俺はもう、モヒートが飲めない

pixiv再掲
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アーロンは必ず、エリントンに着く前日に電話をくれる。
アーロンはエリントンに着いたら、到着したその日にルークの家の近くにあるお気に入りのバーで数杯酒を飲んでからルークに会いに行く。大抵ルークが仕事で遅いから。
そしてルークが翌日仕事の間はふらふら頼まれたものを買ったり、散歩をしたり、ジムを渡り歩いたりする。
アーロンはルークが非番の日に、相棒が家事をしたり部屋を片付けている間に買い物をするんだけど、そういやスキンが無くなってたな、と思ってドラッグストアに行くことがよくあるので、ドラッグストアの人には覚えられてる。
アーロンは、買い物が終わっていよいよルークと二人だけの夜だって時に、必ず酒を飲む。飲んだら人間というものは、性的機能がちょっと鈍くなるから、長くできるので。
というお話です。
ルークの大学の同級生がメインで出てきます。モブ視点です。


「なあ、ルークってさ」
 大学時代の友人たちでの同窓会の二次会と称して、仲のいい奴と二人で行きつけのバーに来た。俺は半年前に振られたガールフレンドとの思い出を未だにこいつに吐露しながら、ようやく落ち着いて酒をもう一杯おかわりした時のことだった。
 そんな入り出しから始まった友人の話は、何となく高揚しているような、それでいてどことなく自信のない話ぶりだったので、俺は眉を顰める。
 ルーク、ここエリントンではごくありふれた名前。俺たちの代にも何人かルークがいる。どのルークだよ、と酒を傾けながら聞くと、「ルーク・ウィリアムズだよ」と囁く。
 犬面のあいつか。俺の頭はやっとはっきりと奴の顔を浮かべることができた。アルコールが入っていても、ちゃんと思考は正常らしい。
 国家警察になるんだ、と言って照れていたあいつ。ラグビーをやっていた俺らと違って線が少し細かった。一途に勉強をしてバスケも得意だったような気がする。
 警官になった後はその時よりも痩せた。親父の形見だっていうコートを着てたけどサイズはオーバーぎみで、「新しいの買えよ」って言ったな。でもあいつは寂しそうに笑ってた、「これがいいんだ」と。
 思い出らしい思い出と言えばこれぐらいだ。友人であるこいつも、そんなに接点はなかったように思う。友人は話を続けた。
「あいつ、変わったんだよ」
「変わった……? 何かあったのか」
 カウンターの席で隣り合う友人は、頬杖をついた。向かい側ではマスターが誰かの酒をシェイクしている。シェイカーから溢れた半透明の緑色の液体は、濁りがあって香り高い。あれは多分、相当強い酒だ。
「この間、俺が真夜中に、どうしても泊まるところがなくてよ。ルークの家が近いから頼んだんだよな、一晩寝る場所だけ提供してくれないかって。そしたらあいつ、お人好しだろ? 当然オッケーが出て、家に上がらせてもらったんだよ」
 もう一人のバーテンダーが、俺のグラスが空いているのを察していたが、どうやら話が始まったからタイミングを計っているらしい。即座に「モヒートを」と言って、作ってもらう。
「それで?」
「おう……相変わらず甘いモンが好きでよ。夜中だってのに勧められたが断った。シャワーを借りて、着る物なんかは期待しないでいたんだけど……なあ、あいつってさ、父親が亡くなって以来、ずっと一人なんだよな?」
 どうして着る物の話から、そっちになるんだ? 俺は肩をすくめて「そのはずだが」と告げる。だよなぁ、と腑に落ちない顔をしながら、友人はウィリアムズの話を続けた。
「あのでっかいコートは相変わらずクローゼットの側にかけてあってよ、質素なもんだった。男の一人暮らしだしそうだよな、と思いながら『Tシャツだけ借りれるか? 俺は寝る時、一枚着て寝るタイプなんだ』って言うと、それならって言って開けたクローゼットにはよ」
 急に声を潜めた友人は、俺の目をじっと見て呟く。
「あいつの趣味じゃ到底ないだろっていうような服が、何枚もあったんだよ」
「へえ……あいつもとうとう、連れがデキたんじゃねェの?」
 まあ、今の世の中、女と付き合うことにこんなに色めきたって話すなんざジュニアハイスクールのガキでもやらない。ただ、あの全く何も経験してきませんでした、というウィリアムズのこととなると、話は別だ。
「いや、それがよ。高そうなスーツとか、質良さそうな靴とか。言っちゃ悪いが、ルークとは無縁そうなのばっかりで。でもサイズはあいつのなんだ。だから思わず聞いちまったよ、『自分で買ったのか?』ってな」
 ふんふん、と俺はすでに身を乗り出して聞いていた。平凡すぎる男の隠された秘密が、果たして面白いかそうでないかを早くジャッジしたくてたまらない。
「そうしたら、あいつ、それは全部送られてきたやつだって言うんだよな」
「へえ……そんな気前のいいパトロンがウィリアムズに?」
「ハイブランドばっかりだったぜ。こんなのくれるってどんな奴だよって聞いたら『友達だよ、ちぇ、チェズマって言うんだけど』って言ってたなァ……ま、そのラインナップから服を借りる気は全くしなくてよ……横にかけてあった、普通そうな、デカめのサイズのTシャツがあったから借りようとしたんだよな」
 ハンガーを取るジェスチャーをしながら、友人は話す。
「そしたらよ、『あ、それは……』って珍しく渋ってな。俺の手からパッて奪い取られちまってよ」
 何てことない、Tシャツなんだぜ? 友人は心底不思議そうに首を傾げて訳がわからない、って顔をしてた。そして話を続ける。
「まあ……事情があるんだろうな。結局、あいつの私物の、バスケチームのTシャツ借りてよ、ソファで寝たんだよ。結構デカいソファだったから助かったぜ。あいつ、一人用とか買いそうなのにな」
 モヒートを煽って俺は「ふーん」と興味なさげに呟く。
「でもな、夜中によ」
 まだあんのか、と目を開いて耳を寄せる。
「あいつの部屋からな、楽しそうな声が聞こえんだよ」
……そりゃ、電話、とかか?」
「そう。でもな、ルークがあんな風に笑うとは俺、知らなかったなァ」
 あんな風、とはどんなものなのか。友人の顔は心なしか浮ついていて、ふわふわとしている。
「お前、まさか」
「いやいや、無ェよ? 無ェけどよ! こう……ギャップがかわいい、なー、なんて……
 あのウィリアムズにかァ? 俺はますます首を捻った。ぎこちない笑い方、寂しそうな言い方、哀愁も感じる背中ってのが俺の最後の記憶だ。友人が言うような、いわゆる愛らしさなんてのは微塵も覚えがない。
 マスターが、再び濁りのある緑をしたドリンクを今度は軽くステアしてる。あのカクテルは確か名前をグリーン・アラスカ。友人がトイレの間にこっそりバーテンダーに聞けば、やっぱりかなりの強い酒なんだとか。このバーでそんなの飲んでる奴がいるんだな、と周りを見渡そうと思ったが、ジロジロ見るのも悪いか、と俺は体勢を直す。
 それにしても、ウィリアムズ、か。俺は友人に少しばかりのときめきを与えた同級生について、この時はそこまで考えていなかった。
 三日後の大雨の日、俺が世話になるまでは。

 ◇

 ウィリアムズに連絡せざるの得なかったのは、本当に偶然から生まれた出来事だった。下心なんてまるでない。

 いつものバーで仕事終わりに一杯、なんて軽い気持ちで外へ出てみれば、傘をさしても意味がないくらいの豪雨。ニュースによれば一時的なものですぐ止むらしいが、雨宿りする人間のコートから靴までずぶ濡れの奴らが多い。たとえ止んだってこれじゃあ寒いな、と体を震わせた。製造業のしがない制服をくるくると手の内に丸めて、ひとまず駅のそばまで俺は走る。
 やっぱり靴の中に染みてくる雨水、ブルゾンは瞬く間に濡れてしまった。狭い駅の入り口は急いでいる人に肩がぶつかり、邪魔くさそうにされる。これじゃあ雨宿りもそんなに長い時間は期待できない。
 行きつけのバーへ行くには住宅街を通らなきゃならないし、そこいらは屋根がないマンションやアパートばかりだ。
 ──俺はふとそこで、三日前に友人が言っていたことを思い出す。
 自分のタブレットを試しに開いてみた。取り出した途端、タブレットの角に雨がぱたぱたと当たる。あまり長く出してはおけない。決断するならすぐだ。
 連絡先をスクロールして、タップする。通話のマークがしばらく点々と灯り、俺は若干緊張しながら応答を待つ。
『もしもし、ジェシー、久しぶりだな!』
 通話画面の俺の名前を確認した後すぐに挨拶がきた。俺はびっくりして、タブレットを取り落としそうになる。
 ウィリアムズって、こんなに明るい声だったか?
『ジェシー?』
「あ、ああ、ウィリアムズ、久しぶり。実はお前の家の近くにきてて、傘を借りたいんだが……
『もちろんいいよ、場所はわかるかい?』
 正確な住所を律儀に教えてくれたが、前に一度だけ行った時と変わりがなかったので、すぐにたどり着くことができた。バーへ行く途中の街並みにあるウィリアムズ宅で傘を借りられれば大変助かる。
 ──しかし、そこへ着くまでにもスコールはひどく人間を襲った。悲鳴じみた声を上げながら人たちはばしゃばしゃと水たまりを蹴って地下へ入ったり、家へ戻ったりしている。俺も例に漏れず被害に遭った。
「ジェシー、ようこそ。雨ひどいな」
 ラフなボーダーのカットソーにジーンズで現れたウィリアムズは、俺が知っている頃とあまり変わらない体格をしていた。ただ、顔つきは明らかに昔と違う。ようこそ、と出迎える表情は柔らかい。「せめて上着を乾かしていくかい?」と話す優しい声は相変わらずだけど。
「乾燥機を買い替えたから、いいやつになったんだ。そこに上着、入れていきなよ」
「すまないな、そうさせてもらう」
 正直、上着だけでも乾くのはありがたかった。バーで濡れたまま入り、帰りも同じく濡れた上着を着直すのは気分が滅入る。しかも季節上あまり暖かいわけではないから、夜になると冷えもくる。「傘は玄関に置いておくよ」と言う声が奥から聞こえた。
 コポコポとポットから何かを注ぐ音がする。ああ、この香りはコーヒーかな。俺は酒も好きだが、実は無類のコーヒー好きだ。「君は南の生産地の豆が好きだったよな?」と言うウィリアムズに俺は驚く。たった一回、大学の講義のノートを移したくてきただけのこの家で、何気なくそんな話をした。それを覚えてくれていたなんて。
 ランドリーラックにあったタオルをありがたく借りて、乾燥機が回るのをしばらく眺める。ウィリアムズの素晴らしい人間性を噛みしめながら、濡れた髪をぱさぱさと拭いて、ふと洗面台に目をやった。
 赤い色味の長い髪が一本、落ちている。
 ……俺はカチリと固まった。あの女っ気のなかった奴のちょっとしたゴシップを発見してしまい、背筋にそわそわ緊張が走る。
 キッチンからはウィリアムズの鼻歌が聞こえる。まだこっちを呼ぶ気配はない。多分得意の甘いものでも用意しているのかも。
 俺はそっと髪の毛に近づいた。きれいに整えられているユーティリティに、不自然に落ちている。硬そうな毛質。女のものだとしたら、健康的で毛量の多い人間だろう。俺の知る限り、グラマラスな女性に多い気がするな。ウィリアムズ、あいつも隅に置けない。
 ニヤニヤしながら俺はその場を離れ、「ジェシー?」と呼ぶキッチンへ向かった。案の定、トレーにコーヒーとクッキーを載せて待っていたウィリアムズがニコニコしながら立っている。
「乾くまでのんびりしてろよ。僕はちょっと連絡してくる」
 タブレットを持ってすれ違い、あいつは廊下に出た。ダイニングテーブルに腰掛けて、パタンと閉まったドアに映るウィリアムズのシルエットを眺める。
 ……俺の気のせいじゃなければ、あいつ、もしかしたら前よりもヘルシーな方向に太ったんじゃないだろうか? 一人暮らしの怠惰な生活の中でつける贅肉、というよりは、胸や尻、太ももがしっかり筋肉がついたような。そういえば、蜂蜜色の髪も艶があった。くすんだ色合いで描かれがちだった俺の記憶の中にあるウィリアムズは、この短時間で次々と塗り替えられる。
「もう買えたかい?」
 タブレットに向かって話す声音は、上擦って柔らかい。しかし次いで、少しばかり寂しそうな声になる。
……ああ、うん、そうか。じゃあうちではそんなに飲まないな?」
 さっきの髪の毛の主との通話だろうか。彼女は一度ウィリアムズの家を出て、これからここに帰るところなのかも。
「了解、じゃあのんびり待ってるよ」
 終始優しいウィリアムズが通話を終えた。ガチャリとドアが開いて、俺と目が合う。
「あ! あー……聞かれた?」
 ハハッと気まずそうながらも照れた顔をしている。
 こんな時はそう、相手の自慢をしたい時なんじゃないだろうか。赤くなって俯くこいつを見て、友人がかわいいと思ったのも頷ける。お前は間違っていなかった、友よ。
 グラマラスな彼女のことを聞きたいのは山々だったが、そろそろ帰る予定なんだとしたら俺はお邪魔でしかない。ウィリアムズはそれほど、彼女との時間を大事にしているんだろう。
「大事にしてやれよ、今度紹介しろよな」
 だてに俺だって、ガールフレンドの二人や三人、いなかったわけじゃない。この間別れたばかりの彼女の顔がやけに鮮明に蘇る。ウィリアムズならきっと、大切にできる、俺とは違って。
 フッと俺が笑ったと同時に乾燥機が鳴った。コーヒーを飲み干して、クッキーも一つだけもらう。甘い。相変わらず、甘いものが好きな奴だ。
「それじゃあな」
 決まった。俺はかっこよく、その場を去る。見送りまで行こうと立ち上がるウィリアムズを手で制した。いつかこいつから恋愛相談を受けるだろうか、たまに連絡してやろう。きっと困ることもあるだろうから。
 ブルゾンを取り、傘を借りて、玄関を出る。雨は小ぶりになっていた。背後に佇むウィリアムズを、振り返らずに手を振った。

 バーへの階段を下り、ドアを開けた。約束をしていた三日前に飲んだ友人が、またカウンターでグラスを持ち上げる。
「お前、あんまり雨に当たらなかったのか?」
 目敏めざとい友人は濡れることが少なかった傘を置く俺を見てそう言う。
「ああ、もう止みそうだったな」
「さっきの雨はすごかったもんな」
 乾燥してあたたかみもあるブルゾンをスツールの背にかけて、バーテンダーにまずはビールを頼む。軽食も頼もうとメニューを覗き、友人の分もと伝えた。
「お、ずいぶん景気がいいな。おごりなんて」
「ああ、今日は気分がいいんだ、ウィリアムズのおかげでな」
「ウィリアムズって……あれ、お前もルークに会ったのか?」
 そこから俺は、ひとしきり今日あったことを話す。会社を出てからひどいスコールに見舞われたこと、ウィリアムズに傘を借りれないから頼んだこと、あいつの表情や声が昔と違ったこと、洗面台の髪の毛、まとう雰囲気、会話の内容まで。
 友人がうんうん頷き、俺は酒の勢いもあってたまに声量が上がり。バーテンダーが微笑みながら俺たちを見て、そっと追加でモヒートを差し出した。喋りすぎて乾いた喉に、心地の良いライムとミント。
 だからバーの中の喧騒も耳に入らず、とにかく俺は友人と上書きされたルーク・ウィリアムズの情報を楽しんだ。噂話というのは、意外と男も好きなものだ。
 ふと顔を上げる。友人のヤニ下がった顔の後ろで、バーのマスターがまたあの酒を作っていた。名前はグリーン・アラスカ。
 シャルトリューズ・ヴェールという翡翠のような色のリキュールと、ドライジンの組み合わせ。リキュールのアルコール度数は五十五度という高い数値。このカクテルは、なかなかここでは作られないらしく、飲む方はほぼ決まっているんだといつかのバーテンダーは言っていた。
 マスターが作り終えたアラスカを、俺たちの背面に持ってくる。話し込んでいてすっかり見えていなかったが、カウンターの端には俺たちよりも後に入ってきた人物がいて、そいつにカクテルは静かに寄り添った。
 そこで俺と友人は、息を飲む。
 真っ赤なフード付きのジャケットに、長い脚を組んでスツールに座る男は、褐色の肌を持つ手でカクテルグラスを眺める。液体の色味は、男の目の色と似ていた。しばらく眺めた後に、一気に傾ける。あんな強い酒を、何のためらいもなく。
 俺は自分のグラスの氷がカランと一つ動くのを音を聞いた、まるで熱に溶かされたみたいに。
 ……そういえば、俺はあの緑色を最近どこかで見たことがある。アラスカ・カクテルと似ているエメラルド。
 蜂蜜色の揺れる髪の下で、朗らかに笑い、久しぶりの再会を喜んでくれた同級生。
 男が金を置く。さすがに強い酒だし、一杯で終わりか? と思っていたら、マスターが囁く声がする。「いつもの量を揃えていましたのに」開封したてのジンとリキュールが、棚に戻されるのが見えた。
「悪いな。今日はオレと、酒を飲みてえんだってよ」
 低い声で笑うと、男の俺たちまで心を鷲掴みにされるような色気がある。背筋をなぞるぞわりとした感覚はしばらく続いた。
 スツールから下りた長い脚は、よく似合うジーンズを履いている。出口へ向かって歩く姿はサマになっていて、客で来ていた女も色めき立つ。そんな視線など気にもしないで進むから、傍に抱えたドラッグストアの紙袋さえも小洒落たアイテムに見えてくる。
 そんな彼の髪は、赤みがかったしっかりめの毛質だ。
 俺たちが絶句して座ったまま後ろ姿を眺めていると、本当にわずかの間、一度だけ男はこっちを見る。その口は、小さくだけ確かに囁いた。
「傘、しばらく返しにくんなよ」
 邪魔だから。
 ……ガチャンとドアが閉まり、思い出したかのように俺の耳がバーのBGMを鼓膜に伝え始める。
 バーテンダーが男のいた後のテーブルを拭いた。グリーン・アラスカの入っていたカクテルグラスは、一滴も残さずきれいに飲まれてライトに照らされ輝いた。
 俺の視線の手前に置かれた、半分残されたモヒートに浮かぶミントは、瑞々しく氷と混ざってホワイトラムの海を泳いでいる。けれどその緑が妙に偽りに見えてしまう。
 傘が邪魔なのか、俺たちが邪魔なのか。今まで意気揚々と知ったように語っていたウィリアムズのことを、全て撤回したくなる。

 俺はそのグラスを掲げて、友人と改めて顔を見合わせて頷く。そして小さく、乾杯をした。
 今日から俺たちは、ルーク・ウィリアムズの秘密を共有する、相棒になる。