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三毛田
2024-11-20 22:17:36
1070文字
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1000字2
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17 017. 差し出された傘
17日目 君と二人で
ぽつりと、灰色の空から雫が落ちて。
あ、マズい。
そう思った次の瞬間には、激しく叩きつけるような雨音。
慌てて店の軒先に避難するも、風も吹いてきたのかすぐにびしょ濡れに。
「雨が降るところ、本当にあるんだ」
「この星では、よくこういう風雨が起こりますよ」
「大変じゃないですか?」
「大変なことも多いけど、作物がよく育つようになるからね。悪いことばかりじゃないよ」
「なるほど」
急に声をかけられ驚いたものの、それを表に出さずに答える。
「お兄さんも散歩かい?」
「買い物の途中だ。お婆さんは、散歩中?」
「ええ。でも、これじゃぁ帰ろうにも帰れないね」
おばあさんは散歩の途中だったらしく、少し困ったように笑う。
「穹」
「丹恒!」
雨が少し弱くなり、傘を差した丹恒がこちらへやってきて。飛びつこうとしたところで、びしょ濡れなのを思い出して我慢して彼がここまで来るのを待つ。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。お兄さん、お迎えかい? よかったねぇ」
「ねえ、丹恒」
「ああ。お前が渡せ」
名前を呼んだだけで察してくれて本当に助かる。彼は、脇に抱えていた傘を俺の手に握らせ。
「おばあさん。よかったら、これを使って」
そして、俺がおばあさんに差し出す。
「でも」
「こっちの大きな傘で帰るから! まだ雨が続くと、体が冷えちゃうよ」
「ええ。体が冷えたら、風邪を引きやすくなります。早く帰ってゆっくり休んだほうがいい」
「ありがとうねえ。お兄さんたちも気をつけて」
ためらいを残しつつも、俺が差し出した傘を受け取ると、それを差してゆっくりと道を進む。
「お前も早く帰って風呂に入れ。風邪を引く」
「うん」
「パムに温かいものを用意してもらおう」
「一緒にお風呂に入ろうか」
「考えておく」
丹恒は、自分が濡れることをいとわず俺の方へと傘を傾けて。
「丹恒、お前が濡れる」
「俺なら大丈夫だ。それに」
「それに?」
「これくらいなら、濡れたうちに入らない」
「ったく。俺が、自分のせいで丹恒が濡れたっていう事実が出るのが嫌なんだ」
「そうか」
「そうだよ」
俺の言葉に、ふっと笑って。こちらに傾けていた傘を、まっすぐに。
「丹恒、キスしたい」
「外だから駄目だ」
「外じゃなければいいってこと?」
「きちんと風呂に入って体を温めて、それから」
「それから?」
首を傾げながら見れば、すっと目を細めて。
「俺がお前の部屋を訪ねよう」
「そしたらさ、丹恒のここに
……
いいか?」
お腹を指差すと、俺の指を握ってきた。
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