「なんならわたしの仮面一つお渡ししましょうか?」
「……え?」
その男は仮面を付けていた。それは使い古された、そして物持ちの良さを覚えるものだった。随分と前から「大事に」されている様子だった。
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