Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
あさかわ
2024-11-21 15:33:01
14311文字
Public
粉砕鬼水シリーズ
Clear cache
愛の形に名を付ける
いいふうふの日の粉砕鬼水です。週ドロにも参加しました。
「水木様ですね」
「鬼太郎様の婿様ですね」
幼い子供が二人水木の前に立ちふさがる。仕事帰りスーパーに寄ろうかと考えていた水木は足を止めた。背後からふさふさの尻尾が出ており、大きな耳に顔が毛むくじゃらで犬のようだ。二本足で立ち、着物を着ているが殆ど犬と変わらない姿で、どこかの妖怪だと分かる。
「当主様よりお手紙を預かってまいりました。お目通し願います」
小さな手が茶封筒を差し出す。
「俺は確かに水木だが、君たちの言う当主様と面識はないぞ」
「お目通し願います」
有無を言わさず封筒を押し付けられる。水木は仕方なく通勤鞄を置いて封筒から手紙を取り出した。書面の文字は楷書体で読むのに苦労はなさそうだ。
手紙を読み進め、水木はため息をついた。見上げる二匹の首には可愛らしい鈴が付いている。
「なあ
……
君たちお使いは初めてかい?」
「はい、当主様から初めて役目を与えられました」
「
……
ご両親はこの手紙に書いてある森にいるのかな?」
「はい、父母は山で待っています。よくよく励むようにと」
水木は手紙を封筒にしまって髪を掻いた。
手紙の内容はこうだ。狼の一族の森を人間が切り開こうとしている。止める為に水木の力を借りたい。そこまではいいのだ。蛇の道は蛇。人間の交渉は人間。そういった考えで鬼太郎の連れ合いである水木の力を借りたいという妖怪はいる。問題はこの後だ。鬼太郎には何も言わず黙って付いてきて欲しい。断った際は、使いの子狼の首が鈴の紐で引きちぎれる。明確な脅しに眉が寄る。
「必ず水木様を森までご案内するようにと言われております」
子供が首を傾けると、ちりんと鈴が鳴った。この手紙の真偽は分からない。ただ、ここで断って子供の首がねじ切れるのを黙って見過ごす訳にもいかない。水木に選択肢などないのだ。
「仕方ない
……
君たちに着いて行こう」
水木の言葉に子供たちがぱっと笑顔をみせた。
「こちらです、ナギがご案内します」
「さあ手を取って。ツユがご案内します」
水木は通勤鞄を持ち直し、ネクタイを締め直して子供たちに手を引かれて歩き出す。歩きなれた角を曲がると、平衡感覚が失われ腕を引かれた方に一歩進むと薄暗い森の中に立っていた。
「
……
こりゃすごいな」
一瞬の出来事でここがどこなのかさっぱり分からない。ゲゲゲの森と布多天神社が繋がっているのと同じ仕組みだろうか。
「こちらです、水木様」
「当主様がお待ちです」
子供たちが誇らしげな目で水木を見上げてくる。水木はため息を飲み込んで後に従った。
ツユとナギという子供に案内されて辿り着いた先には板葺の屋敷があった。母屋にいくつか離れがあり渡り廊下でくっ付いている。
水木が中庭に案内されると、そこには大人が三人待っていた。
「よく参られた水木殿。あたしはアサヒという。手紙に書いた一族を統べるものだ」
一人は老婆。しゃがれた声だがよく通り、白と銀の毛並みが西日を受けて輝いている。男物の着物姿で凛と立つ姿は雰囲気があるが、右の腕のふくらみが異様に少ない。
「当主様! ナギがご案内しました」
「御婆様! ツユがご案内しました」
子供たちが尻尾を振って老婆の方に駆けていく。老婆は片膝をついて左の手で子供の頭を撫でた。
「使いご苦労。父様と母様の元におかえり」
子供は頷くと履物を脱いで中へ入る。地面に紅葉のように散らばった草履は大人の手のひらほどのかわいらしい大きさだ。
「ただいま戻りました!」
「お役目を果たしました!」
老婆の後ろに控えていた男女の元に子供が飛び込んでいく。あれがナギとツユの両親だろう。子供たちを抱きかかえ何度も背中をさすっている。
「水木殿、急なことで驚いただろう」
「ええ、本当に驚きました。あんな手紙を貰うことは滅多にありませんから」
水木は子供が散らした草履を揃えながら答えた。
「こちらとしても荒事は避けたがったが、どうしても鬼太郎殿抜きで話がしたかったのでな」
鬼太郎に聞かれたくない話ということは、十中八九面倒ごとだ。水木は眉間を揉んで老婆を見上げた。
「それで、僕にお話しとは何でしょう。用件を済ませてさっさと家に帰りたいのです」
「そう急くな。一つ目は手紙の通りこの森を切り開こうとする人間を追い返す知恵を借りたい。もう一つはわが一族の嫁御料になって欲しいのだ」
「
……
は?」
水木がぽかんと口を開けるとアサヒが楽し気に笑った。
「昔、一族を統べていたのはあたしの夫だった。しかし人間どもに罠に嵌められ殺されてしまった。奴らが我が夫の肉体を切り裂き皮を剥ぎ敷物にした屈辱は決して忘れられるものではない」
水木はじっとアサヒの様子を伺う。彼女の目の奥に消えない怨嗟が見え隠れしている。
「それ以来、報復としてこの森に入る人間共を屠ってきた
……
まあ、手痛い仕返しも受け、腕をなくしたりもしたが、どうにか一族と森を守って生きてきた。しかし、この度の人間は面妖な鉄のからくりで森を切り開こうとする。一族の力だけでは退けられない」
アサヒが左手で右の袖を掴んだ。布地の下には腕がなく、彼女の言葉の通りなら人間に切り落とされたのだろう。
「鬼太郎殿が人間を婿にしたと聞き、知恵を借りる相手に当たりをつけた」
「それが僕ですか。その事情なら鬼太郎や目玉に話を通してくれれば十分でしょう」
「言っただろう。あたしは人間を恨んでいるのさ。奴らは息をするように騙してくる。例え妖怪側につく人間でも信用ならない」
アサヒが懐から巻物を出してくる。
「水木殿、あんたが妖怪を裏切らないというのなら、森に立ち入る人間を追い返す間うちの嫁御料になっとくれ。この紙に一族の者と婚姻を結ぶと書くだけでいいんだ。あたしたちは人間を恨んでいる。しかし、一度懐に入れた者は決して見捨てたりしない。これはお互いを守るための誓いなんだよ」
「僕は鬼太郎の連れ合いです。他の誰かと重婚というのは憚られる」
「それは人間の理だろう。大体、人間は妖怪と連れ合うことなど認めちゃいない。あんたが鬼太郎の婿だというのはみんな知っている。しかし、嫁の枠は空いているじゃないか。その言葉はまだあんたを縛っちゃいない」
空くも何も水木は男なので嫁にはならない。しかし、アサヒが言う嫁は単純に誰かを縛る言霊のことだろう。妖怪の理に詳しいのは目玉だが、ここに呼ぶことは出来なさそうだ。
「
……
断ると言ったら」
「一晩時間をやろう。そうすれば頭も冷えて物わかりも良くなるさ」
アサヒがちらりと奥の家族を見る。父と母と子供が二人。抱き合ってじっとこちらを見ていた。
「あれはあたしの長男のシグレと嫁のアラレ。それに双子の孫だ。可愛いだろう。難産だったがアラレがよく頑張ってくれてね
……
ここまで大きくなったのさ」
子供たちの首に掛かる金と銀の鈴。アサヒは自分の首元から金銀二つの南京錠を取り出した。
「この錠をこじ開けようとすればどうなるか
……
察しが悪い方ではないだろう」
「あんた、孫の首を吹き飛ばす気か」
水木が小声で問いかけるとアサヒがにっと牙をみせた。ただの脅しという訳ではなさそうだ。
「何を犠牲にしてでも守り切る覚悟があるってことだよ。そうそう、水木殿には次男を差し上げよう」
「いりません」
「つっぱねるな。無下には扱わないという証だよ。当主の直系を差し出す気概はあるということさ
……
ロウゲツ、ここへ」
するりと襖が開いて、黒い毛並みの狼が姿を現した。水木と目を合わせると深々と頭を下げる。
「お初にお目にかかります。アサヒの子、ロウゲツと申します」
「これはどうもご丁寧に」
「ロウゲツ、水木殿を離れに案内しなさい。もう日も暮れる。今夜は我が家でもてなそう。シグレとアラレは準備を」
「はい、当主様」
水木は反論を飲み込んで周囲を見回す。長男だという狼の夫婦はじっとこちらを見ていて、次男の方は頭を下げたまま。当主の命は絶対なのだろう。誰もアサヒの決定に異を唱えるものはいない。
「今日は良い猪が取れたのだ。鍋にしてお出ししよう」
「そりゃ
……
楽しみですね」
やけくそ気味に返すとアサヒが踵を返す。巻物を緩く振って水木を振り返る姿は獲物を狙う狼そのものだ。
「では、明日答えを聞こう」
アサヒが部屋を出て行き、長男家族はそれに付き従う。
「水木殿、ご案内いたします」
ようやく顔を上げた次男、ロウゲツはじっとこちらを見ている。水木はスーツのポケットから煙草を取り出した。
「なあ、ロウゲツさん。ここ禁煙じゃないよな」
「は、はい」
「歩き煙草が禁止とか決まりはあるか」
「ございません」
「んじゃあ、景気付けに一服させて貰おうか」
安物のライターで火を付けて深々と煙を吸った。ふっと吐き出すとロウゲツがぴくりと動く。狼の鼻に煙草の匂いはきつすぎるのだろう。しかし、一方的に決められてこちらも腹が立っているのだ。
「案内してくれ。今夜は世話になる」
「はい、こちらへ」
ロウゲツが立ち上がり水木を手招きする。紫煙を立ち昇らせながら水木は後を追った。
「あの老獪ババアめ」
思わず漏れた悪態に外で待つ人影がびくりと揺れた。水木はいら立ちまぎれに浴衣をひっつかんで袖を通す。全裸で歩き回る趣味はないし、言いがかりをつけられるつもりもない。
お疲れでしょう先ずは湯につかって体をほぐしては、などと勧められて水木に断る権利はない。周りは深い森で日が落ちた暗闇を人間の足で逃げたところで捕まるだけだ。水木は仕方なしに通された離れに鞄を置いて広い浴場を借りることになった。タオルなどは好きに使ってくれといって服を脱いで入っているうちに、着ていたスーツは一式取り上げられ代わりに置かれていたのは浴衣と羽織。渋々羽織れば温泉宿の客と同じ姿になる。湯治の客と違うのは服と時計などの身の回りのものを一式取り上げられたところだ。鬼太郎から貰って身に付けていたお守りも見当たらない。水木は乾いた手拭いを一つ肩にかけて廊下に出ると、ロウゲツが深く頭を下げる。
「なあロウゲツさん。俺の服は?」
「女中が預かっております。ブラシをかけてお戻しすると言っておりました」
水木は腕を組んで黒々とした毛並みを睨みつけた。
「
……
はっ、どうせ俺が紙に名前を書くまで戻す気なんてねえんだろ。煙草も時計も全部取り上げるとは、あんたの母さんはいい趣味してるな」
「
……
母は人間を恨み疑っております。どうかご容赦ください」
これ以上ロウゲツに当たっても意味がないだろう。右腕を切り落とされてもアサヒはこの森を人間に渡すつもりはない。女傑という言葉が良く似合う。
「なあ、アサヒさんは旦那さんと仲が良かったのか」
「狼の一族は一度結びついた番を深く愛します。母が父に捧げた愛は天よりも高く海よりも深い。父もまた母を宝玉のように愛し慈しんでおりました。それ故に憎しみと恨みは激しく強い。母は父の森を守るためなら何でもするでしょう。お部屋にご案内します。こちらへ」
ロウゲツが水木に手を差し出す。水木は断りの言葉を口にする代わりに両手を組んで躱した。
「それこそ、自分の息子を憎む人間と結びつけることも厭わないと
……
困ったもんだな」
ロウゲツが苦笑いして水木の先を歩き出す。風呂上がりに煙草が欲しくなったが、浴衣の袖には何も入っていない。
「さっきの話だと、たった一人を番にするんだろう。あんた、父親殺しの同族を娶れと言われて従ってしまっていいのか。これから先、素晴らしい伴侶と出会えるかもしれない機会を棒に振ることになるぞ」
「私には父との約束があるのです。跡取りであれば兄と甥姪がおりますから一族は安泰です」
少しの間見ただけだが、長男のシグレ一家はとても仲の良い様子だった。夫が妻を慈しみ、妻が夫を愛す。子供たちは愛情を一心に受けて育ち両親を心から信頼する。
一族を率いるアサヒもかつて夫と息子と暮らしながらその幸福な日々を過ごしたのだろうか。渡り廊下の淵まで夜の闇が迫っている。廊下に吊り下げられた吊り行燈の光が規則正しく並んで、ちろりちろりと影を揺らめかせる。
「親孝行なのはいいが、もう少し自分を大切にした方がいいぞ」
くすくすと笑い声が聞こえてくる。
「私の心配よりご自身の心配をなさってください。夫婦の契りはあくまで書面だけのこと。人間は多情な生き物だ。少しばかり余所見をしても許されるのでしょう。それこそ犬にかまれたと思ってやり過ごせばよろしい」
「あのな、俺は鬼太郎の連れ合いだ。仮初だろうと形ばかりだろうと他に誰かとどうにかなるつもりはない。狼より多情な輩が多いのは真実だが、一まとめにされては困る」
「失礼しました。さあ、鍋の準備ができているようですよ」
ロウゲツが離れの障子を開けると座卓の上に鍋の用意ができていた。女中が頭を下げ二人を迎える。ざるの上にはキノコや野菜が並べられ、経木を敷いた上には脂ののった猪肉が薄く切って並べてある。
「へえ、醤油仕立てか」
「酒をたっぷり入れて仕込むのですよ。煮込むのはこちらでしても構いませんか」
「俺は鍋奉行のきらいはないんでね。任せるよ」
ロウゲツが手をたたくと控えていた女中が鍋の準備を始めた。手早く無駄のない動きを眺めながら水木は座布団に胡坐をかく。
「よろしければ召し上がりませんか」
向かいにロウゲツが座り徳利を進めてくる。水木は手元の猪口を指でいじって返した。
「働いている人がいる中で飲むのははばかられる。後で頂こう」
「左様ですか」
水木は頬杖をついて鍋の塩梅を眺めた。火の通りが遅いものから先に入れられたが、野菜が肉に比べてぐっと少ない気がする。妖怪でもやはり狼は肉が主食なのだろうか。そんなことをつらつら考えている内に鍋が仕上がり、女中が頭を下げて出て行った。
「どうぞ、召し上がってください。お酒も注ぎましょう」
「ロウゲツさんは呑まないのかい?」
「私は下戸でして。客人の前で酔いつぶれてはいけませんから」
水木は猪口を差し出した。ロウゲツがそっと徳利を傾けて酒を注ぐ。ほんのり立ち昇る香りは赤く熟したリンゴのように甘く爽やかだ。ロウゲツがじっと真剣な顔でこちらを見ていた。母親のアサヒと違って息子の方は顔に出やすい性質らしい。
「相手がいるのに一人酒とは寂しいな
……
鍋の方は一緒に食ってくれるんだろ」
水木が問えばロウゲツが小皿を手に取って答えた。水木と自分の分を取り分けると両手を合わせて猪肉に口を付ける。
「肉はいつもより薄く切ってあります。人間でもかみ切れると思うのですが
……
分厚かったですか?」
「いんや、丁度いい。しかし牡丹鍋は久しぶりだな。人間の社会では豚が主だし、鬼太郎に世話になった妖怪が一頭丸々送ってくれた時以来か」
ありがたいことに血抜きは済んでいた。目玉の親父にあれこれ指示を受けながら鬼太郎がせっせと肉を切り分けていた。当然三人では食べきれないので、ゲゲゲの森の妖怪達に声をかけてみんなで味噌仕立ての鍋にしたのだ。ロウゲツは無言で肉を咀嚼している。ちらちらと水木の猪口を確認しては何とも言えない表情をし、肉の味はそっちのけのようだ。
「なあ、この酒
……
眠り薬でも混ぜてあるんだろう」
水木が猪口を手に取る。ロウゲツの耳がぴくりと揺れた。
「あんた、顔に出やすいな。アサヒさんを見習って腹芸を覚えた方がいいぜ。人を騙すのに向いてない」
「よく言われます」
ロウゲツが耳を伏せた。水木は猪口に口を付け、一気に酒を煽る。カツンと小気味の良い音を立てて猪口を置くと、ロウゲツがこちらを凝視していた。
「
……
承知の上で飲まれると?」
水木は目をすがめてロウゲツから徳利を取り上げた。手酌で注ぎ更にもう一杯。その様にロウゲツが口を開け、舌を出して荒く息をする。
「人間は飲まず食わずじゃ長くはもたない。森に逃げてもすぐに捕まる。変にごねて強硬手段に出られても困る。だったら出てくるものを正直に食って少しでも長らえる方がいいに決まっているだろ。どうせあれだろ? 寝所を一晩共にすれば誓いがなるとかそんなところだろ?」
別に枕を交わす必要はないのかもしれない。平安貴族が三日通えば婚姻が成ったように、夫婦であるという誓いがあれば契約は成るのだろう。
「そこまで承知の上ですか。本当に、豪胆なお人だ」
「俺にはとっておきの秘策があるからな」
水木は空になった猪口を座卓に置いて胡坐を崩した。両足を伸ばして酒で焼けた喉元を緩める。
「俺の身体には鬼太郎の守りがある。無体を強いるのは辞めた方がいいぞ。明日の朝、死体になって寝所に転がりたいってんなら別だが」
片膝を立てて首元を仰いでいると、じんわりと眠気がやって来た。水木はくわりとあくびをして瞼を擦る。
「俺のことは諦めろ」
「私が死んでも契約を成らせるつもりだったらどうします。兄夫婦がいれば私はどうなっても構わない。一族を守るためならどんなことでもするつもりでここにいます」
「そっちが折れないなら、こっちも穏便に済ませられないな
……
狼のような牙もないし胆力もない。組み敷かれたら逃れることは出来ないだろう。だが、やられたからには黙っちゃいない」
水木はこらえきれない睡魔に座卓に突っ伏しそうになる。どうにか堪えてぐっと腕に力を入れてロウゲツを睨みつけた。
「俺の全部を使って復讐してやるから覚悟しやがれ。人間が持つ力の全て、人間に出来る全てのやり方で、殺してくれと縋るほどお前も一族も全員すり潰してやろうなあ。ふはっ、狼狩りだ」
笑い出した水木の向こうでロウゲツが喉を震わせている。しかし、これ以上眠気に耐えられそうにない。水木はまだ身体が動くうちにと膝を立てたが、立って歩くのは難しそうだ。
「じゃ、おやすみ。犬っころは尻尾まいてとっとと帰んな」
水木はあくびをして四つん這いでふらふらと隣の部屋に移動した。襖を開けて布団に寝転がると目を閉じる。後はどうなるか、明日になれば分かることだと意識を落とした。
ロウゲツが動けずにいる間に、隣の部屋から寝息が聞こえてきた。眠り薬はよく効いている。ロウゲツが寝室を覗くと水木が横向きのまま布団の縁で寝入っている。
「恐ろしい人だ」
幽霊族を拾って育てたという人間だ。ただ者ではないだろうと思ったが、想像よりずっと人間の良さも悪さも合わせ持っているようだ。ロウゲツは水木にそっと毛布を掛けてやった。それ以上は何もせず女中を呼んで食器を片付けさせた。
「明日まで起こさぬように
……
水木殿には鬼太郎の守りがある。誰も部屋に立ち入ってはならぬぞ」
女中は青白い顔で何度も頷いた。ロウゲツは離れを出てアサヒの部屋に向かう。
「ロウゲツ、水木はどうした」
ロウゲツはアサヒの前で片膝を付いた。
「鬼太郎殿の守りがあり寝所には入れません」
「ちっ
……
やはり一筋縄ではいかぬか」
「母上、嫁の縛りは諦めた方がよろしいのではないですか」
「馬鹿を言うな。鬼太郎の婿をこちらで縛ることが出来ればどれほど使い道があるか。あたしはぬらりひょんに頭を下げる気はない。あいつの手を借りれば、どんなことを強いられるか分かったものではないからね」
人間に森が拓かれ始めた時、ぬらりひょんが声をかけてきたのだ。自分であれば人間を退ける術がある。その提案をアサヒは突っぱねた。ぬらりひょんが妖怪の復権の為に働いているのは彼女も知るところであり、犠牲を厭わぬ思想に一族と共に殉じるつもりはなかった。
アサヒもロウゲツもこの森と一族さえ守れればいいのだ。人間の打倒も共存も好きにすればいい。
「水木を嫁として縛ることが出来ればぬらりひょんを黙らせることも出来るだろう。鬼太郎だって番の命が掛かってると分かれば大人しくするはずさ。森を守り、ぬらりひょんにも鬼太郎にも決して手出しはさせない」
ぬらりひょんと鬼太郎は敵対関係にある。力の強い両者に横槍を入れられぬためにアサヒは賭けに出た。ぬらりひょんには鬼太郎の婿を狼の嫁として縛ったと伝えて言うことを聞かせ、鬼太郎には人質としてちらつかせることで黙らせる。危ない橋を渡ることになるが、策が成れば狼の一族は平穏を手に入れることが出来る。
「水木にはどんな手を使っても嫁御料に成って貰おうじゃないか。卑怯は人間の得意とするところだが、一人きりでは手も出まい」
「母上、やはり危なすぎるのではないですか」
「ロウゲツ、これはあたしの覚悟なんだよ」
ロウゲツの前でアサヒの目が煌々と輝く。まだ父が生きていた頃、ロウゲツは兄のシグレと共によく森を走り回った。母は昔から勝気で番や家族を馬鹿にするものには容赦なく牙を振るった。
『ロウゲツ、父と一つ約束をしておくれ。あの苛烈で美しく誰よりも優しい母を守っておくれ』
貉の尻を蹴り上げ追い払う母を父は目を細めうっとりと眺めていた。
アサヒがロウゲツを金色の瞳で見下ろす。
「この森はあたしの番の最後の形見。妖怪も人間も決して手出しは許さない」
「心得ております」
「水木には明日の朝に了承をさせる。お前は水木を見張っているんだ」
「はい」
ロウゲツは母に頭を下げて辞した。渡り廊下を歩きながら、夜の月を眺める。一族の誰かが丘へ駆け上がり、愛しい番に向けて遠吠えするのが見えた。
空がひび割れるのを一匹の狼が見ていた。
「はっ?」
朝の日課の為に持っていた箒を取り落としそうになる。先ほどまで当主の家に通ずる山道を鼻歌交じりに掃き清めていたのだ。アサヒが率いる狼の一族は森の中心に住処を構えている。当主が張った結界の中は居心地がよく敵の侵入を妨げる安息の地である。その大切な土地が何者かに襲われている。
「え
……
?」
一度、二度、鈍い音が続いて亀裂が広がっていくのを見た。結界が破られようとしている。他の仲間が目を見開き鋭く叫ぶ。
「侵入者だ! アサヒ様に報告を! 疾く伝えよ!」
その言葉に狼が箒を投げ出し疾駆する。他の仲間たちが結界のひびに駆け寄っていく。牙をむき出しに唸り声をあげる中、一際大きな音と共に結界に穴が空いたのが見えた。
入り込んできたのは人間の子供ほどの大きさの鬼だった。全身に妖気を漲らせ石畳に着地するとふらりと身体を揺らす。
「貴様っ! ここは我ら狼一族の土地だぞ! それを知ってのことか」
一匹が爪を構えて問いかける。
「
……
ここに水木がいるだろう。昨日あの人が書き置きも残さず姿を消した。気配を辿ってここまでくれば、結界で囲っているじゃないか。穏やかじゃないな」
「お前
……
鬼太郎だな。水木殿は客人として当主様がお招きしたのだ」
ぎょろりとした目が狼たちを見渡す。
「ならどうして、僕が渡したお守りをあの人が持っていないんだ。お前たちが奪ったのか?」
水木に助けを呼ばれぬよう、身ぐるみを全て剥がしたのが裏目に出たらしい。何をどうしたのか分からないが鬼太郎には水木の場所が分かるのだ。
「水木を
……
あの人を害したな。意志を奪って踏みにじったな」
下駄がザリザリと石畳を引っ掻く音がする。膨らみあがった怒気と妖気があふれ出て、狼たちが息を飲んだ。
「ひっ」
「返せ」
冷たく言い放ち鬼太郎がちゃんちゃんこを拳に巻き付けた。
「水木殿、起きて下さい水木殿!」
布団を引っ張られ水木の身体が畳に落ちる。変な方向に身体が転がって強かに額をぶつけて目が覚める。
「いって! おい、乱暴な起こし方をするなよ
……
」
額をさすりながら起き上がる。切迫した様子のロウゲツが水木に通勤鞄を押し付けた。
「寝ぼけるのは後にしてください。この森を守る結界が破られました。おそらく鬼太郎殿です」
「鬼太郎が?」
ちらりと外を確認すると日が昇っている。どうやら朝になってすぐに殴り込んできたらしい。
「連れ合いを攫われて怒り狂わぬ道理はありますまい。手荷物は鞄にまとめました。離れの裏に小さな道があります。右に折れてまっすぐ進めば鬼太郎殿がいる山道の方に出られますから」
ロウゲツが顎をしゃくって道を示す。
「逃がしてくれるのか?」
「あなたの為ではありません。母のためです。鬼太郎殿と対峙すれば母の命が危ない。さあ、早く!」
ロウゲツが促す先には一人分の雪駄があった。水木は睡魔を振り払い、鞄を持って雪駄をつっかけた。山道に走り出すと寝起きでぼんやりした思考が立ち直って、向かう先から争う声と打撃音、何かが爆ぜるような匂いがするのに気が付いた。
「派手にやってんなあ」
水木は一度足を止めて浴衣の帯を締め直した。鞄の中には時計やお守り、煙草は入っているが、革靴やスーツは見当たらない。緊急事態にロウゲツがかき集めたのだろう。服をもう一度揃えるとなるとそれなりの値段が掛かる。水木はため息を吐いて鬼太郎のいる方に向かった。
鬼太郎襲来の知らせを受けたアサヒは奥歯を噛みしめた。水木が身に付けていたものは全て取り上げたつもりだが、気配を探る何かを仕込まれていたらしい。
「母上!」
「鬼太郎め、思ったより早いじゃないか。ロウゲツ、水木をここへ連れてくるんだ。鬼太郎との交渉の材料にする」
己の番の命がかかっていると知れば大人しくなるだろう。必死に考えを巡らせるアサヒに向かってロウゲツが首を振った。
「いいえ、水木はおりませぬ」
「
……
まさかロウゲツ。お前、水木を逃がしたのか」
ロウゲツは黙った。今頃水木は裏道を抜けて、鬼太郎の所へ向かっているはずだ。アサヒが目を見開き牙をむき出しにする。
「母の無念を知らぬ訳ではあるまい! 残った左腕が飛ぼうとも首をねじ切られようともこのアサヒは決して諦めぬ。愛しき番の最後の形見を踏みにじるものは何であっても許さぬと知っていて、母を裏切るのか!」
「父上との約束です」
「なに
……
?」
「母上はその深い愛情ゆえに身を滅ぼす献身さえ辞さぬだろうと。そうなった時は母を止めると父と約束をしたのです。もしも鬼太郎殿と敵対すれば母上は殺されてしまう。ロウゲツは父との約束を守ります」
「っ
……
この!」
アサヒは息子を打ち据えようと左手を振り上げた。ロウゲツは首をだらりと下げてどのような罰でも受けようとしている。柔らかな黒の毛並み。アサヒが唯一と定めた一匹と同じ色に目尻から涙がこぼれ落ちた。
「
……
もうよい。元より無理があるのは承知の上だ。この一件の始末を付けよう」
ロウゲツはそっとアサヒを見上げる。涙を拭う姿は一族の当主ではなく、父が健在であった頃の凛とした中に新緑の柔らかさを見せる母その人であった。
「鬼太郎殿にはあたしが話を付ける。万が一に備えてロウゲツ、お前はシグレたちを連れてここを逃げなさい」
「いいえ、それはできません。兄上、姉上お願いします!」
「っ! 何を」
襖の向こうに隠れていたシグレとアラレがアサヒにとびかかる。上半身と下半身に分かれて床に押し倒して動かぬよう固定する。
「シグレ、アラレ! 一体何をするんだ」
「義母上様を失う訳には参りません。ナギとツユと一緒に逃げて頂きます」
「戯言を!」
「戯言は母上の方です。この森を失ったら我らは行き場を失うのですよ。何が何でも生き抜いて人間を見下さずには気が済まない。お前たちに壊せるような脆い絆ではないと高らかに笑ってやるまで諦めません」
もがくアサヒを兄夫婦が引きずっていく。兄のシグレがロウゲツを見た。
「ロウゲツ、後を頼む」
「任せてください」
ロウゲツは襟元をぴんと張り母屋を出た。ぺろりと鼻を舐め、震える尻尾を叩いて胸をはる。そうして土埃が舞う方角に足を向けた。
狼たちが地に伏している。ある者はぐったりと倒れ込み、ある者は仰向けにひっくり返っている。意識がある狼たちは尻尾を股に挟んでブルブルと震えている。
山道の真ん中に鬼太郎が立っていた。ちゃんちゃんこを右手に巻きつけ、両足を緩く開いて立っている姿が阿修羅のようだ。あれは相当頭にきている。水木は森の木々をかき分けて、鬼太郎の横に転がり出た。
「鬼太郎、派手にやったなあ」
「水木っ!」
途端に怒気が解け、鬼太郎がこちらを見た。先ほどまで暗く淀んでいた目が瞬き、少し潤んでみえる。ちゃんちゃんこを戻して鬼太郎が水木に駆け寄った。
「よかった
……
! 怪我はないか? 何か、何か酷いことをされなかったか」
「大丈夫だって、俺よりお前の方が酷い有様だ。髪の毛なんてぼさぼさで、足も泥だらけじゃないか」
いつもの服も泥や土で酷く汚れている。憔悴した頬に手を当てると鬼太郎がほっと息を吐いた。ここにくるまで苦労したのだろう。
「すまない。水木の気配を追ってきたのだけれど、この森は神域に近い強い守りが張ってあったんだ。それを抜けるのに手間取ってしまって」
上空を見上げるとガラスがひび割れたような穴が空いている。おそらく実力行使で突き破ってきたのだろう。それに気が付いた狼たちを蹴散らして母屋に飛び込もうとしていたようだ。
「苦労をかけた。俺は大丈夫だよ。狼の一族の家で一晩世話になって、牡丹鍋を食わせて貰った」
「本当にそれだけ?」
「
……
まあ、人間が森を切り開くのをやめさせろ。次男の嫁になれとちっとばかし脅されたが」
「
……
」
鬼太郎が無言でちゃんちゃんこを拳に巻き付ける。そのままずんずんと母屋に歩いて行こうとするのを水木は手を引いて宥めた。
「ああもう! ほらほら、その膨れ上がった殺気をどうにかしろ。みんな尻尾を股に挟んで震えているぞ」
「僕の大切な人を攫っておいて怯えるとはいい度胸だ」
キャンと甲高い声を上げて狼たちが逃げようとする。そこへ黒い毛並みの一匹が悠然と近づいてきた。ロウゲツだ。
「鬼太郎殿」
呼びかける声に鬼太郎がロウゲツを睨みつける。ロウゲツは鋭い怒気にたじろいだが、ぐっと拳を握って耐えた。
「この度は誠に申し訳ない。母は亡き夫の残した森と一族を守ろうとするあまり、あなたの伴侶に無礼をしました」
ロウゲツは石畳に膝を付いた。そのまま両手もついて、深々と頭を下げる。
「母を止められなかったのは息子である私の責任です。水木殿を攫った罪を裁くのであれば、どうか私を」
「
……
ロウゲツさん」
水木が頭を擦りつけるロウゲツに近寄ろうとすると、鬼太郎が手を引いてそれを阻む。
「あっ、おい」
「水木は下がっていてくれ」
水木が止める間もなく、鬼太郎の背後に庇われてしまう。
「水木の嫁取りを画策したのは当主だな。本人はどこにいる」
「私たちが逃がしました。この森の結界の維持は当主であるアサヒしかできません。息子である私たちは力が弱く役目を引き継げないのです。しかし、甥と姪は強い妖力をもち、いずれ一族を率いていけるでしょう」
「一族を守るためなら、自分は犠牲になっても構わないと
……
そういうことだな」
「はい。いかようにも鬼太郎殿の気が済むようになさってください」
鬼太郎がちゃんちゃんこを巻き付けた拳を振り上げた。水木が止める間もなくロウゲツに向かって強く地面を蹴る。
ドンと足元を揺らす衝撃と共にロウゲツの横の石畳が吹き飛ぶ。鬼太郎はちゃんちゃんこを戻すと水木の腕を取った。
「これで気は済んだ。僕は誰かの自由を奪ったり、意志を捻じ曲げて従わせようとすることが大嫌いだ。
……
次はない」
「肝に銘じます」
水木は頭を下げたままのロウゲツに話しかけた。
「人間がこの森を開発するのは辞めさせないといけないだろう。目玉を通してくれれば必ず協力するから
……
んん? 鬼太郎、目玉はどうした。一緒じゃないのか」
鬼太郎がぷいと顔を逸らした。
「森に置いてきました。その
……
ちょっと喧嘩してしまって」
「お前が頭に血を上らせているのを諫めようとしたんだろう。それに背いて飛び出してきたな」
「
……
水木が攫われたかもしれないのに座して待つなんてできるはずない」
「しかし、無策で飛び出すのは感心しないな」
「策はなくても勘はあった。あなたの気配が遠く深い妖怪の住まう森にあったから、助けに行かなければならないと心が叫んだんだ」
鬼太郎が水木の左の頬に手を当てる。水木は血液銀行に勤めていた頃、数日の記憶と共にの上の歯を一本無くしたことがあった。とりあえずの詰め物をしていたが、連れ合った際、鬼太郎がどこにいても水木を探せるように妖力を籠めたものに替えたのだ。お守りの他にも次善の策はあった方がいいという提案はその通りで、命拾いしたことは一度や二度ではない。
「帰ろう、水木」
鬼太郎が水木の腕を引く。ロウゲツは地面に額を擦りつけたまま、他の狼は震えながらもロウゲツに近寄り、ぐっと身を寄せ合った。
「鬼太郎殿、水木殿、温情に感謝いたします」
「牡丹鍋、うまかったぜ」
水木の言葉にロウゲツがぶるりと身を震わせる。他の狼たちはロウゲツを囲んで不安そうな目でこちらを見ている。水木が鬼太郎を小突くと、渋々と言った様子で狼たちに言った。
「気は済んだと言っただろう。報復はしない。これで終わりだ」
鬼太郎の言葉に狼たちがほっと肩の力を抜く。ある者はロウゲツに縋りつき、ある者はふらふらと母屋に走って行った。
「ロウゲツ様
……
ロウゲツ様! ああ、良かった」
ロウゲツの首に抱き着いた若い娘が涙を流している。ロウゲツがおずおずと娘の背中に手を回した。水木はその様子を眩しそうに眺めてから鬼太郎と共に結界の外に出た。
帰り道は特に迷うこともない平坦な山道だ。森を出たところで一反もめんが迎えにきてくれるらしい。
「しかし、婿がだめなら嫁とは妖怪もあれこれ考えるもんだな」
「言霊を使って相手を縛ろうとしたんだろう」
「こうなったら、片っ端から名前を付けて俺がお前のモンだと示すしかないのか?」
水木の提案に鬼太郎が眉を寄せた。どうやら簡単な話ではないようだ。
「やめておいた方がいい。沢山の言葉で縛り付けすぎると必ず弊害が出る。それに誰かが誰かを所有物にするなんて変じゃないか。想い合った二人が一緒にいるのが一番いい」
水木は自分の手を引く鬼太郎のつむじを眺めて目を細めた。
「じゃあ、変わらず鬼太郎は俺の旦那様ってことだな」
「ん
……
これからもよろしく」
鬼太郎が目を伏せて小さく頷いた。カラコロ下駄を鳴らして帰る道の途中、鬼太郎が一つ息を吸って水木を見上げた。
「本当は旦那様でも連れ合いでも、あなたの魂を送る唯一無二の最愛にしてくれるのなら、どんな名前でも構わないんだ。
……
水木? 少し顔が赤い。狼たちに変な物でも食わされたか?」
「お前がこっ恥ずかしいことを言うからだよ、アホ」
水木は小枝が絡まったままの鬼太郎の側頭部を指ではじいた。小首を傾げて手を引く鬼太郎に連れられて、水木はようやく家路に付くことが出来た。
「そういえば服はどうしたんだ?」
「ああ、昨日取り上げられてそのまんま
……
待て待て。後で届けて貰うから! なっ!」
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内