ortensia
2023-10-30 01:06:20
1337文字
Public 未完
 

フシギな絵描きリとどれい騎士傭。※しねたと、ひとくい表現が含まれます。

ポストマン氏が主人公です。死にゲーの主人公なので武闘派ポストマン…笑。やっぱ届け物させるなら配達員だよなぁ。

ダークソウルに奴隷騎士ゲールってキャラが出て来るんですよぉ〜ッ。そして画家のお嬢さんさんはとても髪が長くてとても可愛い。

 絵画とは一つの世界である。とある絵描きが霧の世界を描こうとして居た。暗く冷たい、霧の世界を。
 しかし、その絵を描くには、霧の血を顔料にすると言う。そこでその絵描きに仕えて居たひとりの奴隷傭兵は、顔料を求めて絵描きの工房を出立した。霧の絵描きが顔料を待っている。奴隷傭兵が持ち帰る、血の顔料を。
 そんな奴隷傭兵に出会ったのは、彼と同じ旅の途中だ。
「その顔料は何処に?」
 愛犬が傭兵に懐いている。それに構う素振りで、傭兵は黙っていた。
 その目は、暗く霧の奥に見える、木の葉のような色だった。
 奴隷傭兵と別れて暫くしてからのことだ、その顔料があるのは、辿り着くための道を全て塞がれた王城の陰謀を暴いて隠された都に匿われた姫の夢の中で光ある世界の終わりを待つ古代王が持つという。
 旅慣れした自分でもびっくりするようなややこしさだ。奴隷傭兵はそこを目指しているのだろうか。王城に辿り着くためにガーゴイルを召喚し、王城番人を倒し、姫を夢から強引に目覚めさせ、古代王と戦い、勝利すると言うのかその全てに。あの傭兵が。たかが奴隷傭兵の騎士が。
 ただあの傭兵は不死だ。その可能性を、唯一の手段を使うとしたら、あるいは。
 分からない。ただ自分に出来るのは、愛犬を撫でながら暗く明かりが消え行く世界で、光を届けるための旅をすることだけだ。
 そのために同じく不死の自分は、王城に辿り着くためにガーゴイルを召喚し王城番人を倒し姫を夢から強引に目覚めさせ光を失った世界の到来を阻止し古代王と戦い勝利する、その全てに。
 そして道中、その霧の絵描き出会った。
「顔料を待っているんです。わたしの傭兵が探して来てくれると言うので。」
 絵描きの彼は細いが背の高い体躯で、しかしその目前の画板はそれより広く大きかった。
 絵は背の高い絵描きが梯子を使うほどの大きさで、そこに腰掛ける彼はゆらゆらと子供のように足を揺らして何処か楽しげだ。絵を描くことに誇りを持ち、その顔料が間違いなくその手に届くことを、疑いもせず信じているのだろう、あの傭兵を。
「霧の世界を描くのです。暗く冷たい、けれど霧はどんな方でも招き入れますよ。」
 霧の絵描きがこちらを向く。そこは人と直接会話することが不得手な自分でも、犬である友人でも、歓迎してくれる世界だろうか。
 傭兵は今、何処まで顔料を探しに辿り着いただろうか。
 そして愛犬と辿り着いた姫の夢の中に、古代王は居た。そして奴隷傭兵も。
 確かにあの傭兵だ。しかしどうやって、彼の実力がこれ程までとは。彼は決して恵まれた体躯ではないし、何処迄も旅を続けられる魂の持ち主でもない。ただ彼のそれは不死であり、そこ迄考えて思い至った。
 死なないならば、世界の終わりを待つ古代王を待つならば、世界が終わる間際迄、生き続けるしかない。
 そして彼は生き切ったのだ。
 しかし古代王の瞳は暗闇に閉ざされていた。古代王が持つ霧の血の顔料は、死体からは得られない。
 生き切った彼は、再び出会ったその時には、古代王の屍を食らっていた。
「よぉ、配達人。頼みがあるんだ。」
 こちらに振り返った傭兵の瞳は光のない、あの緑はもう何処にもなく、暗い血に染まっていた。


—————————————————————
いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。