三毛田
2024-11-21 22:01:09
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18 018. 正反対なふたり

18日目 正反対でも、悪いことばかりじゃない

「穹って、丹恒と正反対だよね」
「どういう意味で?」
「穹は騒がしいけど、丹恒は物静かで博識」
「それって、俺が頭悪いみたいじゃん」
 なのの言い方が気に食わなくて、思わず捨てた声が出た。
「自分の欲求を満たすために、アーカイブの管理してる人間だよ?」
「そこは比べちゃ駄目だろ」
「それに、アンタは甘い物大好きだけど、丹恒はそうでもない」
「それはそう」
 俺となのがパム手作りのおやつを次から次へと食べているのを、呆れた顔で一つだけ食べながら見ているのは、いつものこと。
「丹恒の手は冷たいけど、穹の手は温かい」
「なるほど。で? いつ、丹恒の手に触れたの?」
「迷子になりかけたときに、手を引いてもらっただけだから! 圧かけないで!!」
 ここ数日は、まともな会話すらしていない俺の知らぬところで触れ合っていたのか? なんて考えたら暴走しかけた。
 危ない危ない。
「穹って、丹恒が絡むと見境なくなるよね。お願いだから、外でそういうことしないでよ。連れだと思われたくない」
「我慢するようにはしてるって。でも、丹恒って美人だろう? 一人にすると、たまに逆ナンされてるんだよな」
「あ?……顔はいいもんね」
「顔〝も〟いいんだよ」
「はいはい。惚気、惚気」
 何でみんなちゃんと最後まで聞いてくれないかな。
 姫子もヴェルトもパムも。
 途中で聞いてくれなくなる。
『仲が良いのはよいことじゃ。ただし、こういう皆が集まる場所で風紀を乱すような行為は禁止じゃ!』
 ときつめに言われたが、風紀を乱すような行為ってなんだろうか。
 その場で丹恒に訊いてみたが、苦い顔をされただけだった。
「まあいいや。丹恒のところ行ってくる」
「冷たくあしらわれても、慰めないから」
「いいよ。そんなことないから」
 むすっとしながら、資料室へ。
「穹です。入っていいですか~」
「開いている」
 扉越しでくぐもった声だが、入出を許可されたので入る。
「丹恒、調子はどう?」
「今日はいい方だ。一応、日常生活を送るには支障はないくらいには回復している」
「そっか」
「だが、俺は列車の護衛なのに、これでは仕事にならない」
「まずは回復することが大事だから」
……そうだな」
「一緒にいられる間は、俺が傍に居るから」
「それも悪くないな」
 と、嬉しそうに笑って。
「丹恒、抱きしめていいか?」
「今か? まあ、悪くないが」
 そっと抱きしめると、抱きしめ返してくれた。
 好きが溢れて止まらない。でも、負担にならないようにしなくちゃいけない。