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ortensia
2023-07-12 00:23:56
10464文字
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傭リ
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しんよへとらまん(よーり) ※しんうるとらまんのネタバレを含みます! ※いろんなキャラが出ます。さらっと死ネタ含みます!
※よへとらまんの変身シーンはありません(笑)光線も出しません(笑)
※公式では、シンが光の「星」で、原作?の「国」と区別してるっぽいですけど、ここでは同じ「光の戦士達の出身地」としています。
※公式?では、ウルトラマンに人間が変身する場合、ウルトラマンと地球人が融合して居る状態からウルトラマンの姿に変身する(例えば初代ウルトラマン)か、元々ウルトラマンの異星人が地球人に変身して居るところを元の姿に戻るために変身する(例えばウルトラセブン)か、のどちらかな感じです。
後はウルトラマン知らなくても大丈夫だと思います…!
遥か遠くの星が輝いて見えた。
巨木ノ森湖の散歩中、手頃な花も咲いておらず、それでも手持ち無沙汰に、目の前の青年を手慰みとして摘み取ろうとした。
そのとき。
空から青色の球体が現れた。
そしてその場から退こうと走り出した男を、思わず斬り裂いた。あゝ、惜しいことをした、もう少し長く保たせて遊べると思って居たのに。
青色の球体は、どういうわけか、湖に音も無く沈み、光も見えなく成った。
それから直ぐに、新たに赤色の球体がやって来た。
その頃には諦めて、もう一度男を斬り付けた。
その後、赤い球体は青い方に反してこちらに近付いて来た。怪しみながらも逃げるつもりにも成れず、ただその光をぼうと見て居た。
赤い球体は妙な音を鳴らしながら小さく成って、目の前に降り立った。
音は、聞いたことも無いような、例えば、空の彼方の星はこんな音を発して居るだろうかと思うような、不思議な音だった。
音はやんだ。そしてなんと、こちらに話しかけて来た。
「この星の星人よ、なぜそちらの星人はそこに倒れている?」
「
……
ああ、あなた方が空からいらっしゃった時に、驚いて、つい、」
「誤って倒してしまったというわけか。それは悪いことをした。」
「え?いえ、わたしが、」
「今ならまだ、私と融合することで、一命を取り留めることが出来るだろう。」
「は?」
赤い球体は青年に近付き、そのままその男ごと赤い光に包まれた。
そして赤い光が収まる頃には、青年が平然として立って居た。
「あなたは
……
」
「この青年はナワーブ・サベダーと言うのか。私の任務も、この青年と共に行うとしよう。」
「任務?」
「ジョゼフは湖に潜伏中だな?私の任務は、奴を我が星の宇宙裁判所に連れて行くこと。しかし護送中に逃亡を図られ、この星にやって来ることに成ってしまった。奴は危険だ。この星の星人よ、君達を巻き込んでしまった、すまない。」
「は、はあ
……
、わたしは別に
……
」
空からの来訪者は青年の姿で、人間味の無い顔を厳かに頷かせた。
「この星の星人よ、寛大な心に感謝する。」
「いえ、わたしは
……
」
「この星の、そうだな、
……
写真機に似た装置には気を付けろ。」
勝手なことを言って、勝手にやって来た来訪者は、青年の姿で湖へと向かって行った。
そして暫くすると湖が青や赤に激しく明滅し、湖面が大きく波打ち、やがて辺りが大地ごと大きく揺れたかと思うと、天高く、それでも宇宙には届かない高さで飛沫が上がった。雨のように上から湖の水が降り注いだ。その頃には、空にヘリコプターやら厳しい飛行機が飛んだり、周りに騒がしさを感じた。しかし湖にひとりで向かい、ひとりで戻って来た青年は、同じくずぶ濡れに成って居る以外は平然として居た。
「
……
倒したんですか?あの青い、」
「ああ。」
来訪者はやはり平然と、表情の乏しい顔で言ってのけた。あんなに激しい戦いをしていた様子だったのに。逃亡される程の強敵だった筈なのに。
「この星の星人よ、騒がしくしてすまなかった。」
「
……
あの、地球って言います、この星。」
「地球
……
そうか、地球人、」
それで君は、来訪者が何か言いかけた、しかしその言葉は途中で止まった。
「どこの星人かと思えば、君か、ヨウヘイ。」
影から、灯りを装備したヘルメットを被った男が現れた。どう見ても地球人だが、もうこの星の外の世界に触れてしまった今では、考えも地球外まで向いてしまう。
「傭兵
……
?」
「私の所属は宇宙警備隊なのだが、今呼ばれたのはコードネームやあだ名のようなものだ。」
来訪者がずぶ濡れのまま、こちらを庇うように一歩前へ出た。
いつの間にか空の飛行機も、辺りの人の気配も消えて居た。
「自分の星は掘り尽くしたのだったか、探鉱者?この星の、地球の資源目当てで地球人に紛れて居るのか。」
「地球人は宇宙人の中でもまだ若い知的生命体だからね、早めに目を付けているんだ、他のどの星人に抜け駆けされても困るからね。君の星でも、是非採掘の許可を出して貰いたいのだけれどね。」
「そうだ、まだ若い。だからこそ先に成長を遂げた文明の星の我々が、無闇に干渉して下手に発展を早めては成らない。」
「光の国の掟か
……
。」
来訪者に探鉱者と呼ばれた、恐らくあちらも異星人なのだろう、その顔付きが、会話に準じた落ち着いたものから豹変した。
「そんなものに従っていては、一山も当てられらないだろうがッ!」
来訪者が即座にこちらに手を翳した。何をされたのか一切分からなかったが、途端に自分が透明に成った。
「念力か、相変わらず君達は厄介だ。」
「だから宇宙警備を自ら担当して居る。」
「宇宙の警備を謳って居るにしては、この星に入れ込み過ぎやして居ないか?その体、変身は、地球人と融合して居るようだけれど?」
「
……
。」
「依怙贔屓は良くないよね、特に」
君みたいな立場ならさ、話しながら隙を突くように、探鉱者が何かを傭兵に投げ付けた。何かは傭兵の体に癒着するようにへばり付き、探鉱者の方へ否応無く引き寄せられて行く。手頃な距離感に成ったところで、探鉱者が傭兵を殴り付けた。その拍子に一時的に吹っ飛ぶものの、また引き寄せられては殴られる。その繰り返しだった。傭兵が自身に張り付いた装置を壊そうとするが、その異星の力を以ってしても相当な硬度なのか、手を痛めた様子を見せた。それに加えて探鉱者の追撃はやまない。引き寄せられては殴り飛ばされ、また。
ステルス状態のこちらを探鉱者が見付けることは出来ないようだが、異星人同士の戦いに、助力しようにも叶わず儘成らない。しかしそこで気付いた、先程青年を斬り付けたその手に、己はいつの間にか何かを握り締めて居る。何かのスイッチのような。一緒に握り込んで居た、くしゃくしゃに成った紙切れ。何かのサインと共に、唯一読める文字。「託した」遠く彼方の宇宙の気配を漂わせるそれを、ボタンを押した。
「それは、ヒュドラのカプセル!?」
ぴかりと光り、傭兵が何かを弾くと、もう探鉱者に引き寄せられることはなかった。そのまま探鉱者を押しやって行き、影にもつれ込ませた後、そこから強い輝きが漏れ、来訪者だけが、またひとり戻って来た。
「
……
これはあなたの?」
「ああ。」
「どうしてわたしに」
来訪者は、その時初めて人間らしい表情を浮かべたように思う。困ったように小さく狼狽えて、君が。
「君が地球人だからだ。」
「
……
。」
地球のことだから地球人に託した、まあ理に適っていないことも無いだろう。けれど。
「わたしがスイッチを押すとお思いでしたね?」
「
……
ああ。」
「
……
おまえにとって、わたしは信じるに値しましたか?」
「ああ。」
わたしだったらわたしなんか信じない。
「
……
もう、故郷にお帰りに?」
「それは
……
」
辺りがまた騒がしさを取り戻した。
それに少し意識を奪われた隙に、来訪者はいつの間にか姿を消して居た。まさか今のを別れの挨拶として宇宙の彼方に帰った訳ではあるまい。きっと彼はまだこの星に居る。手の中は、カプセルだけが消えており、透明な体も元に戻って居た。自分も帰って、濡れた体を温めねばならない。彼は知っているだろうか?地球人は体を濡らした儘では風邪をひいてしまうと。他者をましてや異星人を気遣うような、普段はしないことを考えながら、翳された手から感じた温かさを思い出して居た。温かい、光だった。
夜はすっかり更けて居た。あのどこかの星が、彼の故郷なのだろうか。
明け方の世間は、巨木ノ森湖に光球が飛来しただの、水が突如噴き上がっただのと騒がしかったが、当事者で無い人間達は、平然と日常生活を送って居る。起きた現場が地球上であっても、まるで遠くの星のことみたいに。
しかし何も出来ることが無いのも事実なのだ。あの時透明にされ、隠されることしか出来なかった自分のように。それでもカプセルのスイッチを押す羽目には成ったが。
そんな世間だから、人の死体が転がって居ても、日常は変わらない。
「地球人は何故同じ地球人を殺すんだ?見たところなんの危機的状況でも無いのに。」
ある意味で平和と言うことなのだろうか、そう気軽に声をかけて来たのは、怪我を手当てしたような姿の男だった。手当てから怪我とも言えない妙な傷を良く見ようと目を細めると、逆に目を細めた笑みを返された。
「変身が得意な方ではなくてね。それでもこの星の星人はあまり気にしないようだ。本当に、平和なものだな。こうして異星人の実験場にされて居るとも露知らず。」
男が話し終えて死体に目を向けた。そこに自分が殺した筈の死体は無く、何か爬虫類の脱皮あとのような鱗の破片が転がって居るだけで、地球人の体の筈だったものは、覆われた鱗を残して萎んだように変わって居た。
「教授、自分の実験は自分の星でやるんだ。」
別の方向から別の声がした。今では知人と成った、異星からの来訪者のものだ。温かい光の持ち主だ。
「フィールドワークくらいするさ。勿論、光の星も興味深いがね。」
男が隠して居た怪我を晒した。そこには傷では無く、鱗が有った。それがみるみる内に全身に広がり。
「変身は得意では無いが、この姿をそちらの姿、スペシウムの肘当て、この星では三分くらいか?それより保たせることは出来るぞ。」
大きな蜥蜴へと変じた。
「これは警告ではなく命令だ、ルキノ。さっさと自分の星へ帰れ。」
傭兵の抑揚の無い言葉に反して、蜥蜴は長い舌を垂らしながら笑った。
「これはこの星の言葉だが、好奇心は猫を殺すらしいな?」
蜥蜴が跳んだ。
宇宙に届くかと言う勢いで跳び、そして落下する。
傭兵が避ける。
しかし蜥蜴は素早い。それに、後手で逃げて居る傭兵の方が、早く疲弊してしまうだろう。
蜥蜴が首を傾げる。
「何故地球人の姿の儘戦う?光の戦士には、光の戦士の姿があるだろう?」
「今の地球人には異星人の存在を確証出来る技術がまだ無い。そんな地球上で地球外の知的生命体の姿を取るわけにはいかない。」
蜥蜴は大きな目をぱちくりとさせた。
「傭兵?そうか、宇宙大学の教授だな?成る程流石は光の国の者だ、こちらより余程気が回る教授というわけだな。」
笑いながら言って、また蜥蜴は跳躍する。
そして逃げ回る傭兵の周りには、いつの間にか爬虫類の脱皮の皮のようなものが散乱し、それらに、遂にその足を捕らえられてしまって居た。
「研究成果と言うものはな、ギフトなのだよ。だからこの星に巡り会えたのも、素敵な贈り物と言うわけだ。」
「地球はお前のオモチャじゃない。」
「はは。なら、地球人のオモチャかね?この星に暫く居るが、地球人は実に愚かだ。今に、自分達どころか他の銀河も巻き込んで、自滅してしまうことだろうさ。」
蜥蜴がその大きな手で、取り出し構えたナイフを、傭兵に向けた。今のところ蜥蜴がこちらを攻撃する素振りは無い上、今こちらにカプセルは無い。それでも思わず飛び出そうかとしたところ、蜥蜴のナイフがそれ以上振り下ろされることはなかった。
「
……
やめよう。今以上に厄介なことに成りそうだ。」
その時蜥蜴は傭兵ではなく、どこか別の宙を見ていた。
「厄介事とそれから、そうだな、宇宙大学教授殿の助言に免じて、言う通り、星に帰るよ。」
「
……
だから、警告じゃなく命令だって言ったろ」
「
……
では聞こう宇宙警備隊員くん、随分と好き勝手しては居ないか?今のそちらに、本当に命令出来る権限が有るのかね?」
まるで侵略者ではないのか?
「
……
ある。」
「
……
ほう?」
「だけどこれは権限じゃない。」
光の来訪者は疲弊を隠しもしない代わりに、光のように真っ直ぐとした眼差しを向けた。
「私の、望みだ。」
向けられた異星人も、応えるように見詰め返して居た。
そしてやがて。
「分かった。」
ナイフは完全に消えて居た。
「助言ではなく、その強さ、光の力に免じて、と、訂正しよう。」
さらばだ。異星人はこちらにも一瞥をくれてから、去った。脱皮の皮も、鱗の破片も、もう辺りにはどこにも無かった。
肩を落ち着かせた傭兵は、しかし異星人が見ていた宙を、同じように見詰めていた。
見て居られなくて近寄って、少し迷ってから、その手を握ってみた。
温かかった。しかし、地球人を真似て居るその手は、こちらの自分の手より小さいものだった。光の来訪者は握られた手に反応して、こちらを見上げた。そう言えば背も随分と小さい。小さいのに、いつもわたしを背に庇って戦って居る。大きく輝くように見える背だった。
「おまえ大学教授だったのですか?もっと脳筋の武闘派かと思っていました。」
「
……
ヒュドラやスペシウムの仕組みを理解した者が使った方が効率も良いし研究も進む。」
確かに。相槌を打ちながら、青年の様子を伺う。いつも通り抑揚無く淡々と反応して居るように見えるが、どこかぼうとしても見えた。どこかの空で、彼方の星が鳴らして居るような、妙な音が聞こえた気がした。握って居た筈の手は、いつの間にか空っぽだった。温もりだけが、そこに残って居た。
懐かしい音が聞こえる。
故郷の光の音だ。
「何故この星にとどまっているの?」
「
……
君は庭師か。私を連れて行くためにやって来たんだな」
「ええ。私はトゥルース。傭兵、変身を解いて。一緒に帰りましょう。」
「それは出来ない。私がこの星を去ってしまえば、私が事故で死なせてしまった、融合して居るこの地球人、ナワーブが死んでしまう。」
「それはおかしい。その、この星の星人は、同じこの星の星人の手にかけられた筈。貴方が生かしておく理由は無い。それどころか、無理に生かしておくことで、貴方がこの星に、この星の星人に過干渉したことに成る。貴方が罪を重ね続けてこれ以上重く成る前に、寧ろ早く離れるべき。もっと言えば、この星の星人は未熟にして危険、自ら周囲の銀河ごと自分達を滅ぼしかねない。宇宙恐竜の投下も検討される。」
同郷の庭師、トゥルースが言うことはもっとも。光の戦士、宇宙警備隊に求められる、至って正しい判断と思考速度である。
しかし、私は同じ立場であり同じ判断を持たなければならない筈が、今こうして思い悩んでしまって居る。
「何を躊躇うことが有るの?」
「
……
。」
「地球人と融合して、貴方は貴方自身を見失いかけて居るだけでしょう?」
「
……
それは、」
想像する。あれが地球に向けて起動された時のことを。
宇宙恐竜は天体制圧用最終兵器だ。地球人の技術では、絶望しながら無意に時を過ごすことしか出来ない。
彼も、絶望を感じるだろうか。
この体には、彼がナワーブに負わせた傷が確かに有る。今はまだ、ここに。
「それは違う。」
「うん?」
もし、この傷と共にナワーブが、彼が、地球ごと滅んでしまうと言うのなら。
「もし、地球に危機が訪れるのならば、私が、私は地球人と共に戦う。」
庭師は驚いたようだった。
それもそうだろう。宇宙恐竜とは、前述した通り地球人はおろか、宇宙警備隊員ひとりが敵う相手では無い。それを、そんなこと、私も庭師も分かって居た。
「傭兵、リーズニング、」
トゥルースが驚きの声の儘私を呼んだ。
「そんなに好きに成ったの」
「え?」
「この星が、地球が。地球の
……
」
トゥルースも驚いて居たが、私自身も驚いて居た。
好き。
そうか。
「ああ。好きだ。」
私は晴れやかな気持ちに成ったが、庭師は寂しさの滲んだ顔を向けた。私はそんな相手の顔に向けて言う。
「私は好きに成った。知りたいと思った。だからこそ知ったことがある。」
「それは何?」
「地球人は地球人を殺す。それは愚かとしか、言いようが無い。しかし、だからこそ、地球人は周りの銀河を滅ぼす前に、自分達だけで自分達だけを殺し尽くしてしまうだろう。」
「
……
地球人が、地球人自身の、宇宙恐竜だと言うの?」
「その通りさ。」
「それも貴方が戦うの?」
「戦うさ。」
絶望と戦う。私は無意識のうちに、ナワーブの傷を触った。
「私は今は、異星人であり、地球人でもある。」
「
……
貴方が、地球人に傷付けられた痛みを知る、ただひとりの光なのね。」
トゥルースは、分かった、と頷いた。
「一度、私ひとりで帰るとしましょう。」
「すまないな。」
光の音が遠ざかる。
この星は光から遥かに遠いと思って居たが、この手は、いつ迄も温かい。
当然ながら地球人に、地球人と異星人を見分ける能力は無い。
「わたくしのことを地球人だと思って、なのに殺そうとしたのね。」
ふふっ、面白い方。鈴が転がるような笑い声が、前と後ろから、同時に聞こえる。成す術が無い。最近はこんなことばかりだ。
「地球人自身がこんなことでは、リッパーを寄越されるどころか、その前に滅んでしまいそうだわ。」
「リッパー
……
?」
「ええ。宇宙恐竜と称される、天体制圧用最終兵器。つまり、宇宙にとって脅威と見なされた天体を破壊するための装置よ。」
「
……
脅威と見なすのはどなたです?」
「ええ?」
うふふ。麗しい異星人が、また笑う。
「それは勿論、」
「マリー?何してるんだ。貴女が地球人に危害を加えるなんて
……
」
そこに現れた、良く見知った異星人。
「そう。危害を加えられて居るのは、寧ろわたくしと言う事。」
「
……
地球人じゃ、貴女の鏡にすら、指一本触れられないだろうに
……
。この地球人は貴女が異星人だと言い触らすことさえしない性格だが
……
、この状況は困ったな。」
「そう。困ってるのよ。」
「ええ。困りました。」
自分が原因だと分かっては居るが。
しかしそこでまた、美しい異星人は微笑んだ。
「それにしても、公平な筈の宇宙警備隊員さんがお困りのご様子なのも、珍しくて面白いわ。」
「
……
それは」
「ねえ、面白いついでに、宇宙警備のお話でもしてくださいな。それで手を打って差し上げます。」
「
……
機密事項に差し障りの無い範囲ならば。」
ここ一番で楽しげな笑い声が響いた。
「貴方がここ迄なさるなんて。ほんとに地球が、この方が大切なのね。今日は楽しいことばかりだわ。」
そう言った途端どこかへ転じられたのか、突然に移動して居たお茶の席に面食らいながら、楽しげに席に着く異星人と、反対に憂鬱そうに腰掛ける異星人に挟まれる形で、自身も椅子を引いた。
話は宇宙警備隊どころか、どういうわけか、その宇宙警備隊員とこちらの出会いの話に始まり、互いにどのように思っているかだの、なんだの、そんな話ばかりだった。機密事項など、一切触れなかったことだろう。
自分がきっかけとは言え、解放されて元の場所に戻された頃には、もうくたくただった。
流石の宇宙警備隊員も何か言いたげだった。
「
……
良いですよ。言いたいことは仰って。」
「いや
……
、おまえが心配だよ。」
すると来訪者はそんなことを言うものだから。
「おや。それでも、助けてくれるのでしょう?」
なんとなしに言ったことだった。
しかし思いも寄らず、相手は黙ってしまった。
「
……
どうしたのです」
なので、またその手を握った。
手は握り返された。
初めてだった。
故郷の音が聞こえた。
「トゥルース」
「ええ。」
庭師は掌の上に、一つの輝きを取り出した。
「その地球人のための、命を持って来た。傭兵、これで貴方がその地球人と離れても、その地球人は生き延びられる。」
「ありがとう。とても感謝する、トゥルース。」
その感謝は本物だ。これでナワーブは生きて行ける。とても喜ばしい。
しかし私はどこか、恐ろしかった。
地球人が地球人に加えた痛みを知るただひとりであることよりも、ずっと恐ろしさを感じた。
「さ。傭兵。これで一緒に帰れる。」
「しかしトゥルース、私はやはり地球に居たい。地球人は知的生命体としてはまだ幼い。私は私が好きに成った地球のことが心配だ。これから育って行く地球を、地球にとどまってナワーブと共に守りたい。」
「傭兵、それは出来ない。貴方はやはり地球に干渉し過ぎた。これ以上はいけない。それに、貴方がずっと共にあったのだ、ナワーブも貴方の気持ちを分かってくれる。貴方が居なくとも、貴方が地球を守ってくれなくとも、その思いを分かってくれる。」
「あゝ、ナワーブ
……
。
……
トゥルース、そうだな。」
私は自分の心を削り取るようにして、今、今この時だけ全てに恐れないよう努めた。
「行こう、トゥルース。」
光の国の、不思議な音が鳴った。
くたくたに成りながら今日も異次元空間らしいお茶会から帰還した。お茶もお菓子も、異星人が選んだり、たまに手作りしているらしいのだが、そうとは思えない程美味しい地球の美味を堪能出来る。それでもあの来訪者ひとり居ない分、わたしだけで彼女の相手をしなければ成らないというのは、殺人よりも重労働である。何せ地球人である自分では、例えか弱い女性に見える異星人ひとりでも、彼女に一切手出し出来ないので。
「よぉ。最近は大人しく地球の法に従ってるか?」
「おやおまえ。少し久々じゃありませんか?わたしひとりだけではマリーさんのお相手はとても務まらないんですからね?」
すっかり地球に馴染んだ様子の光の来訪者は、しかし相変わらず神出鬼没だ。
それでもこの男は神でも鬼でも無いだろう。表現に乏しくも心を持ち、手を握れば温かく、地球人のように、わたしのように、生きて居るのだ。
「ずっと聞きたかったことが有る。」
「あら改まって。なんでしょう?」
「名前は?」
はた、と気付く。そう言えば。
「ジャックです。」
「ジャック
……
」
どうしてだか来訪者は驚いた表情をした。
そして次には笑い出した。
初めて見る顔で。まるで地球人みたい。
「いや、すまない。」
顔を上げた来訪者は言った。
「故郷に、同じ名前の者が居てな。」
「おや、そうなのですか。」
それはそれとして。
「それでは、今度はおまえの名前をお訊ねしましょうか、光の来訪者。勿論、ナワーブじゃない方の、ね?」
「ああ。私は、」
光の国。
正にそう言われるが相応しい星。否、そう言う他に無い星。
「光の星はどう?」
案内のトゥルースが言う。
「ああ、懐かしいな。」
ゆっくりと答える。
ところが。
「違うでしょう?」
「え?」
光の星の使者、庭師のトゥルースが、真っ直ぐこちらを見詰めて来る。
「貴方がこの星に来るのは初めての筈。地球人、ナワーブ・サベダー。」
「
……
バレたか。」
ようこそ、なんて他人行儀に言われてしまった。
「何故このような選択を?故郷を、自分の居場所を譲ってしまったようなものでは?」
「そんなこと無いさ。」
おれは一度目を閉じて、故郷、地球の風景を思い描く。
そして目を開け、初めて目にする光の星、あのひとの故郷を改めて見る。
「あのひとがおれの故郷を好きに成ってくれた。だったら、おれもあのひとの故郷を好きに成れるさ。」
それに、と続けて、あのひとの同郷と向き合う。
「あんたがあのひとに言ってくれてたじゃないか。あのひとと共に有ったおれなら、あのひとの気持ちを汲み取れる、って。おれはあのひとが望んだ強さに応えただけだ。それは誰にも奪えない。」
庭師は驚いたようだった。
そして微かに笑って。
「地球の物語は、まだ、始まったばかりだものね。」
地球の有る方向を、見守るように見た。
「地球を守りたい心は、一緒だ。」
もし今後、地球人が知らない間に、地球人が想像も出来ないような威力の、宇宙恐竜なる兵器が地球に向けられることに成っても、未来のことは分からない、いつだって初めましてだ。リッパーに遭うことに成っても、言ってやれば良い、君は誰だ?って。おれがあの時、巨木ノ森湖で、凶器を構えたあの男に、誰だ?って聞いてみたかったように。
読まなくても大丈夫な補足
原作(テレビ)ウルトラマン第一話では、凶悪な怪獣であるベムラーを、処刑するために光の国まで護送していた、後に地球でウルトラマンと呼ばれることに成る異星人が、ベムラーに逃走されてしまう。そしてベムラーは地球の竜ヶ森湖に逃げ込む。それを追撃する中、ウルトラマンは地球の科学特捜隊のハヤタ隊員がパトロールのため操縦して居た飛行機と激突し、ハヤタ隊員を瀕死に追いやってしまう。それを悔いたウルトラマンはハヤタ隊員と融合し、一心同体と成ることで、ハヤタ隊員の一命を取り留める。その後ベムラーを倒すが、ハヤタ隊員と離れることは彼の死に繋がり、ハヤタ隊員は科学特捜隊員として地球の平和を守ることを望んで居たため、ウルトラマンはそれに助力することと成る
…
。
その後出版された本かなんかで「ウルトラマンは同僚のクロードと言う光の戦士と共にベムラーを護送して居たのだが、凶悪なベムラーは逃走の際、クロードを殺害した」らしい。
ウルトラマンが宇宙警備隊員でありながら宇宙大学教授なのは公式(の筈)。
ウルトラマン達が念力を使えるのは公式。
ウルトラマンが敵を攻撃して痛がるシーンは、実際にテレビ撮影の際、シーンのニセウルトラマンの目の部分をチョップした時、ナカノヒトは指を骨折して居る
…
。目の部分のパーツは痛いんだよ
…
。
一応ヒュドラのカプセルはベーターカプセルのことです。
エマは原作ゾフィーの立ち位置のようであり、ウルトラマンコスモスにて登場したウルトラマンジャスティスのことも思い出しながら書きました。
—————————————————————
いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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