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ちよど
2024-11-25 00:00:00
1083文字
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ビマヨダ
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至高の一匙
ビマヨダ。ビマさんの美味しいもの。pixivより再掲
厨房は戦場だが、それでも休める時はある。
目がまわるような昼時を過ぎ、おやつの時間にはまだ早い今。片付けを終えた俺達は遅い休憩を取っていた。
皆、腹が減っていたのだろう。まかないの飯は全て平らげられ、満腹感がもたらす穏やかな空気があたりを包んでいた。
俺以外は。
「足りないなら、予備の食材で何か作ろうか?」
女王の優しさに俺は首を振る。
「いやいい。いつもの事だ」
生前から何を食べても満たされない。空腹とは関係ない飢えのような何かは罪のようにべったりと俺に貼り付いて離れねぇ。
「そういえば。ここにいるみんなはそれなりに舌が肥えていると思うけど、今まで食べた中で何が一番美味しかった?」
質問に、みんなそれぞれ自分に取って最も美味かった物を語りだす。
後輩と握ったおにぎりだとか、おじいさんに貰ったのりとか。
俺にとってそれは、
………
柔らかく微笑む紫水晶の瞳だった。
まだ幼さの残る指先が並べられた菓子をひとつ、すくい取る。
奴はまるで■■のように、それを俺の口元に運び。俺が咀嚼し飲み込むのをこの世の至福のように眺めていた。
あの菓子よりも美味い物はない。
生前、同じ菓子を作らせて食べてみても、自分で納得が行くまで作っても、あの味は再現出来なかった。
思い余って奴が混ぜたであろう同じ毒を混ぜたことさえあるというのに。
俺にとっての美味い物は、あの紫水晶の微笑みと共にあるのだろう。
だと言うのに! あの馬鹿は!
いっつもいっつもカウラヴァ連中と一緒に食事を取りやがって。
なにが、あーんだ! カルナも食べてみろだと! 俺の作ったものが美味いのは当たり前だ! シェアするなら小皿ぐらいいくらでも出してやる! 宮廷育ちを自慢するならマナーぐらい守れ!
俺が欲しくて手に入れられないものを、そんなにも簡単に振る舞うな!!
「ビーマ?」
弓兵の声に意識が戻る。
知らずに力が入っていた体を意図して緩めた。
「すまない。俺の最高の味はもう二度と手に入らねぇから、ちょっと、な」
分かるよ、と何人かが頷く。
彼らと俺が違うのは、俺がプライドも何もかも投げ捨てて乞えば、あいつは喜んで同じものを振る舞ってくれることだろう。
もし、あいつがあの時と同じく紫水晶の瞳で微笑みながら、匙を差し出してきたら。
俺はその殺意を分かっていても口を開いてしまうだろう。
その時、俺のこの飢えは満たされるだろうか。それともそれ以上を望むのだろうか。
記憶の中の紫水晶の瞳は甘く。罪のように、俺を掴んで離さない。
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読んでくださってありがとうございます。
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