頻子
2024-11-20 18:51:20
1751文字
Public Elin
 
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同病相憐れむ(Elin)

ロイテル夢
・ロイテルの扱いがややぞんざい
・お好きに読んでください

デフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルトデフォルト ポケットの財布を覗き込んで、デフォルトはため息をついた。
 冒険者家業は厳しい。とっても厳しい。
 パンを買うお金もない。ふかふかパンなんて、夢のまた夢だ。
 一縷の望みをかけて、釣りをしてみたはいいものの、おたまじゃくしの一匹すら釣れない。紙の束を引きあがると、見ていたファリスは、困ったように眉を下げた。
 デフォルトがくう……、とお腹を鳴らしていると、見かねたのか、拠点に這い寄ってきたやどかりを、エイシュランドが、一瞬で葬ってくれた。
「これを足しにするんだ」
 急ごしらえの拠点は、開拓地というよりはキャンプ未満の野営地だ。あっちこっちに建てかけの家がある。野生動物が出入りしているのは問題だなと思ったけれど、おかげで肉が手に入る。焚火であぶると、だいぶマシな感じになった。
 フィアマがほほえましそうにこちらを見ていた。
「おっ。おかえり、デフォルト。何を食べて……やどかりの肉……そうか」
 ロイテルが同情的な視線でこちらを見ていた。
 ロイテルを見ていると、ほっとする。
 デフォルトが言うと、ロイテルは怪訝そうな顔をした。
 この世界で、うまくやっていけるだろうか。不安に駆られたときは、拠点に戻ってきて、ロイテルを見ることにしているのだ。
 このロイテルとかいう男は、空色チューリップの詐欺にひっかかり、莫大な賠償金を課せられたのだ。
 2000万オレンだなんて、一生かかっても返せないような、途方もない額。
 自分は充実した生活ができているわけではないけど、ロイテルよりははるかに堅実な暮らしを送っている。
 ロイテルはさっきまで畑を耕していたのか、上等そうな服を土で汚している。ぶつぶつと文句をいっているけど、少し楽しそうだ。こんなに最悪の借金を背負ってしまったロイテルが幸せなら、自分はもっとお気楽に生きてもよいはずだ。話を聞いていたロイテルはだんだんと渋面になり、眉間のしわを深めていった。
「私はあの充実した生活がとても懐かしい。使用人がいて、頼めばなんだってこしらえてもらえた。それが、野で摘んだアピの実で食いつなぐ羽目になるとはな。いたっ、……おい、なんだ!?」
 ロイテルがおいしそうなアピの実パイを取り出したので、思わず蹴り飛ばしてしまった。
 ばしばしと叩いていると、低レベルな冒険者同士の争いが勃発し、仔犬まで加わってぎゃんぎゃんした騒ぎになった。ファリスはおろおろとしつつも楽器をかばい、エイシュランドはかすかな笑みを浮かべて眺めているだけだった。フィアマの「ちゃんとお世話しなさい」の一声でデフォルトはケンカをやめた。
デフォルト、お前とはもう一生口を利かないからな!」
 デフォルトのほうも吐き捨てた。
 次に会う頃にはランクA冒険者だ。こんなところ、一生、戻ってくるものか。
「とうもろこしが実っても、お前にはやらないからな!」
 この世界の一生は安い。そして、早い。数日も経たずしてボロボロで這い上がってきたデフォルトを見て、ロイテルは口の端からとうもろこしの粒を落とし、「食うか?」とささやかなポタージュをよこした。

***

「あら?」
 ファリスは焚火の前に肩を並べて座るデフォルトとロイテルを見て、不思議そうな顔をした。
「ケンカはおしまいになったんですか?」
 ロイテルのほうは上機嫌で、デフォルトはがっくりと肩を落としている。周りに散らばっているあれは……
(あら……請求書)
 ここノースティリスにおいては、税金の滞納は重罪である。殺人なんかよりもよほど罪が重い。ガードに追われ、ダルフィに逃げ込み、しくしくとここまで戻ってきたのだ。
「そうかそうか! お前もこちら側の人間になったわけだ!」
「やってしまったんですね、デフォルトさん……
 ロイテルはやたら嬉しそうにばしばしとデフォルトをたたいた。
「まあ、借金については詳しいから、相談してもいいぞ。いくら滞納したんだ? 4万オレン? へー? まあなんとかなるさ。ふーん、まあ、ゆっくりしていくといい。いたっ!」
 2000万オレンよりましだっ!