「今日はどうする? どこか行きたい所は無いのか?」
「さて
……」
普段忙しく飛び回っている男は珍しく長屋に居座り、ぼんやりと猫を撫でていた。自分以外に来客も無く、これ幸いと男の隣りにそっと腰を落ち着ける。気持ち僅かに肩を寄せると、男の方も猫を驚かせないよう静かに身体を傾けてきた。
「
……出かけないと駄目だろうか」
「ん? 別にそういうわけじゃないが」
「そうか。なら
……」
もう少しこのままで、と言って先程よりも更に身を預けてきた男に、寸の間気を取られる。
甘える仕草を滅多に見せない情人の姿に気を良くし、男の望むまま、飽いた猫が膝から退くまでしばらく身を寄せ合っていた。
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