ortensia
2024-01-10 21:31:52
877文字
Public 傭リ
 

現パロよりの謎よーり。(なぞよーりとは?)


 表札を嵌めるリッパーとそれを見上げる傭兵が居た。
 住所不定なのは傭兵の方だったのに、二人の姓は「サベダー」を記した。
 傭兵を根無し草と罵ったリッパーが、自分には姓名など無いと主張したからだ。
 なんだ、そっちこそ名無し草じゃないか。傭兵は不思議な気持ちで表札を見るのだが、自ら取り付けて居るリッパーは背丈を理由にする以上にご機嫌だ。
 ジャック、なんて名乗って、そんなアノニマスは名無しも同然じゃないか。
 それでも傭兵はリッパーを一つの人格と捉えていたため「名無し」だなんて思いたくはなかった。それで彼をリッパーと呼んでいるのだが、当の本人はジャックと呼ばれることを好む。本当に分かってんのか?
 だから自らにくっ付いた「サベダー」の字面を喜んでるんじゃないのか。
 そもそもこの仮面を名も無い雑草扱いするには目立ち過ぎる。
 それを知る傭兵は、自分は家に居着かない、いつ戻るとも分からない、リッパーに散々言い含めても澄まし顔で全然響いていなかった。それどころか挙句には、目当てはおまえでは無くおまえの姓ですから、などと宣う。
「おまえがかえらないのならば、この名前がわたしのものに成るわけです。」
 やはり機嫌良くにんまりと告げられたのは、人質のようなものですかね、と言う意味の分からない例えだった。だから、おまえ、それ、本当に分かってんのか?
 そうしてやはりどうしても傭兵は不思議な気持ちに成るわけだが、リッパーは、この高さではおまえには届かないでしょう残念でした、と宣うわけである。世の中には脚立と言う便利なものが有ることを知らないのか、いや、知らないわけがない、以前壁かと思う程の大きな絵を描いていた時は、流石にこののっぽも脚立に立っていた。そもそも別に、傭兵は壁を蹴ればこの表札を外すことくらい造作もない。
 だが傭兵はそれをリッパーに告げるつもりは無いので、尚もそれはそこに在り続けるわけだ。
「まあ、おまえが、おまえの名前を名乗りたく無いってんなら、これで良いよ。」
「わたしはジャックなんですが?」
 そうじゃないってば。


—————————————————————
いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。